2026年5月21日にSnøVittraからリリースされた『Lost in Cheese』は、一見すると非常にかわいらしく、のんびりとした雰囲気が漂うカジュアルパズルゲームだ。しかし、その中身はパズルファンの心をガッチリと掴んで離さない、極めて完成度の高い「倉庫番」系ロジックパズルに仕上がっている。
四角い猫がチーズを押すシュールで愛らしい世界観
プレイヤーが操作するのは、インターネットの寵児である「猫」。しかも、コロンとした立方体(キューブ型)の姿をしたキュートな猫だ。舞台は、突如として大量のチーズに埋め尽くされてしまった美しい島々。プレイヤーはこの四角い猫を転がし、道を塞ぐ巨大なチーズキューブを押して動かし、ゴールである「大きな赤いボタン」を目指すことになる。
ゲームの拠点となるハブエリアは、単なるメニュー画面ではなく、実際に歩き回れる仕様。そこにいる他のキューブ型の猫たちと他愛のない会話を楽しむことができ、パズルの合間にほっと一息つける温かみのある空間が用意されている。
絶妙なゲームバランスがもたらす高い中毒性
倉庫番スタイルのパズルといえば「難しすぎて頭が痛くなる」というイメージを持つ人もいるかもしれないが、本作の難易度曲線は非常に緩やかで美しい。 序盤はサクサクとクリアできるものの、ステージが進むにつれて新しいギミック(プレイヤーを上空へ打ち上げる大気プラットフォームや、特殊なスイッチなど)が追加され、少しずつ、しかし確実に歯ごたえが増していく。
特にユニークなのが、ステージの節目に登場する特殊なパズル。猫自身が立方体であることを活かし、「ゴールボタンにちょうど顔から突っ込む(正面を向いた状態で着地する)」ように移動を計算しなければならない。このコロンコロンと転がる動きの計算が実に知的で、思い通りにボタンをカチッと押せた瞬間の快感は、脳汁が溢れ出るほどに気持ちいい!
効率を求めるか、気楽に楽しむかはプレイヤー次第
各ステージには「指定移動回数」の目標が3段階設定されており、より少ない手数でクリアするほど、新しいエリアの解放に必要な「キャットトークン」が多く手に入る。 完璧なクリアを目指そうとすると、1手のミスも許されないシビアな戦略ゲームへと変貌する。しかし、本作はカジュアルに楽しみたいプレイヤーへの配慮も忘れていない。どうしても解けない難問にぶつかった場合は、ステージを「スキップ」できる救済措置が用意されているのだ。
また、ステージ内に配置されたコインは、一度回収すればクリアできなくても記録が残る親切設計。まずはトークン集めに集中し、後から手数を気にせずコイン集めのためだけに再挑戦する、といった自由な遊び方ができるのも嬉しいポイントだ。
唯一の不満点と、それを補って余りある魅力
実際に時間を忘れて3時間以上ぶっ続けでプレイしてしまった筆者だが、唯一「これだけは欲しかった」と感じたのは「一手戻る(Undo)」機能の不在だ。倉庫番系の宿命として、チーズを壁際に押し込んでしまうと詰んでしまう。あと一歩でクリアというところで押し間違え、また最初からステージをリスタートせざるを得ない瞬間は、正直「チクショウ!」と叫びたくなった。
それでも、リズミカルで心地よいBGMと、ステージをクリアするたびにチーズの謎の起源へ近づいていくワクワク感、そして可愛らしいスキン(見た目変更)の解放要素が、プレイヤーを再び画面へと引き戻す。この価格帯のインディーパズルゲームとしては、グラフィックの洗練度や全体のクオリティが頭一つ抜けている。
総評:現代人の疲れた脳を癒やす隠れた名作
ゲーム自体はシンプル。だが、シンプルだからこそ、 exhaustion(消耗)した一日の終わりに、頭をすっきりさせるためのリフレッシュとしてこれ以上ない作品だ。Steam Deckとの相性も抜群で、ベッドの上で寝転がりながらコロンコロンと猫を転がしているだけで、至福の時間が過ぎていく。パズルゲームが苦手な人にも、あるいは目の肥えたパズルマニアにも、自信を持っておすすめできる至高の癒やし系パズルだ。
ゲーム概要
- タイトル: Lost in Cheese
- 発売日: 2026年5月21日
- 開発元 / パブリッシャー: SnøVittra
- 価格: 1,500円
- ジャンル: カジュアル・コージー・パズル(倉庫番スタイル)
- ステージ数: 80レベル以上の美しい島々
- 特徴: * キュートなキューブ型の猫とチーズをテーマにした世界観
- 思考型パズルと、手数を最適化するやり込み要素
- 進行を止めないステージスキップ機能搭載
- コイン収集やキャラクターのコスメティック(スキン)解放要素
- リラックスできるハブエリアと、心地よいサウンドトラック
- ストアリンク(Steam): Lost in Cheese Store Page