「神々のトライフォース」をスクウェア・エニックスが作ったら?スクウェア・エニックスによるHD-2D初のリアルタイムアクション『冒険家エリオットの千年物語』のレビューが掲載された。IGN JAPANでは山田集佳がレビューを担当した。「いくつもの先行作品をコンパクトに磨き上げた、インディーゲームのような手触り」として、7点を付けている。本稿ではIGN USのレビュー(8点)の全文をお届けしよう。 私はドット絵が大好きだ。 『クロノ・トリガー』、『ファイナルファンタジーVI』、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』といった90年代の名作は、何10年経った今でも息を呑むほど美しい。一方で、同時代の3Dゲームの多くはそこまで年月に耐えられていないように感じる。 だからこそ、スクウェア・エニックスが代名詞とも言えるHD-2D表現を採用するたびに、私は自然と注目してしまう。そして今回、その美学がターン制RPGの枠を飛び越え、『冒険家エリオットの千年物語』というアクションアドベンチャーへと広がったことに大きな期待を抱いた。 緑ではなく赤い帽子をかぶっているとはいえ、本作が投げかける問いは非常に分かりやすい。 「もしスクウェアが『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』を作ったら?」 その答えは、私自身が欲しいとすら思っていなかった冒険だった。魅力的なストーリー、奥深いビルド構築、そして今後ももっと見てみたいと思わせる世界観。 主人公のエリオットは冒険家だ。困っている人を見れば助け、問題があれば解決する。そんな彼は国王の召喚を受けたことをきっかけに、当初は平凡に見えた依頼から、王女と王国そのものを救う壮大な使命へと巻き込まれていく。しかも、その過程で時代を超える旅をすることになる。 エリオットは応援したくなる主人公だ。カリスマ性はあるが、決して鼻につくことはない。そんな彼の相棒となるのが、少し記憶喪失気味の小さな妖精フェイだ。彼女は魔法によって敵と戦い、エリオットの旅を支えてくれる。おしゃべりな性格であり、その頻度は設定である程度調整できるものの完全にオフにはできない。プレイヤーが考える前にパズルの答えを口にしてしまう「相棒キャラあるある」に陥ることもある。それでも、旅の仲間としては十分魅力的だった。 約20時間に及ぶ冒険の中で、私はこの世界と登場人物たちを心から好きになった。感動的な見せ場の多くがかなり終盤、場合によってはクリア後要素に入ってから訪れる点は少々気になるが、それでも彼らの行く末を見届けたいと思わせる力がある。 本作の核となる要素のひとつがタイムトラベルだ。しかし、この仕組みは最後まで完全には活かし切れていないように感じた。プレイヤーは複数の時代を行き来することになる。確かに時代によって地形やルートが変化する場所もある。魔法時代に存在した壮麗な建築物の遺跡を、復興時代に発見するといった体験はなかなか面白い。しかし街の外へ少し出れば、そこにはどの時代でも同じ木々や低木が並んでいる。さらに不思議なのは、頻繁に訪れる獣人族の集落がほとんど変化しないことだ。狼のような姿をしたウルフル族は、1000年もの年月があってもテントを数張り増やすことすら思いつかなかったのだろうか? 敵の変化も同様に乏しい。現代の洞窟を探索していても、芽吹きの時代の砂漠を歩いていても、戦う相手はほぼ同じだ。ナメクジ、ネズミ人間、奇妙な飛行生物――そうした敵と何度も剣を交えることになる。敵を避けて進むこと自体は比較的容易だし、先を急ぎたい時はほとんどの敵を無視できる。だが、その結果として敵のバリエーション不足が目立ってしまう。冒険開始から数時間も経てば、以降登場する敵の大半をすでに見終えてしまうのだ。時代ごとの違いとして印象に残るのは、魔法時代に誕生した自動機械兵が、未来では錆や汚れに覆われた色違い版になっている程度だった。 それでもHD-2D表現の美しさは疑いようがない。壁の向こうに敵が隠れていて見づらいこともあったが、それは次の絶景を目にした瞬間に忘れてしまう程度の問題だった。垂れ下がる藍色の葉が美しい巨大な木、火山の頂、大都市の輝く建造物群など、どれも印象的だ。 ボスのデザインも秀逸で、レーザーを放つ溶岩トカゲや、巨大なカメに乗ったカエルの親分など、思わず笑ってしまうような個性的な敵が揃っている。 私はNintendo Switch 2版で全編をプレイしたが、PC版と比較してもロード時間やわずかな処理落ちを除けば非常に良好な仕上がりだった。 魔石が生む自由な戦闘 …
つづきファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズ
1997年に誕生したタクティカルRPGの金字塔『ファイナルファンタジータクティクス』。 戦術性の高いバトルと重厚なストーリーを備えた本作が、新たな時代のプレイヤーたちに向けて、鮮やかに蘇る。
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