【コラム】『グランド・セフト・オートIII』が「GTA」を、そしてゲーム史を変えた45秒

「広い世界を作るスタジオ」から「忘れられない体験を作るスタジオ」へ「グランド・セフト・オート」シリーズの歴史を振り返っても、「Bomb Da Base Act II」ほどゲーム世界そのものの地形へ大きな変化をもたらすミッションはほとんど存在しない。そのことこそが、このわずか45秒間の短くも鮮烈な狙撃ミッションが、今なおこれほど強く記憶に残り続ける理由のひとつなのだろう。 現代の基準で見れば、このミッションは驚くほどシンプルだ。精密な長距離狙撃というコンセプトだけで一本のゲームが成立する時代において、『グランド・セフト・オートIII』(以下、GTA3)が45秒だけそのアイデアへ触れたことなど、大した出来事には思えないかもしれない。 だが、誤解してはいけない。 「GTA3」によってロックスター・ゲームスは現代のビデオゲームのあり方を発明し、「Bomb Da Base Act II」によって「グランド・セフト・オート」そのものを生まれ変わらせたのだ。 「Bomb Da Base」は、その後のRockstar作品を象徴することになる、より複雑で、アクション映画さながらの大規模演出を初めて垣間見せたミッションでもあった。後年の作品を特徴づけるドラマチックな物語や、このAAAスタジオの中でも屈指の存在であるロックスターならではの型破りなミッションデザイン。その萌芽が、ここには確かに存在していた。 ​ 「GTA3」ほど歴史的なゲームはそう多くない。そして、これほど歴史を変えた続編となると、さらに数えるほどしか存在しない。2000年前後、2Dから3Dへの転換を見事に成し遂げたシリーズ作品といえば、『スーパーマリオ64』と『ゼルダの伝説 時のオカリナ』くらいしか思い浮かばない。そんな作品群と肩を並べること自体、本作が業界へ与えた影響の大きさを物語っている。 しかもそのルーツは、スコットランドのダンディーという比較的地味な街だった。ジャージ姿の若者集団や、コミックキャラクター「Desperate Dan」、そしてオニオンパイで知られる土地から、ゲーム史を変えるシリーズは生まれたのである。「グランド・セフト・オート」シリーズを初代から遊んできたプレイヤーにとって、「GTA3」は実に馴染み深い作品だった。 世界のシミュレーションやグラフィックは飛躍的な進化を遂げたものの、MS-DOS版『グランド・セフト・オート』を特徴づけていたゲームプレイの核は、そのまま受け継がれていたからだ。自由に探索できる都市。依頼を受けて進めるジョブシステム。車へ乗れば流れ始めるラジオ局。……道端のハレ・クリシュナ信者を気軽にひき殺すような要素だけは、さすがに姿を消していたが。 ポリゴンで描かれたリバティーシティは、かつてないほど現実味を帯びていた。しかしミッションデザインそのものは、それまでのシリーズから大きく前進したようには感じられなかった。「Bomb Da Base」までは。 ​ イタリアン・マフィアは、コロンビア・カルテルとの縄張り争いで劣勢に立たされていた。麻薬「SPANK」を独占するカルテルは、リバティーシティの裏社会で最大勢力へとのし上がり、サルバトーレ・レオーネは彼らを何としてでも排除したいと考えている。そんな折、カーリー・ボブというマフィアの情報屋が偶然にもカルテルの秘密工場の存在を突き止める。それが、ポートランド港へ係留された貨物船「Les …

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