我は蟲群。地下世界を統べるRTS『The Hive』レビュー #TheHive

人間でも、エルフでも、オークでもない。我々は「ハイブマインド」、一つの意識を共有する昆虫の群れだ。美しくも危険な古代の地下世界を舞台に、巣を築き、資源を集め、敵からDNAを吸収して進化を遂げる。RTS(リアルタイムストラテジー)にRPGの要素を融合させた異色の作品、『The Hive』。今回は、このユニークな昆虫コロニー運営シミュレーションの魅力に迫る。

DNAを糧に進化する、唯一無二の育成戦略

本作の根幹をなすのは、敵を倒して得られる「DNA」を使った自軍の進化だ。これは単なる資源ではない。新たなユニットやアビリティをアンロックし、プレイスタイルそのものを変容させていく、まさに進化の設計図である。限られた資源でどのユニットを解放し、どのような軍隊を編成するのか。その選択が、地下世界の過酷な生存競争を勝ち抜くための鍵となる。

最初は貧弱な働き虫から始まる我が群れが、DNAを得て屈強な戦士や狡猾な狩人へと姿を変え、巨大なコロニーを形成していく過程は、他のRTSでは味わえない独特の育成の喜びと戦略的な深みを与えてくれる。

美しくも危険な、忘れ去られた地下世界

プレイヤーが探検するのは、古代文明の遺跡が点在する広大な地下世界。静寂に包まれた泉、灼熱の火山地帯など、息をのむほど美しいバイオームが広がる一方で、そこは危険に満ちている。

霧に包まれた道の先から何が姿を現すのか、遺跡の影に何が潜んでいるのか。単に敵を倒すだけでなく、この神秘的で謎に満ちた世界を探索し、その秘密を解き明かしていくのも『The Hive』の大きな魅力だ。雰囲気のある音楽と相まって、プレイヤーはいつしかこの世界の虜になっていることだろう。

巨大生物との死闘が生む、圧倒的なカタルシス

この世界の覇者は、我々だけではない。時には画面を覆い尽くすほどの巨大な古代生物が、行く手を阻む。真正面からぶつかっても、ただの餌食になるだけだ。地形を利用し、ユニットの特性を活かし、緻密な戦略を練って挑む巨大生物との戦いは、本作のハイライトと言える。

苦戦の末、知恵と勇気で巨獣を打ち倒した瞬間の達成感は、まさに格別。思わず拳を握りしめてしまうほどの興奮がそこにはある。さらに、倒した敵や遺跡から得られるアーティファクトで自軍のユニットをカスタマイズするRPG要素も、戦略にさらなる幅と深みをもたらしている。

荒削りながらも光る、野心的な一作

2016年のリリースから時間は経っているが、本作は今なお独自の輝きを放っている。確かに、UIの操作性や一部のミッションの単調さなど、現代の洗練されたRTSと比べると荒削りな部分も散見される。AIの挙動も、熟練のストラテジストには物足りなく感じるかもしれない。

しかし、それを補って余りあるのが、このゲームに込められた情熱と独創性だ。「昆虫のハイブマインドを操作する」というコンセプトを軸に、探索と物語に重点を置いたゲームデザインは、他のどの作品とも違う体験を提供してくれる。これは、ただ勝敗を競うだけのRTSではない。一つの生命体として、未知の世界で生き抜き、進化していく物語なのだ。

『The Hive』は、万人向けの作品ではないかもしれない。だが、もしあなたが他の誰とも違う戦略ゲームを求めているなら、そして自らの手で最強の蟲群を育て上げてみたいと夢見るなら、この魅惑的な地下世界に巣を構えてみる価値は十分にあるだろう。

ゲーム概要

  • タイトル: The Hive
  • 開発元: Skydome Entertainment
  • パブリッシャー: Skydome Entertainment
  • 発売日: 2016年8月26日
  • 価格: 2,300円
  • ジャンル: リアルタイムストラテジー、RPG
  • 対応プラットフォーム: PC (Steam)
  • ストアURL: https://store.steampowered.com/app/325730/The_Hive/

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