HD-2Dで創造される、計算された懐かしさの集積『冒険家エリオットの千年物語』プレビュー

HD-2Dの世界を縦横無尽に駆け回る子どもの頃に遊んでいた懐かしのゲームを改めて遊んでみることがある。十年以上ぶりに触れたゲームには圧倒的な懐かしさが伴うとともに、現代のゲームに慣れた身にはUIが少し不便であったり、テンポが遅かったりと、遊ぶハードルの高さを感じさせもする。そんな風に古さを必然的に伴う懐かしさから、古さだけを取り除いてある意味では「計算された懐かしさ」として現代的なゲームプレイに昇華させた作品が、2018年発売の『OCTOPATH TRAVELER』であり、同作に用いられたHD-2Dという表現だった。HD-2Dとしては初めてのアクションRPGとなる『冒険家エリオットの千年物語』もまた、懐かしさと現代らしさの両立を実現した「計算された懐かしさ」に溢れた作品だ。本作の7時間ほどのプレビューを通して、私はかつて遊んだ様々なゲームのエッセンスを確かに感じ、思い出していた。 そもそも、RPGの老舗であるスクウェア・エニックスは、アクションRPGの名作シリーズを多数有している。「聖剣伝説」シリーズが好きな私は、ニンテンドーダイレクトで『冒険家エリオットの千年物語』が発表された折りには大変に興奮した。リングコマンドのようなメニューから多様な武器を選択して戦う戦闘システムやリアルタイムのアクションをするシステムなど、かなり「聖剣伝説」に近いものが遊べるのではと考えたからだ。 しかし実際に遊んでみると、『冒険家エリオットの千年物語』は「聖剣伝説」の系譜というよりは、アクションやシステム周りの作りなどは「ゼルダの伝説」の文脈に連なる作品と感じた。柔らかで優しい世界と登場人物、各地に点在するダンジョンと謎解き、奥に待ち受けるボス……そんな「ゼルダの伝説」を彷彿とさせる遊びの周辺に、「聖剣伝説」を含めた90年代のゲーム作品の懐かしさが配置されている、という印象だ。 舞台は「魔法」の力が存在するフィレビルディア。フィレビルディアの一角に位置するヒューザー王国は、ヒューリア姫の「加護」の魔法によって周辺の蛮族からの脅威から守られていた。しかしとある事情からヒューリア姫に呪いがかけられ、エリオットは彼女の呪いを解くために過去へと繋がる扉をくぐることになる……というストーリーが展開される。タイトルにもある千年の物語という言葉通り、エリオットは4つの時代を跨いで冒険していく。 アクションRPGならではのHD-2Dの表現 王からの依頼を受けて、エリオットは遺跡の調査に向かうことになるのだが、森のマップに足を踏み入れて敵に攻撃した瞬間に、やはり感動を覚えた。レトロさもあるドット絵のエリオットが、どこか幻想的な、被写界深度の浅い(奥にあるものがボケて見える)HD-2Dの景色の中でリアルタイムでアクションをする。HD-2DのアクションRPGと聞いて期待するものがしっかりと遊べている実感が序盤から感じられた。 一言でHD-2Dと言っても、それぞれのジャンルに合わせた映像の生かし方(あるいはそのような設計になる必然性)がそれぞれのタイトルには存在している。『OCTOPATH TRAVELER』では複層的なレイヤーを有するペーパーシアター的なフィールド表現が何よりも魅力的だったし、「ドラゴンクエスト」3部作では見下ろし方の平面マップに立体感を与えて描写することでオリジナルのフィールを残していた。『トライアングルストラテジー』ではHD-2Dをストラテジーゲームにつきものの高低差の表現に生かした。 翻って本作のHD-2Dの表現は、『OCTOPATH TRAVELER』をさらに発展させたものと言える。建物やダンジョン以外ではマップの切れ目はなく、ぼんやりとピントがずれた奥の方へと歩いていくとそこもやはりフィールドで敵がいて、という形でHD-2Dの世界を丸ごと体験できる。ドット絵という極端なカリカチュアを実在的な立体感の中で堪能するという点で、HD-2DとアクションRPGは非常に相性がいいと感じた。 遊びの根幹は「ゼルダの伝説」ライクと言っていいだろう 見え方に関しては以上の通りだが、中身やゲームプレイの部分において「ゼルダ」を感じないプレイヤーは多いだろう。たとえばエリオット自身に経験値やレベルでの成長はなく、体力を強化させるためには各地の宝箱に隠された「生命の欠片」を集める必要がある。ひび割れた壁を見つければ、武器のうち「爆弾」を使ってその壁を破壊する。遠くに見える仕掛けを動かすために弓矢を装備して射る。シームレスに端から端まで移動できるマップのボリューム感などを考えると、シリーズの中でも『ゼルダの伝説 夢をみる島』の質感がかなり近いだろう。

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オクトパストラベラーⅡ -Switch

旅立とう。君だけの物語へ。2018年に発売され、全世界出荷+ダウンロードが300万本を突破した「オクトパストラベラー」のシリーズ完全新作RPG。ドット絵と3DCGを融合した「HD-2D」のグラフィックが、さらなる進化を遂げて登場。ソリスティアと呼ばれる新たな大地で、新たな時代に、新たな8人の旅が始まる。

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