ゾンビ化した採掘基地にクトゥルフの影。3つのバイタルで生き延びるレトロホラーFPS『Deep Sheol』レビュー #deepsheol

『Deep Sheol』は、冷酷な企業が支配するディストピアを舞台にした、レトロスタイルのホラーFPSだ。特別捜査官セスとなり、連絡が途絶えた生物ガスの秘密採掘基地へ乗り込んでいく。

待っていたのは、ガスによって血に飢えた怪物と化した労働者と町の住人たち。群れを撃ち倒しながら企業の陰謀を暴き、やがてクトゥルフ神話の怪物と向き合うことになる。

撃ちまくるだけでなく、弾薬や回復アイテムのやりくり、パズル、クラフトまで詰め込んだサバイバルホラー寄りの一本。Steamのユーザーレビューでは92.5%が好評を獲得している。

沈黙したガス採掘基地へ。あの頃のPCシューターを思わせる重い空気

ゲームを始めてまず感じるのは、2000年代前半のPCシューターをそのまま掘り起こしたような手触りだ。ざらついたテクスチャに、緑やオレンジの照明がぼんやりと浮かぶ工業地帯。霧の向こうにはガス会社の巨大な塔がそびえている。

レトロ風といっても、ただ懐かしさをなぞっただけではない。装飾的な彫像が並ぶ門や、無骨なコンクリートの施設が入り混じった街並みは独特で、歩いているだけで不穏さがじわじわと伝わってくる。

壁に残されたメモや荒らされた部屋からは、ここで何が起きたのかが少しずつ見えてくる。説明しすぎない語り口が、ディストピアの陰鬱さをうまく引き立てている。

体力・持久力・精神。3つのバイタルを管理するサバイバル

画面の左下には、心臓・肺・脳のアイコンが並ぶ。体力に加えて、持久力と精神状態という3つのバイタルが常に表示されていて、それぞれがゲームプレイに影響してくる。

回復に使うのは、薬や食料、作業台で調合する注射器の血清など。どのゲージをどのアイテムで戻すかを考えながら進むので、FPSでありながらサバイバルホラーらしい緊張感がある。

持ち物の枠は少なめだが、各エリアには保管用の箱が置かれていて、別のエリアで預けたアイテムも取り出せる。何を持ち歩き、何を置いていくか。この取捨選択こそが本作の味だ。

バールから電磁ライフルまで。素朴だけど手応えのある銃撃戦

武器はバール、ピストル、ネイルガン、ショットガン、電磁ライフルと、数を絞ったラインナップ。ピストルやネイルガンは、拾った部品で装弾数や威力を強化できる。

敵は四つん這いで猛然と走り寄ってくる感染者を中心に、酸を吐くもの、一瞬で間合いを詰めてくるもの、銃で撃ち返してくる兵士まで多彩だ。大型のロボットは電磁ライフルでなければ止められず、武器を持ち替える判断も求められる。

弾薬は作業台で素材を組み合わせて作れるので、撃ちっぱなしではすぐに枯渇する。一発一発を大事に撃ち込み、群れを押し返したときの安堵感はなかなかのものだ。

メモとひらめきで解く、環境パズルと探索

戦闘の合間には、暗証コードの入力や仕掛けの操作といったパズルが待っている。手がかりは手帳に自動で書き留められるので、メモを見返しながら解いていくのが基本だ。

環境分析システムのおかげで、重要なアイテムや目的の場所は強調表示される。鍵となるアイテムを手に入れる前から使う場所が分かることも多く、次にどこへ行けばいいか迷いにくい。

セーブは決まったタイミングでの自動保存に加えて、いつでも手動で残せる。ノーマル難易度なら5時間ほどでクリアできるボリュームで、840円という価格を考えれば満足度は高い。

緊張感を高めるBGMと、細部に宿るこだわり

状況に合わせて変化するサウンドトラックも、本作の大きな魅力だ。静かな探索中はじっとりとした不安をあおり、戦闘になると一気に激しく盛り上がる。エリアによっては思わず頭を振りたくなるほどの曲が流れ、テンションが跳ね上がる。

倒した敵が背後で急に湧き直すことはなく、新たな敵は次の部屋の扉を開けたときに現れる。一度片付けたエリアは落ち着いて探索できるので、資源集めに集中しやすい。

オフィスに踏み込んだ瞬間の思わぬ出迎えなど、ところどころに仕込まれたブラックな演出もニヤリとさせられる。小規模な作品ながら、作り手の愛情がしっかり伝わってくる。

気になるのは、単調な敵の動きとインベントリの窮屈さ

気になる点もある。敵の多くはまっすぐ突っ込んでくるタイプなので、後ろに下がりながら撃つ戦い方に落ち着きがちだ。戦闘の駆け引きは控えめで、敵の素早さに慣れるまでは距離を詰められて体力を削られやすい。

効果音もやや物足りない。敵の足音が小さく、気づいたら目の前にいることがあるほか、仕掛けを動かしたときの音が乏しく、パズルの手がかりに気づきにくい場面もあった。

持ち物の枠が少ないため、3種類のバイタル用アイテムに武器、パズル用のアイテムまで抱えると、すぐにいっぱいになる。保管箱との往復が増えるのは少しもどかしい。クラフトも組み合わせの幅は広くなく、発見の楽しさはもう一歩だ。

それでも、雰囲気づくりとサバイバル要素のバランスは見事で、粗さを差し引いても遊ぶ価値は十分にある。

こんな人にオススメ

  • 2000年代のPCシューターのような、レトロな見た目のFPSが好きな人
  • 弾薬や回復アイテムをやりくりするサバイバルホラーが好きな人
  • クトゥルフ神話やディストピアSFの陰鬱な世界観に惹かれる人
  • 撃つだけでなく、パズルや探索もじっくり楽しみたい人
  • 手頃な価格で、数時間で遊び切れるホラーゲームを探している人

『Deep Sheol』は、レトロFPSの撃ち味にサバイバルホラーの資源管理とパズルを組み合わせた、手堅く遊べるホラーシューターだ。敵の単調さやインベントリの窮屈さはあるものの、暗く重い空気と緊張感あふれるBGMは一度味わうとクセになる。

部屋の明かりを落として、ヘッドホンで遊ぶのがおすすめだ。沈黙した採掘基地の奥に何が潜んでいるのか、ぜひ自分の目で確かめてほしい。

ゲーム概要

  • タイトル:Deep Sheol
  • ジャンル:レトロFPS、サバイバルホラー
  • 開発元:Acid Arrow Studio、Sons of Welder
  • 販売元:Acid Arrow Studio、FM Simple Games Studio
  • 発売日:2026年9月11日
  • 価格:840円
  • 対応機種:PC(Steam/Windows・Linux)
  • プレイ人数:1人
  • コントローラー:フルコントローラサポート
  • 日本語対応:インターフェイス・字幕対応、日本語音声なし
  • Steamストアページ

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