『メグとばけもの』の前日譚を描くDLC『ばけものたちの記憶』レビュー。なぜ彼らは“魔物”になったのか?本編の感動を補完する、切なくも温かい過去の記憶 #MegsMonster

「泣けるゲーム」として多くのゲーマーの涙腺を崩壊させたアドベンチャーRPG『メグとばけもの』。その世界観をさらに押し広げる待望のDLC『ばけものたちの記憶(Lost Memories)』がついに登場した。

本編では主人公のロイやメグの前に立ちはだかった、あの強敵たち。彼らはなぜ魔界の住人となり、なぜあのような行動をとったのか? 本作は、本編の裏側に隠された「魔物たちのバックボーン」に焦点を当てた短編集だ。

語られなかった「悪役」たちの人間臭いドラマ

本DLCの最大の魅力は、本編では「倒すべき敵」や「恐ろしい存在」として描かれていた評議会のメンバーや、その他の魔物たちの過去が明らかになる点にある。

収録されているのは全5話の短編エピソード。 病弱な弟のためにリングに立ち続ける格闘家、誕生日に違和感を抱く5歳の少女、殺害任務を帯びた“兵器”、そして魔界の秩序を作ろうとする男……。

これらをプレイして感じるのは、彼らが最初から「怪物」だったわけではないという事実だ。特に「格闘家と弟」のエピソード(おそらくあの屈強なガストンの前日譚だろう)は、シンプルながらも胸に迫るものがある。弟を想う兄の愚直なまでの優しさが、どうねじれ、あるいはどう貫かれてあの姿になったのか。その過程を知った後では、本編での彼らのセリフ一つひとつが全く違った重みを持って響いてくるはずだ。

ゲームプレイは「読む」ことに特化したスタイル

ゲームシステムに関しては、本編のようなコマンドバトルや広大な探索要素はほとんどないと言っていい。基本的には物語を読み進めるビジュアルノベル形式に近い作りになっており、合間に簡単な移動や、QTE(クイックタイムイベント)のようなミニゲーム的なインタラクションが挟まる構成だ。

正直に言えば、ゲームとしての歯ごたえを求めると肩透かしを食らうかもしれない。格闘家のエピソードなどで発生するアクション操作には少しコツがいる場面もあるが、全体としては「体験する物語」としての側面が非常に強い。

しかし、このシンプルさは決してマイナスではない。約2時間というコンパクトなプレイ時間の中に、濃密な設定と感情の揺れ動きが凝縮されている。余計なシステムを削ぎ落としたことで、プレイヤーは純粋に「彼らの人生」に没入できるのだ。また、ゲーム内のタブレット端末を通じて閲覧できる「アーカイブ」機能も、世界観設定(ロア)を読み込むのが好きなプレイヤーにはたまらない要素だろう。

本編クリア後の「喪失感」を埋めるラストピース

このDLCは、単体で楽しむものではなく、あくまで『メグとばけもの』本編を愛したプレイヤーへの「手紙」のような作品だ。

本編のエンディングで心にぽっかりと穴が空いてしまった人や、「もっとこの世界に浸っていたい」と願った人にとっては、必携のアイテムと言える。逆に言えば、本編未プレイの状態で触れるのはおすすめしない(というより、ネタバレを含むため絶対に本編クリア後に遊ぶべきだ)。

すべてを遊び終えたとき、あなたは「魔物」という言葉の定義をもう一度考えさせられることになるだろう。彼らはただの敵役ではなく、懸命に何かを守ろうとし、何かを失った存在だったのだと。

『メグとばけもの』という作品が持つ「優しさと切なさ」の方程式は、このDLCでも健在だ。もしあなたが本編で涙したなら、この追憶の旅路もまた、忘れられない体験になるに違いない。

ゲーム概要

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