謎の企業「マイセリウム」と不本意な契約を結ばされ、死後もなお労働を強制される男たち。プレイヤーに課せられた任務はシンプルだ。自動生成される不気味なリミナルスペースの森へと足を踏み入れ、「菌糸体(マイセリウム)の標本を採取して脱出する」こと。しかし、静寂が支配するこの闇の森は、決して甘くはない。
本作の公式トレーラーはこちらから視聴可能だ。森の持つ圧倒的な空気感と、プレイヤーを陥れる数々の罠の一端をその目で確かめてほしい。
静寂の恐怖を増幅させる圧倒的な空間オーディオ
本作をプレイしてまず圧倒されるのは、耳を疑うほどリアルなサウンドデザインだ。風に揺れる木々のざわめき、足元でパキッと割れる小枝の音、そして暗闇の奥から聞こえてくる「何か」のうめき声。空間オーディオの出来が秀逸で、ヘッドホンを突き抜けて脳裏に直接恐怖がこびりつく。
このゲーム、とにかく音へのこだわりが尋常ではない。じっくりと恐怖が染み渡るようなスローペースな展開だからこそ、一歩一歩の緊張感が跳ね上がる。安易なジャンプスケア(びっくり要素)に頼るのではなく、空間そのものが放つ狂気でプレイヤーをじわじわと精神的に追い詰めてくるのだ。
容赦のない難易度と理不尽なテレポートがもたらす混沌
マルチプレイヤーで仲間と固まって進んでいたはずなのに、突如として発生するトラップによって、メンバーが別々の場所へ強制テレポートされたときの絶望感は筆舌に尽くしがたい。さっきまで聞こえていた味方の呑気なボイスチャットが遠ざかり、完全に一人きりで暗闇に取り残された瞬間、心臓が爆発しそうになる。
最初はとにかく死ぬ。何度も死ぬ。集めた物資をすべて失うペナルティは重く、序盤はまともに装備も買えずに心が折れかけるかもしれない。だが、死は無駄にはならない。命を落とすたびに図鑑にモンスターの生態データが登録され、プレイヤー自身が「対策」を学習していくローグライト的な面白さがある。難易度は高いが、それだけに生還できたときのカタルシスは格別だ。
罵倒してくるロビーの「彼女」に会いに行きたくなる中毒性
ミッションを失敗して命からがらロビーに戻ると、待っているのは冷徹な女性管理職(マネージャー)からの手厳しい罵倒だ。「キノコも持ち帰れずに死ぬなんて何事か」と言わんばかりに冷たくあしらわれるのだが、これが不思議とクセになる。コミュニティで彼女の存在がカルト的な人気を誇っているのも大いに頷ける。
ミッションを重ねて資金を貯めれば、より高度なガジェットを購入して探索時間を延長できるようになる。ゲームを進めるほどに、SCPや『Alan Wake』を彷彿とさせるディープな世界観とストーリーの謎が明かされていき、気がつけば「もう一回だけ……」と闇の森へ引きずり込まれてしまう。荒削りな部分は残るものの、ソロ開発とは思えない熱量とポテンシャルを秘めた、間違いなく今期注目の隠れた名作だ。
『Mycelium: The Silent Contract』ゲーム概要
- タイトル:Mycelium: The Silent Contract
- 発売日:2026年4月27日
- 開発元:Po Kolu
- パブリッシャー:Proteus Interactive
- ジャンル:協力/シングルプレイヤー脱出ホラー(エキストラクションシューター・ローグライト)
- 価格:1,350円
- 言語対応:日本語非対応(英語他)
- プラットフォーム:PC(Steam)
- ストアページ:https://store.steampowered.com/app/3583970/Mycelium_The_Silent_Contract/