なぜ『バイオハザード RE:ベロニカ』はクレア・レッドフィールドにとって最高のリメイクになるのか

クレアの物語を描き切るために、これ以上ないリメイク候補本稿の執筆は、マット・カブラル。1996年にスペンサー邸のきしむ両開きの扉をくぐって以来、「バイオハザード」シリーズを熱心に遊び続けているライターだ。 Summer Game Festで『バイオハザード RE:ベロニカ』が大々的に発表されたとき、多くのファン、なかでも近年のリメイク作品をきっかけに「バイオハザード」シリーズに親しんできた人たちは、そろって「ついにか!」と思ったに違いない。 『バイオハザード コード:ベロニカ』は、もともとドリームキャスト独占タイトルとして発売され、ナンバリング外ながらカルト的人気を誇るタイトルだ。30年続く「バイオハザード」シリーズを近年の作品で知ったプレイヤーもその高い評価を長年耳にしてきたわけで、ついにその評価の理由を自分の目で確かめられることを楽しみにしている人も多いだろう。また、次のリメイク作品をめぐるあらゆる噂や憶測が、プラーガの寄生体のように踏みつぶされたことに安堵もしただろう。 だが、シリーズの新たなファンとなった彼らが本当に喜んだのは、クレア・レッドフィールドの物語の続きを、辛抱強く待ち続けてきたからではないだろうか。行方不明になった兄クリス・レッドフィールドを捜す彼女の旅は、『バイオハザード RE:2』(レビュー)のエンディングから7年以上も宙に浮いたままだったのだ。 もちろん、『バイオハザード RE:2』をクレア編、レオン編、あるいはその両方でクリアした人ならご存じのとおり、クレアは長らく行方不明だった兄のクリスが、実はヨーロッパへ「休暇」に出ていたことを知る。それも、彼女がゾンビのはびこるラクーンシティにたどり着くより、はるか以前に旅立っていたのだ。 ケルベロスたちがスペンサー邸の窓を突き破って飛び込んできたあの頃からシリーズを追い続けてきたような熟練サバイバーでなければ、『バイオハザード RE:3』(レビュー)は、クレアがパリへ向かう場面からそのまま始まると思っていても無理はない。実際、2020年発売の『バイオハザード RE:3』の冒頭は、クレアを操作する場面から始まったと勘違いしてしまってもおかしくない。というのも、『バイオハザード RE:3』は女性キャラクターの一人称視点で、巨大なラクーンシティの地図や、『バイオハザード RE:2』でクレアの前で息を引き取ったアネット・バーキンの写真など、意味深な品々が置かれたアパートを探索する場面から始まるからだ(実際はロード画面に主人公であるジルの名前が表示されるが)。 こうしたクレアを思い起こさせる演出があるものの、『バイオハザード RE:3』がネメシスに追われるジル・バレンタインの物語であることは、すぐに明らかになる。ただ、クレアとクリスの物語はそこで描かれることなく、次にリメイクされた『バイオハザード RE:4』(レビュー)では、レオン・S・ケネディが再び主人公となった。レオンも作中の6年後、ヨーロッパへ向かうことになるが、その目的は元R.P.D.の同僚を捜すことではなかった。 さて話は、ついに発表された『バイオハザード RE:ベロニカ』へと戻る。本作は、多くのファンがリメイクを待ち望んできた作品だ。長らく脇に追いやられてきたクレアの「兄を捜す旅」をようやく正当に引き継ぐだけでなく、レオンやジル、そして実の兄クリスといった人気キャラクターたちの陰に隠れ、たびたび出番を譲ることになってきたクレア・レッドフィールドを、再びプレイヤーが操作できる作品でもある。 作品数の数え方や、正史か非正史か、本編かスピンオフか、続編と呼ぶべき作品か、レールシューターか、モバイル作品か、あるいはアンブレラのロゴが登場するそのほかあらゆるメディアまで含めるべきかといった議論はさておき、クレアはシリーズを代表する4人の主人公のひとりとして広く認められている一方で、ほかの3人に比べると本編作品でプレイアブルになった機会は少ない。オリジナル版『バイオハザード2』と『バイオハザード コード:ベロニカ』での専用シナリオを除けば、彼女がT-ウイルスと戦う姿をもっとも印象的に描いた作品は、カプコンの(すばらしい)エピソード形式のスピンオフ作品『バイオハザード リベレーションズ2』(2015)だろう。

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