運命の分かれ道今となっては想像しにくいかもしれないが、ロックスターが2018年にリリースした続編『Red Dead Redemption 2』において、前作の主人公であるジョン・マーストンが主役を務めないと分かった当時、失望の声が上がった時期があった。アーサー・モーガンという無名の存在が、すでに確立されていたマーストン以上に特別な存在になるとは、誰も思いもしなかったのだ。 もちろんロックスターもそれは百も承知だった。だからこそ『Red Dead Redemption 2』の制作過程において、彼らはアーサーの物語を極めて慎重に構築していった。アーサーという男がジョン以上にプレイヤーと繋がり、プレイヤー自身を反映できる存在になることを目指したのである。そして数年が経過した今、まったく同じ課題が『Grand Theft Auto VI(GTA6)』の主人公であるジェイソンとルシアの制作においてもロックスターの念頭にある。 「これらの作品で私たちが探求したいテーマのひとつ――そして『Red Dead Redemption 2』で最も意識的に取り組んだこと――は、『このキャラクターのどこまでが彼ら自身であり、どこからがプレイヤーであるあなたなのか?』という問いです」と、ロックスター・ノースの共同スタジオヘッドであるロブ・ネルソンは語る。 我々はロックスター・ノースへの訪問取材の際、ネルソンに話を聞くことができた。彼は、作品の物語やその中心にいるキャラクターの中に「大小さまざまな」選択肢とプレイヤーの主体性を浸透させることがいかに重要であるかを語ってくれた。 「たとえばアーサーですが、『Red Dead Redemption 2』をプレイしていると、時折『なぜ自分はダッチの言うことを聞いているのだろう? 彼は明らかに狂っているのに』と感じることがありました」とネルソンは言う。「『見知らぬこの連中をなぜ助けているんだ?』とね」 「そう質問されるたび、私たちは『ダッチはアーサーが文字も読めない15歳の頃に命を救ってくれたからだ』と答えていました。すると彼らは『それはアーサーの経験であって、自分(プレイヤー)の経験ではない』と言うのです。そこで私たちは、この問題に対処するためにいくつかの工夫を凝らしました。物語要素として、アーサーの金――ひいてはギャング全員の金――の隠し場所を知っているのはダッチだけという設定を加え、プレイヤー自身が納得できる第二の動機付けを作ろうとしたのです」 「つまり、プレイヤーとしてアーサーのダッチに対する忠誠心をそのまま受け入れるだけでは不十分な場合でも、自分の欲望としてゲームに関与したくなるような、パーソナルな理由を提供しようと考えたのです」とネルソンは締めくくった。 『Red Dead Redemption 2』の世界でより深い絆を築く方法のひとつが、キャンプで過ごし、ヴァンデルリンデギャングのメンバー一人ひとりと会話することだった。多くのゲームが主人公とNPCの会話システムを備えているが、『RDR2』の会話システムはストーリー進行のための会話だけでなく、何気ない世間話にも対応しており、後者がキャンプのリアルな雰囲気を形作るのに一役買っていた。ロックスターはこの要素を『GTA6』にも引き継ごうとしている。架空の州「レオニダ」に点在するジェイソンとルシアのセーフハウスは、従来の『Grand Theft Auto』シリーズの自宅よりも、西部劇におけるインタラクティブなキャンプに近い形で機能するのだという。これはキャラクターが物語を牽引するという『Red Dead Redemption 2』の姿勢を継承する動きと言える。 小さな選択の積み重ねが意味を持ち、大きな選択の中には決断したその瞬間において重大な意味を持つものもある。 「ギャングの各メンバーと時間を過ごし、彼らを知ることでプレイヤーが感情移入できるようにするためのミッションを組み込む必要がありました」とネルソンは説明する。 「キャラクターへの感情移入を深めるためのもうひとつの取り組みとして、アーサーが行う親切な行為の扱いがありました」と彼は続ける。「当初、その多くは必須のメインミッションでしたが、それではしっくりこなかったのです。そこでメインのストーリーラインから外し、任意で選べる要素に切り替えました。その結果、元カノであるメアリー・リントンに会いに行くこと自体は必須であっても、彼女の弟をカルト教団から救い出すかどうかはプレイヤー次第になり、二度と彼女に会わないという選択も可能になったのです」 「これらの要素の多くを任意選択にすることで、もしプレイヤーがアーサーに『贖罪(リデンプション)』の物語を歩ませたいと望んだ場合、プレイヤー自身の手でそれを成し遂げたという強い繋がりを感じてもらえるようにしたかったのです」とネルソンは付け加えた。 自分だけのアーサーを形作り、名誉度メーターのどちらの端で彼の物語を終えさせるかを決めるという感覚は、オープンワールドにおけるストーリーテリングの傑作と言える手法だった。それにより、些細なスリから生殺与奪の決断に至るまで、あらゆる行動に重みが生まれた。そしてロックスターは、『GTA6』においてもこの仕組みを発展させようとしている。『GTA6』における名誉システムに相当するジェイソンとルシアの「クライム・プロフィール(犯罪歴プロフィール)」は、大小あらゆる選択の結果によって変化していくという。これが二人のロマンチックな絆をどう深めるかという選択と相まって物語に影響を与える。これは『RDR2』でアーサーの夢の中に忍び寄る狼が現れるか、心安らかな鹿が現れるかといった形で物語が変化したのと同様のアプローチだ。 「カットシーンや[アーサーの]発言する動機にも、非常に繊細な変更を加えました」とネルソンは語る。「高名誉(善人プレイ)で、プレイヤーが周囲に配慮する姿勢を示していれば、アーサーはジョンに『コトが起きたらここから逃げろ。俺のためにそうしてくれ……そうしてくれたら助かる』と言います。しかし低名誉(悪人プレイ)の場合、そうは言わず『馬鹿な真似はするな』と言うのです。これは単純な白黒(善悪)の違いではなく、もしそういうプレイをしていないのであれば、アーサーをセンチメンタルになりすぎないように調整した結果です」
つづき『GTA6』には物語を左右する「大小さまざまな選択肢」が存在する――ロックスターが『レッド・デッド・リデンプション2』で培った「プレイヤーの主体性」をさらなる高みへ
投稿日時: 2026年08月31日 12時36分頃
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【PS5】グランド・セフト・オートVI
アメリカ、バイスシティ。 ジェイソンとルシアは、自分たちの人生には常に向かい風が吹いていることを自覚していた。しかし、簡単にこなせると思われた仕事に失敗した二人は、いつしかアメリカでどこよりも陽当たりのいい街の暗部で、レオナイダ州全土に広がる裏社会の陰謀に巻き込まれていく。この世界で生き抜くためには、これまで以上に互いを頼りにしなければならない。
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