時間の使い方もプレイヤーの選択次第のナラティブサンドボックスという試み「時間切れになったからといって、ゲームが終わるわけではありません」と、『The Blood of Dawnwalker』のクリエイティブディレクターを務めるマテウシュ・トマシュケイビッチ氏は語った。 時間の取り扱いは、間違いなく本作においてもっとも議論を呼んでいるテーマだ。そして、開発者たちがこれまで語ってきた内容をよほど注意深く追っていなければ、『The Blood of Dawnwalker』における時間の仕組みについて抱くであろうイメージは、実際の仕組みとは大きくかけ離れている可能性がある。 まず本作において時を刻み続けるタイマーは存在しない。そして決められた時間内にゲームをクリアしなければならないわけでもない。あらかじめ定められた時点で旅が終わるわけでもない。では、たびたび話題に上る「家族を救うために与えられた30日間」とは何なのか。それは文字どおり、家族を救うことだけに適用される制限だ。この制限時間内に家族を救えなかったとしても、人生は続いていく。ゲームはそのまま続き、物語は変化していくのだ。 「実際に時間切れまでプレイしてくれる人が現れることを心から願っています」とマテウシュ・トマシュケイビッチ氏は続ける。「そうすると、通常のプレイでは見ることのできないコンテンツを体験できます。とてもおもしろいと思いますよ」 『The Blood of Dawnwalker』の時間システムがこれほど混乱を招いてきたのも無理はない。「ペルソナ」シリーズのカレンダーや、『ファイアーエムブレム 風花雪月』の学園生活の1年間など、似たようなアプローチを採用したゲームはあるものの、Rebel Wolvesの作品とまったく同じ仕組みのものは存在しない。プロローグを終えると、メインクエストで主人公のコーエンは、邪悪な吸血鬼ブレンシスから家族を救うため、時間との戦いを強いられる。 しかし、それは時間がつねに減り続けるという意味ではない。30日間は、それぞれ8つブロックに区切られたバーで表されており、クエスト目標を達成するとそのうちの1つが消費される。すると世界は昼から夕方、夜、朝へと進み、それを繰り返していく。時間を進めるのは砂時計アイコンが付いた行動だけだ。そうした行動以外では、時計の針は1秒たりとも進まず、好きなだけ自由に世界を探索できる。要するに、時間はクエストをアンロックするために支払う「通貨」だと考えればよい。ゲーム開始時には「480時間ドル」を持っており、それを使ってクエストを進めていくことになる。そして480という数字は、決して少ないわけではない。 したがって時間的なプレッシャーがかかるのは、コーエンが家族を救うという目的に対してだけだ。そのプレッシャーをどれだけ長く抱え続けるかはプレイヤー次第となる。大胆に挑むなら、ブレンシスの城へ一直線に向かい、すぐに家族を救出して、『The Blood of Dawnwalker』のメインクエストをわずか数日で終わらせることも可能だ。しかし、厳重に守られた吸血鬼の城を攻め落とすのは容易ではない。最終決戦に挑む前に、仲間を集め、ブレンシスの支配体制を切り崩すために時間を費やす必要があるだろう。つまり、結果的に時間は大きなプレッシャーとなる。世界に用意された数々のクエストのうち、どれに時間を使う価値があるのかを慎重に見極めなければならない。 「このリソースをどう使ってプレイするかを考えなければなりません」とナラティブディレクターのヤクブ・スザマレク氏は語る。「逆にコーエンの家族の運命を気にしないのであれば、ゲーム内のコンテンツをすべて見ることもできます。彼らが血の海に沈む結末を迎えても構わないのであれば、世界の隅々まで自由に探索できるのです。これもまた、プレイヤーに委ねられた選択肢のひとつなんです」 時間はクエストをアンロックするために支払う「通貨」だと考えればよい。ゲーム開始時には「480時間ドル」を持っていることになる 開発元Rebel Wolvesは、この時間システムを、不必要にプレッシャーを与える仕組みではなく、プレイヤーの選択とその結果を生み出す仕組みとして捉えてほしいと考えているのだ。たとえば、30日間のカウントダウンを無視し、コーエンの家族を死なせるという選択をしたとしても、それが「バッドエンディング」を意味するわけではない。マテウシュ・トマシュケイビッチ氏は、この点を『バルダーズ・ゲート3』でダークアージや悪のルートを選択した際のプレイを引き合いに出して説明した。「(開発元Larian Studiosは)善のルートを選んだからといって『あなたは善人だ』とか、この(悪のルート)を選んだからといって『それが正しい選択だった』とか、そういう描き方はしていません」と同氏。「道徳的に正しい選択ではありませんが、それもゲームの進め方として成立しています。失敗扱いになるわけではありません。私たちも同じ考え方で開発しています」 どのようなプレイスタイルを選ぶにせよ、本作の時間システムがプレイヤーの体験をどう形作るかは、Rebel Wolvesのスタッフがとりわけ強いこだわりを持っている部分だ。「『一部の要素を見られなくなってしまった。それってよくないことなんじゃないか』と心配する方もいるかもしれません」とマテウシュ・トマシュケイビッチ氏は語る。「そうとも言えますし、そうでないとも言えます。見られなくなる要素があるという意味では、そのとおりです。しかしその一方で、友人とはまったく異なる体験をすることになり、お互いの体験を比べることもできます。すると、それはただ一本道の体験を消費して終わるのではなく、自分自身で形作った、自分だけの体験のように感じられるのです」 時間システムがプレイヤーの旅路の大部分を形作るのはたしかだが、それがすべてというわけでもない。多くのプレイヤーにとって、『ウィッチャー3 ワイルドハント』はゲラルトとシリの旅が終わった時点で終わりではなかった。そのあとにも、何十時間分ものクエストが残っていたからだ。それはいわゆるクリア後のコンテンツではなく、いわゆる「メイン」のプレイ中には手が回らなかった数多くのサイドクエストだった。同じことが『The Blood of Dawnwalker』にも当てはまる。30日間が過ぎたあともプレイを続け、残っているクエストをこなしたり、世界に隠された秘密を見つけたりできる。 「時間システムは物語と結びついているものであって、ゲームを終わらせるものではないと理解していただくことが非常に重要です」と、ゲームディレクターのコンラッド・トマシュケイビッチ氏は説明する。「私たちが用意しているアクティビティのほとんどは、30日後に起こる出来事とは直接関係しておらず、30日が過ぎたあとでも意味をもち続けます」と続けた。 また、時間システムがどうしても気になってしまう人に向けて、ひとつ付け加えておこう。『The Blood of Dawnwalker』はファンタジーテイストのゲームだ。時間を操る手段が登場しても不思議はない。この点については、今後のIGN Firstの記事で詳しく紹介する予定だ。 ナラティブサンドボックスとは 時間システムは、Rebel Wolvesが「ナラティブサンドボックス」と呼ぶものと密接に連動している。一見すると新しい仕組みのように思えるが、その発想は実にオールドスクールだ。「私たちは、『Fallout』や『Fallout 2』のような、こうした構造を採用していた昔のRPGが本当に大好きなんです」とマテウシュ・トマシュケイビッチ氏は説明する。「ああした作品では、街で大暴れしたり、特定の選択をしたりするだけで、ゲーム内要素の大半が――重要なストーリーラインでさえ――進められなくなったり、大きく変化したりしました。それが私たちにも、とてもしっくりきたんです」 『The …
つづきFire Emblem Engage(ファイアーエムブレム エンゲージ) -Switch
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