物理メディアが姿を消そうとする今、デジタルゲームにも「所有」の仕組みが必要誰もが、ゲームを借りてまったく新しい世界を発見したという原体験のような記憶を持っている。私にとって、それは「Fallout」だった。友人のジョーがXbox 360版『Fallout: New Vegas Ultimate Edition』――ゲーム本編に加え、すべてのDLCを1枚のディスクに収録した便利な完全版――を貸してくれたおかげで、私は週末を丸々費やしてObsidian Entertainmentが描く、終末世界のモハベ砂漠に夢中になった。それ以来、「Fallout」は私のお気に入りのフランチャイズのひとつとなっている。その記憶は、ビデオゲームが本質的に共有する体験であり、互いにゲームを貸し借りすることこそ、そのもっとも純粋な形なのだとあらためて思い出させてくれる。それは「私はこの体験が大好きだった。きっとあなたも気に入ると思う」と伝えることなのだ。 PlayStationが2028年1月に物理ディスクの生産を終了すると決めたことは、そうした共有体験を真っ二つに引き裂く決断だったと言っても過言ではない。 物理的に所有することには、ある種の魔法がある。クリスマスの朝、初めてゲームの包装を開けるときの高揚感。同梱された説明書をパラパラとめくり、地図やアートカードといった特典を見つける楽しさ。そうした魅力の多くは、時代の流れやコスト削減のための生産効率化によって失われてしまった。しかし、私たちはまだひとつだけ失っていないものがある。それは「選択肢」だ。そのゲームを10年間手元に置いておくこともできれば、10日後には友人に貸して遊んでもらうこともできる。そのゲームをどうするかは、あなた自身が決められる。 次に誰がプレイしようと、そしてそれがいつであろうと、その愛された体験は変わらない。ゲームの物理パッケージは、まるで琥珀の中に閉じ込められたかのように、決して変わることがない。だからこそ、『グランド・セフト・オートIV』や『Alan Wake』、『Tony Hawk’s Pro Skater 1 + 2』といった作品は、発売当時の、そして多くの人の記憶に残る楽曲をそのまま収録し続けられる。ライセンス契約の期限が切れたからといって、パブリッシャーがあとから作品に手を加え、そうした名曲を削除することはできないのだ。 しかし何より重要なのは、所有することが「投資」だからだ。それは、ビデオゲームという体験を信じるからこそ、プレイヤー自身が自らの人生に対して行う投資でもある。初めてのアルバイトでシフトを増やし、そのお金でゲームを買う15歳であれ、待ちに待った新作を遊ぶために週末を丸々空ける50歳であれ、そのゲームを購入したあとにどう扱うかを決める権利は、購入した本人だけにあるべきだ。では、なぜ今、私たちのゲームはかつてないほど手の届かない存在になりつつあるのだろうか。その理由を理解するには、まずDRM(デジタル著作権管理)について理解する必要がある。 プレイヤーの間には、デジタルゲームを購入すれば、それを所有したことになるという誤解がある。しかし、実際にはそうではない。DRM(デジタル著作権管理)とは、PlayStation StoreやSteamといったデジタルストアでコンテンツを購入した際、そのコンテンツを利用するための「ライセンス」が付与される仕組みのことだ。つまり、私たちが購入しているのは、実質的にはパブリッシャーとストアからプレイヤーへ提供される長期的な貸与にすぎない。そのため、その権利はいつでも取り消される可能性がある。 ビデオゲーム業界とDRM(デジタル著作権管理)の複雑な関係は長年続いているが、それが本格化したのは2010年代だ。パブリッシャーは、その主な目的は海賊版対策にあると主張してきた。2010年代初頭には、2013年版『SimCity』や『Diablo III』をめぐる悪名高い騒動が起きた。「常時オンライン」のDRMが初めて必須要件となったことで、サーバー障害によってプレイヤーがゲームをまったくプレイできなくなる事態が発生したほか、ゲームにログインするとクラウド上のセーブデータが跡形もなく消えていたというケースもあった(Techdirtによる当時の記事)。DRMが適用されたゲームは、まるで見えない糸につながれた1セント硬貨のようなものだ。いつまでも自分のものだと思って手に取ったはずが、突然それを手元から引ったくられ、起きたことを受け入れる以外にほとんど選択肢がないのである。 Steamを例に挙げよう。ランチャーからゲームを起動すると、ストアとパブリッシャーの間では目に見えないやり取りが行われている。要するに、「このユーザーに、このゲームへのアクセスを許可しますか?」と確認しているのだ。それは、何百万本ものデジタルの糸が1本の大きな鎖につながっているようなものだ。パブリッシャーがその鎖を引っ張るだけで――あるいは、業界を引き裂いている終わりの見えない経営不安の波にのみ込まれるだけで――誰もがゲームへのアクセスを失ってしまう。もしレストランで食事をしていて、食べている途中にシェフが出てきて料理を取り上げたら、誰だって憤慨するだろう。ゲームでも同じではないだろうか。ゲームが配信停止になる理由は、著作権ライセンスの期限切れや、顧客への影響を顧みず、パブリッシャーがサーバーインフラを整理したいという事情であることが少なくない。今やデジタルストアでの配信終了によって入手が難しくなったゲームは数多い。『Spec Ops: The Line』、『Deadpool』、初代『スーパーマリオメーカー』は、そのほんの一例だ(註:原文ではこれらに加えて『バイオハザード オペレーション・ラクーンシティ』への言及があるが、同作のXbox版は今も販売が継続している)。そして今、物理ディスクまで廃止の危機に瀕している。今挙げたこれらのゲームは、配信期間中にデジタル版を購入していなければ、現在では物理ディスクでしか入手できない。物理ディスクが失われれば、このリストは爆発的に増えていくことになるだろう。
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