『プラダを着た悪魔2』レビュー ミランダは“変わりすぎた”のか?懐かしさと変化、その狭間で揺れる続編

懐かしい悪魔か、新しい悪魔か冷酷で支配的、かつ先見の明を持った、ファッション誌「ランウェイ」の伝説的編集長、ミランダ・プリーストリー。『プラダを着た悪魔2』には、遠慮がなく、タフで、前作の主要な敵役でもあったこの人物が、エコノミークラスに搭乗する場面がある。この屈辱的な状況は笑いを誘うものとして描かれているが、同時に作品全体を象徴するものでもあるだろう。ここにあるのは、劇中でも現実世界でも並外れて有名な、狡猾にしてアイコニックな人物が、巨大なサンドイッチを食べる男とアシスタントに挟まれた真ん中の席に押し込められている姿だ。 共感を伴うユーモアは描写として非常に面白く、同時に『プラダを着た悪魔2』という作品を鑑賞する体験そのものを体現してもいる。これは期待していた現実とは少し違うかもしれないが、ミランダも、そして我々も、最終的には望んでいた場所へとたどり着くことになるのだ。 我々が最後にミランダ(メリル・ストリープ)を見たのは2006年のことだったが、そのとき彼女は絶頂期にあった。自らの領土を完全に支配し、ハイファッションの世界において最重要の発言力を持っていたのである。一方、「本物のジャーナリスト」を目指しながら彼女のアシスタントを務めていたアンディ・サックス(アン・ハサウェイ)は、カリスマ性にあふれながらも虐待的なミランダと袂を分かち、鳴り続ける携帯電話をパリの噴水に投げ捨て、二度と振り返ることはなかった。しかし、時代はそこから大きく変わった。 アン・ハサウェイ演じるアンディ・サックス。© 2026 20th Century Studios. 20年後に我々が再会するアンディは、ついに成功を手にしたように見える。立派な媒体で尊敬されるライターとなり、人生にも概ね満足している。それなのに、いったいなぜ彼女が再び「ランウェイ」に戻る決断をするのか? 答えは単純だ。仕事が必要だから。アンディはジャーナリストとして権威ある賞を受賞する直前のタイミングで、チームごと解雇されてしまうのである。やがて彼女は、「ランウェイ」を所有する企業の重鎮アーヴ・ラヴィッツ(ティボール・フェルドマン)の招きにより、めまぐるしいファッション業界へと引き戻されていく。 アンディは、スキャンダルに巻き込まれた「ランウェイ」に特集記事の新たな編集責任者として呼び戻され、混迷する組織に重厚さをもたらす役割を担うことになる。前作で受けた仕打ちを考えると、アンディが再び熱意を持ってミランダのもとに戻るのはやや無理があるが、少なくともこの設定によっておなじみの面々が再集結する展開となる。 そこから先、『プラダを着た悪魔2』はお約束を踏襲していく。音楽、編集、演出はいずれも前作を思い出させるものだ。「アンディが不可能な任務を果たすために必死に電話をかけまくる」モンタージュも再び登場し、さらにレディー・ガガ、ハイディ・クルム、ジョン・バティステほか多数の豪華なカメオ出演も見られる。前作同様、ミーム化必至の名セリフも豊富で、たとえば「シェアした炭水化物はゼロカロリー」などといったフレーズは、エンドロール後も観客の頭に残り続けるだろう。舞台となるロケーション(ハンプトンズ! ミラノ! ニューヨークのリノベ済み物件!)も高級志向を体現し、かつ没入感を喚起するものばかりだ。撮影と衣装もまた(当然ながら)視覚の饗宴と呼べるものであり、あのセルリアンブルーのセーターに対する再解釈まで用意されている。 スタンリー・トゥッチ演じるナイジェル・キプリングとアン・ハサウェイ演じるアンディ・サックス。© 2026 20th Century Studios. エミリー・チャールトン役のエミリー・ブラントとナイジェル・キプリング役のスタンリー・トゥッチは、まるでグッチの高級ローファーを履くかのように、かつて演じた役柄へと自然に戻っている。いまやディオールの幹部となったエミリーは、相変わらず不安を抱えつつも実は思いやりのある人物で、その人間味を今でも辛辣なウィットで覆い隠している。一方、ミランダの右腕ナイジェルを演じるトゥッチは、今回も作品の心臓部として機能する。彼はアンディが再び「ランウェイ」の世界に入るのを導く、頼れる同僚でありながら、常に現実を突きつける存在でもある。今作では、そんなナイジェルにもついにスポットライトの当たる瞬間が訪れるが、トゥッチはトゥッチらしく、そうしたシーンをあくまで控えめに、しかし雄弁に演じてみせる。 前作のファンにとっては、本作にも楽しめる要素が満載だ。ただし、それは本作に新しい試みがないということではない。前作が職場における権力構造と閉鎖的な業界で成功するための代償を描いていたのに対し、『プラダを着た悪魔2』は現代の出版業界を容赦なく解剖する内容となっている。今この世界にあって、影響力を持つことが許されるのは誰なのか、そしてメディアの社会的役割とは何か、といったテーマが掘り下げられるのだ。 アンディを呼び戻すきっかけとなったスキャンダルにより、「ランウェイ」の広告主は離れていく。閲覧数が減少し、注目も集まらなくなった現代において、ミランダは再び同誌の存在意義を問われる立場に置かれる。しかも、今回はより実存的なレベルでだ。危機を嗅ぎつけた者たちが集まり、予算削減が容赦なく実行される(専用車もチャーター機も廃止だ)。物語が進むにつれ、「ランウェイ」の存続そのものが危ぶまれ、エミリー、ミランダ、アンディの3人はさまざま組み合わせで、今後の展開を左右する策略を巡らせる。 エミリー・ブラント演じるエミリー・チャールトン。© 2026 20th …

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