2Dが主流のメトロイドヴァニアジャンルにおいて、完全な立体空間での探索と高機動なアクションに挑戦した意欲作『Maseylia : Echoes of the Past』が登場した。フランスの作家メビウス(Mœbius)を思わせる独特のバンド・デシネ調アートスタイルと、新たな移動能力を手に入れるたびに世界の広がりを実感できるプラットフォームアクションが融合した一本だ。
メビウス調の色彩が彩る美しくも孤独な異星世界
ゲームを立ち上げると、まず目を引くのが淡いトーンと独特の輪郭線で構成されたセルシェーディングビジュアルだ。自然の有機的な風景と古代テクノロジーの遺構が混ざり合う空間は静謐で美しく、環境全体から漂う哀愁がプレイヤーの没入感を高めてくれる。
物語は、失踪した父親の痕跡を追って異星の深部へと潜っていく形で始まる。テキストによる過度な説明はなく、マップの各所に散らばる日記の断片や壁画、環境そのものから過去の歴史や出来事を読み解いていくスタイルだ。多くを語らない世界観だからこそ、未知のエリアへ足を踏み入れた際のワクワク感は格別なものがある。
能力拡張で世界が変貌する立体プラットフォームの快感
本作の最大の魅力は、探索を進めることで徐々に解放されていく移動アクションの気持ちよさにある。
- 多彩な機動アビリティ: 二段ジャンプやエアダッシュ、グラップルフック、水中遊泳などを獲得するたび、これまで届かなかった高所や遠くの足場へ一気にアクセス可能になる。
- 立体的な障害物突破: 崩れる足場や氷面の滑走、重力変化ギミックなど、多彩な地形を流れるような連続アクションで駆け抜ける爽快感は本作ならではの強みだ。
序盤こそ足取りが重く感じる場面もあるが、能力が揃ってくるとキャラクターの機動性が劇的に跳ね上がり、立体的なフィールドを自在に飛び回れるようになる。かつて苦労したルートを新たな能力であっさり飛び越えられた瞬間には、メトロイドヴァニア本来の「成長と突破」の快感がしっかりと味わえる。
アクション・戦闘の割り切りと気になるポイント
一方で、アクションや探索設計には小規模開発ゆえの荒削りさや割り切りも見られる。
- 戦闘はシンプルかつ補助的: 近接の杖と遠距離の弓を使い分ける構成だが、アクションの判定やボスのバリエーションは控えめ。戦闘での駆け引きというよりは、探索中のギミック解除や移動の合間のスパイスという位置づけに近い。
- 視認性とナビゲーション: 独特のアートスタイルゆえに足場と背景のコントラストが同化しやすく、高低差のある3D空間でルートを見失いやすい場面がある。
- 操作感: 繊細な空中制御が求められる場面では、コントローラーよりもキーボード&マウスの方がカメラやエイムの操作が安定しやすい。
戦闘の手応えを重視するプレイヤーにはやや物足りなさを感じさせるかもしれないが、デスペナルティが緩やかでリトライしやすい設計になっているため、純粋なプラットフォームアクションや探索に集中しやすいバランスとなっている。
本作はどんなプレイヤーにオススメ?
- 3Dプラットフォーマーや立体的な探索アクションが好きな人
- 『Metroid Prime』や『Pseudoregalia』のような3D空間でのアビリティ解放型タイトルを求めている人
- メビウス風のSFアートや『Sable』のような落ち着いた世界観に浸りたい人
- 難解な戦闘アクションよりも、アスレチックやマップ踏破をマイペースに楽しみたい人
荒削りな部分は残るものの、立体的な移動アクションと魅力的なアートディレクションがしっかりと噛み合った良作だ。
ゲーム概要
- タイトル: Maseylia : Echoes of the Past
- 開発元: Sol Brothers
- パブリッシャー: Sol Brothers
- 発売日: 2026年6月19日
- 価格: 2,150円
- ジャンル: 3Dメトロイドヴァニア / プラットフォームアクション
- 言語対応: 日本語字幕対応(日本語インターフェース・字幕)
- ストアページ: Steamストアリンク