時間が止まり、白黒の漫画のような質感の中に沈んだ静かな世界。ファインダー越しに目を凝らし、隠れた猫を見つけてシャッターを切ると、その毛並みに鮮やかな色が蘇る――。
ベルリンのインディーデベロッパーCosmic Stag Gamesが手掛けた『かくれにゃんこを探せ!〜 Cat Me If You Can 〜』は、2Dの定番ジャンルである「アイテム探し(ウォーリーを探せ系)」を立体的な3D空間へと昇華させた探索パズルアドベンチャーだ。
平面から立体へ。立体空間を歩き回る贅沢な探索感
従来の猫探しゲームといえば、緻密に描き込まれた一枚絵をズームしながらクリックしていくスタイルが主流だった。しかし本作は、プレイヤー自身の手でカメラを操作し、自由に歩き回れるフル3Dのオープンエリアを採用している。
探索の舞台となるのは「古代エジプトの砂漠」「現代日本の街角」「中世ヨーロッパの城」という、文化も雰囲気もまったく異なる3つのテーマ世界(全9ステージ)。ベンチの下や路地の物陰はもちろん、屋根の隙間や室内の棚の奥まで、空間の奥行きや高低差を活かした配置が徹底されている。
白黒コミック調のトーンで統一されているため、背景と猫の境界線は絶妙に溶け込んでいる。視界の端に違和感を覚え、近づいてしゃがみ込み、視点をローアングルに変えた瞬間に「……いた!」と気づく。この自力で見つけ出した瞬間のカタルシスは格別だ。
単なる撮影にとどまらない、多彩なギミックと「なでなで」機能
本作に登場する猫は総勢725匹以上。ただ配置されている猫を撮るだけでなく、パズルや環境ギミックを解いて出現させるクエスト要素が用意されている。
街中に散らばる特定アイテムを集めたり、仕掛け扉を開放したりすることで、日本の妖怪に扮した猫や中世の職人風の衣装をまとった個性的なレア猫が出現する。撮影した写真はアルバムに保存でき、見つけた猫たちには一匹ずつユニークな名前が付けられているのも愛着が湧くポイントだ。
さらに、見つけた猫に近づいて撫でる(インタラクトする)と、喉を鳴らしながら甘えてくれるリアクションも実装されている。この仕草の愛らしさには、思わず頬が緩んでしまう。
ストレスを削ぎ落とす充実のアシスト機能
立体空間での探索となると「最後の一匹が見つからない」という事態に陥りがちだが、本作はそのあたりの導線設計も行き届いている。
各エリアに設置された掲示板では、未発見の猫の数やクエストアイテムの進捗を一目で確認でき、ファストトラベルの拠点としても機能する。どうしても見つからない時のための「レーダー(ヒント機能)」も搭載されており、設定からクールダウン時間を10秒から数分単位まで自由にカスタマイズ可能だ。
画面の明度調整やセピア調フィルターへの切り替えにも対応しており、白黒画面を凝視し続けることによる目の疲労にも配慮されている。
気になった点:ストーリー性の薄さと3D酔いへの配慮
一方で、惜しいと感じる部分も存在する。全体を通して明確なストーリーテリングやエンディングの演出はほぼ用意されておらず、すべての猫を見つけても達成感以外の物語的報酬は控えめだ。
また、高低差のある入り組んだモノクロの街並みを細かく見回すゲームプレイの性質上、3D酔いを起こしやすいプレイヤーはカメラの回転速度やプレイスタイルに少し注意が必要かもしれない。ボリューム面も、探索に慣れたプレイヤーなら6〜8時間程度でコンプリートできる規模感のため、重厚なやり込みを期待すると短く感じる可能性がある。
総評:日常の喧騒を忘れ、マイペースに癒やされたい人へ
時間制限もゲームオーバーもなく、穏やかなアコースティックBGMに包まれながらマイペースに猫を探す時間は、多忙な日々の疲れをリセットするのにうってつけの体験といえる。
こんな人におすすめ
- 画面の隅々まで探索するのが好きなアイテム探し・パズルファン
- 制限時間に追われず、のんびり遊べるコージー(Cozy)なゲームを求めている人
- とにかく猫が好きで、個性的な猫たちに癒やされたい人
ゲーム概要
- タイトル:かくれにゃんこを探せ!〜 Cat Me If You Can 〜
- ジャンル:探索パズルアドベンチャー / アイテム探し
- 開発元:Cosmic Stag Games
- パブリッシャー:Cosmic Stag Games, Craftmos Games
- 発売日:2026年9月8日
- 価格:1,980円(税込)
- 対応言語:日本語字幕対応(インターフェース・字幕)
- 対応プラットフォーム:PC(Steam) ※Nintendo Switch / Xbox Series X|S版も順次展開予定
- ストアページ:Steamストアリンク