10年間ディスクを買っていないPCゲーマーの視点から見ても、PlayStationのデジタル化には警戒すべき理由があるここ数週間、ゲームディスクは立て続けに2度の打撃を受けた。まず、ロックスター・ゲームスが『グランド・セフト・オートVI』を物理ディスクなしで発売日を迎えることを発表し、続いてソニーが2028年1月までにPlayStation向けのディスク生産を終了する計画を明らかにしたのだ。反発は非常に大きいものの、どちらの企業も方針を撤回するとは考えにくい。私たちが望むと望まざるとにかかわらず、ディスクレスの未来は確実に近づいている。 しかし、PCゲーマーにとって、その未来はすでに現実のものとなっている。私にとってデスクトップPCは長らくメインのゲーミングマシンであり、最後にディスクを買ったのがいつだったか思い出せないほどだ。そもそも、そのディスクを入れるためのドライブを搭載したPCを使わなくなってからも、ずいぶん経つ。 10年以上にわたり、PCではディスクレスが完全に当たり前の状況となっている。その間に問題もあったものの、プラットフォーム全体としてはかつてないほどの隆盛を見せており、現在では大半のプレイヤーが圧倒的な存在感を誇るデジタルストア、Steamを強く支持している。 では、コンソールもデジタル中心の未来へ移行すれば、すべてうまくいくのだろうか。まぁ……そうかもしれない。ここからは、PCにおけるディスクレスゲームの歴史を振り返り、それが今後の行方について何を示しているのかを見ていこう。 2003年にサービスを開始した当時、Steamは歓迎されるどころか冷ややかな反応を受けていた。多くのプレイヤーはこれを不要なDRM(デジタル著作権管理)と見なし、Valveが立ち上げた新たなデジタルストアの存在意義に疑問を抱き、自分たちのゲームに継続的なパッチやアップデートが配信されるという考えにも抵抗を示した。 当時、そうした抵抗があったのも無理はなかった。多くのプレイヤーはまだダイヤルアップ接続を利用しており、つねにオンラインでいるという考え方も、まだずっと先の話だった(註:2003年のSony Computer Entertainment Americaのリリースにはオンラインゲームのプレイについて「ダイヤルアップが42%、ブロードバンドが58%」という旨の記述がある)。さらに、サービス開始当初のSteamは使い勝手が悪かった。未完成に思える構想に参加するために、まず乗り越えなければならない厄介なハードルだったのだ。 しかし、『Half-Life 2』、そして『Portal』や『Team Fortress 2』をプレイしたいのであれば、Steamに慣れるしかなかった。歴代最高峰とも言えるPCゲームを遊ばない選択肢など、あっただろうか。そうしてSteamは足がかりを築き、やがて私たちにも受け入れられていった。 サードパーティー製ゲームがSteamに加わったこと――その始まりは、現在ではあまり語られることのない『Rag Doll Kung Fu』だった――によって、Steamは単にValveのゲームをダウンロードする場ではなく、もっと大きな存在になり得るという考えが確固たるものになった。Steamアプリ自体も、より洗練され、機能性を高めていった。そしてその一方で、より高速なインターネット回線や大容量のハードディスクが手の届きやすいものとなり、Steamを取り巻く環境も追いついていった。 それと同時に、こうした要因によって、PCゲームの海賊版がインターネット上で広まっていった。(やや誇張されていた面はあるにせよ)それは差し迫った脅威と見なされており、中古市場の存在と相まって、パブリッシャーはパッケージ版のディスクをますます警戒するようになった。プレイヤーがディスクを共有したりコピーしたりしないよう、限定コンテンツをアンロックする使い切りのコードや、シングルプレイゲーム向けのオンラインマルチプレイモードなど、さまざまな施策が導入された。しかし、そのどれも、ゲームをデジタル販売し、ひとりのユーザーのアカウントに永続的に紐付ける方法ほど効果的ではなかった。 『Half-Life 2』などをプレイしたいのであれば、Steamに慣れるしかなかった。歴代最高峰とも言えるPCゲームを遊ばない選択肢など、あっただろうか 消費者にとって、Steamは次第に障害ではなく、便利な存在へと変わっていった。あらゆるゲームをまとめて管理・購入できる場所となり、実店舗では太刀打ちできない定期的なセールや値引きも、ユーザーの定着を後押しした。プレイヤーがパッケージ版よりもデジタル版を選ぶようになるにつれ、パブリッシャーはパッケージ版のディスクへの注力を縮小し、その代わりに自社のデジタルストアへの投資を進めるほうが得策だと判断するようになった(その成否はさまざまだったが)。 2010年代までには、PCゲームのパッケージ版はすでにほとんど姿を消していた。さらに、ソフトウェアや音楽、映画、テレビでも同じようにデジタル化やストリーミングへの移行が進み、ついには決定打が放たれる。PCからディスクドライブそのものが姿を消したのだ。こうして、CD-ROMは完全にその役目を終えた。 では、現在はどうなっているのだろうか。結論から言えば、おおむね悪くはない。今ではPCをメインに遊ぶ人たちは、ゲームディスクを懐かしむことはほとんどない。ノスタルジーに浸ることがあったとしても、思い出すのは付属していたCD-ROMではなく、布製マップや分厚いマニュアルのほうだ。実際、多くのプレイヤーはSteamの利便性にすっかり慣れてしまい、それ以外の方法やプラットフォームでゲームを購入しなければならないことに不満を抱くほどになっている。 私たちは自ら進んでパッケージ版と、それがもたらす利点を手放した。その代わりに、中古市場やゲームの貸し借りと引き換えに、75%オフのセールや膨大な積みゲーを手に入れたのだ。 10年後には、PlayStationをはじめとするコンソールでも、完全デジタルの世界はおそらく当たり前のものとして受け入れられているだろう。今それに抵抗を感じるかどうかは関係ない。しかし重要なのは、PCとコンソールは同じではないということだ。そして、ソニーが今後責任ある対応を取らなければ、その弊害はもっと目立つものになる可能性がある。 あわせて読みたい
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