『ザ・ボーイズ』のショーランナー、現実のアメリカに風刺が追いつかなくなったと嘆く シーズン5の“最もぶっ飛んだセリフ”も「すでに起きてしまった」

「“米国に忍び寄る権威主義がどんなものか『1984年』風に描こう”という計画だったんです」『ザ・ボーイズ』シーズン5の配信が迫る中、ショーランナーのエリック・クリプキが最終章となる本シーズンの製作について語った。クリプキによると、脚本家たちが現代の米国を効果的に風刺することはほぼ不可能になってきたという。 クリプキはTV Guideに対し、2024年11月に実施された大統領選以前にシーズン5が執筆されたことを「残念」に思っていると語った。米国で最近起きている出来事や、ホームランダーがドナルド・トランプ大統領を元ネタにしていることを踏まえたコメントであるのは明らかだ。 「選挙の前に書いたっていうのが本当に残念でしたね。今思えばすごく甘いんですが、“米国に忍び寄る権威主義がどんなものかジョージ・オーウェルの『1984年』風に描こう”という計画だったんです。そうすれば、誰もが“どうにか惨事は免れた”って思うかもしれないという考えでね。でも、その惨事が訪れてしまいましたね」とクリプキは語った。 当時、脚本家らが思いついたアイデアは現実にはあり得ない突飛なものと感じられたが、その後現実になったとクリプキは説明している。「現実離れしていて、“そりゃねえだろ!”って感じた多くのことが、本当に厄介な形で起こってしまいました」 クリプキはネタバレを避けつつ、シーズン5第7話で、脚本家らが最も「あり得ない」と感じていたセリフをホームランダーが言うが、それは「すでに起きてしまったこと」だと明かした。 「あるセリフが出てきます。ネタバレは避けますが、第7話で、思いつく限りいちばんあり得ないセリフをホームランダーが言うんですよ。ただ、それはもう現実になっているんです」とクリプキは述べている。 『ザ・ボーイズ』は、ガース・エニスとダリック・ロバートソンによる同名コミックを基に、ゴア描写をふんだんに使ったスーパーヒーロー風刺ドラマだ。自警団「ザ・ボーイズ」が、スーパーヒーロー(ヴィラン)チーム「セブン」を打ち倒そうと奮闘する姿が描かれている。アントニー・スター演じるホームランダーは常軌を逸した独裁者で、セブンのメンバーを力で支配している。メンバーは、情緒不安定なホームランダーの圧倒的なスーパーパワーに怯えながら活動しており、彼はいつでも好き勝手に行動できるのだ。 2025年5月、スターは一部ファンの間でホームランダーが賛美されていることに驚きを示し、「理解し難い」と述べていた。 「何人かに対しては、“この男はどんな面においてもヒーローじゃない”ってSNSで𠮟りました」とスターは明かしている。「ホームランダーを美化してるんです。称えてる。理解できないですね」 スターは、とんでもなく邪悪な行動ばかりしているにもかかわらず、ホームランダー側に味方するファンがいることに驚きを示している。「予想外だったのは、ファンが彼に対して大いに葛藤し、この怪物に共感を示していることです」 2024年には、シーズン4の配信に先立って、クリプキがホームランダーを英雄視する視聴者に対してコメントしていた。「このドラマを観ている人の中にはホームランダーを英雄だと思っている人もいます。どう思いますか? このドラマはいろいろな要素を持っていますが、繊細さはそこに含まれていません。ドラマを観て、それが伝えたいメッセージだと思ったなら、もう僕はお手上げですね」 また、クリプキは、ホームランダーはつねにトランプの代理として意図されていたと答えている。「セス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグと僕がこの作品を売り込んだのは、2016年のことでした」とクリプキは説明。「非常にリアルなスーパーヒーロードラマ、スーパーヒーローが悪い行いをする有名人になっているドラマを作りたかったんです」 「トランプは“本当に指名を獲得するわけないよな?”というような人物でした。彼が当選したとき、今の世界をよく表した比喩を思いつきました。突如として、僕たちは有名人と権威主義の交わりや、ファシズムを売り込むためにSNSとエンターテインメントがいかに利用されているかを描くことにしました。僕たちはまさにその渦中にいます。そのことに気づいてからは、できる限りその方向へ進むことが義務だと感じたんです」

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