海に沈んだ終末世界を舞台に、限られた足場から上へ上へと都市を拡張していく、一風変わったサバイバル都市建設シミュレーション『崩壊都市』がリリースされました。本作は、現実の物理法則に基づいた建築システムを搭載し、プレイヤーの設計センスとサバイバル手腕を同時に試してくる意欲作です。
水没した世界で天を突く垂直都市を築く
本作の舞台は、果てしない海に覆われ、かつての文明が崩壊した世界です。プレイヤーに与えられるのは、海面から突き出たわずかな高層ビルの残骸や孤立した足場のみ。この限られた三次元空間をフルに活用し、木や鉄骨のプラットフォームを継ぎ足しながら、人々が暮らす「垂直都市」をゼロから構築していくことになります。
グラフィックは非常に美しく、手塩にかけて育てた都市をズームアウトして眺めたときの、まるで退廃的なディオラマを想起させるビジュアルは圧巻の一言。ブリキやコンクリートの箱が複雑に絡み合い、空へと伸びていく光景は、このジャンルのファンにはたまらない魅力を持っています。
重心と素材強度を計算するスリリングな物理演算
本作最大の特徴は、建築にリアルな物理シミュレーションが導入されている点です。建物を外側へ拡張したり、さらに上の階層へ積み上げたりする際には、常に重量分配や張力、地盤となる素材の強度を意識しなければなりません。
構造的に無理がある設計をしようとすると、システムが警告を発してくれます。これを無視して無計画に増築を続けると、ある瞬間にバランスが崩れ、ガラガラと音を立てて大切な施設が崩落していくことになります。この「負荷を考慮しながら空間をハックしていくパズル感」こそが、本作の唯一無二の面白さと言えます。
ただ、建築インターフェースやカメラ操作、高低差のある場所での導線(ハシゴの配置など)の構築にはややクセがあり、慣れるまではパズルのピースをハメるような試行錯誤が必要です。しかし、試行錯誤の末に頑強な構造を作り上げ、無秩序でありながら機能的な「ロード・ベアリング(耐荷重)都市」が完成したときの達成感はひとしおです。
3つの勢力と過酷なランダムイベント
都市の住民は「労働者」「船員」「技術者」という3つの勢力に分かれており、それぞれが独自の特性や異なる要求(住居、水、食料、娯楽など)を持っています。指導者であるプレイヤーは、彼らの不満を抑えつつ、バランスよく経済を回さなければなりません。
さらに、プレイ中は定期的に過酷なランダムイベントが発生します。時には倫理的な決断を迫られることもあり、飢えをしのぐために“出所不明の肉”を配給するかといった、ダークな選択を強いられることも。こうした選択やイベントが、単なる建築ゲームに終わらない、緊迫したサバイバル感を生み出しています。
多彩なシナリオと底なしのサンドボックス
ゲームにはそれぞれ異なるストーリーや目標、環境特性を持った8つのキャンペーンシナリオが用意されています。廃墟となった石油掘削施設を要塞化するミッションや、巨大なタンカーの上に都市を築いて航海するミッションなど、シチュエーションのバリエーションが豊富で、プレイヤーを飽きさせません。
また、本作はSteamワークショップに対応した強力なマップエディターとサンドボックスモードも搭載。サバイバルのプレッシャーから解放され、純粋に理想の空中都市を追求したいクリエイティブ派のプレイヤーなら、何百時間でも没頭できるポテンシャルを秘めています。
総評:粗削りながらも抜群の吸い付きを誇る新機軸シム
一部で最適化不足による挙動の重さや、中盤以降のゲームバランス、UIの不親切さといった課題は見られるものの、デベロッパーによる頻繁なアップデートによって着実に改善が進んでいます。
『Timberborn』や『Frostpunk』といった名作サバイバルシムのDNAを感じさせつつも、「3D空間と物理演算」という独自のエッセンスで見事に差別化を図っている本作。時間があっという間に溶けていく、中毒性の高い一作です。
ゲーム概要
- タイトル: All Will Fall(崩壊都市)
- 発売日: 2026年4月3日
- 開発元: All Parts Connected
- パブリッシャー: tinyBuild
- 価格: ¥3,400
- ジャンル: サバイバル都市建設シミュレーション
- 言語対応: 日本語字幕対応
- ストアページ: https://store.steampowered.com/app/2706020/_/