滅びゆく世界と果てしない砂海。誰も辿り着いたことがないという約束の地「ヘイヴン」を目指し、砂上船の舵を取るターン制ローグライト戦術RPG『Dunebound Tactics』がSteamに登場しました。
本作の根底にあるのは、荒涼としたポストアポカリプス世界の空気感と、資源が尽きればすべてが終わるシビアなサバイバルです。砂漠を切り裂いて進む船のビジュアルや、粘土人形を思わせる独特なキャラクター造形が織りなすアートワークは秀逸で、開始直後からこの退廃的な世界へと一気に引き込まれます。
「地形を読む」のではなく「戦場を作り変える」タクティカルバトル
多くのタクティクスゲームは、あらかじめ用意されたマップの遮蔽物や高低差を把握し、有利な位置取りを見極めることが基本です。しかし本作は、その前提を根底から覆します。
戦場にそびえ立つ障害物は破壊できるだけでなく、自らの手で新たな遮蔽物や罠を生み出すことが可能です。敵の射線を遮る氷の柱を出現させたり、狭路に爆発する柱を設置して踏み込んできた敵を吹き飛ばしたり、落とし穴を掘ってそこへ敵を力任せにノックバックさせたりと、プレイヤーの介入によって盤面がリアルタイムに変化します。
一般的なカバーシューターのように「遮蔽物に張り付いたまま覗き込んで撃つ」といった挙動には制限があり、射線を確保するために身を晒すリスクが常に付きまといます。だからこそ、障害物の生成や破壊を駆使して自ら有利な射線と安全圏をデザインしていく立ち回りが極めて重要です。このパズルのピースを自ら削り出してハメ込んでいくような戦闘体験には、思わず唸らされる面白さがあります。
仲間を癒すか、燃料へと変換するか――胃が痛むリソース管理
本作の動力源であり、世界の命運を握るのが「エリオス」と呼ばれる結晶エネルギーです。砂上船を前進させる燃料であると同時に、強化や取引にも用いられるこのエリオスですが、なんとクルー自身の体内にも宿っています。
戦闘で重傷を負った生存者が出た際、医務室で手厚く治療して復帰を待つか、それとも体内からエリオスを抽出して船の燃料へと変えてしまうかという、極めて非情な選択を迫られます。仲間を一人犠牲にすれば、船の航行距離を一気に稼ぐことができる――この倫理観と実利が衝突するシビアな決断こそが、荒野を旅するキャラバンリーダーとしての重圧をリアルに演出しています。
砂漠で拾った見知らぬ生存者であっても、旅を共にするうちに愛着が湧くもの。それを燃料タンクへ放り込む瞬間の後ろめたさは、本作ならではの強烈なフレーバーと言えます。
荒削りな手触りと、それを補うアイデアの輝き
全体を通してコンパクトにまとまっており、1ランあたり2〜3時間程度でエンディングまで到達できるテンポの良さがあります。15種類のクラスや多彩なモジュールが用意されているため、毎回異なるビルドを模索する楽しみも担保されています。
一方で、現状はマップ進行が実質的に一本道になりがちで、自由な探索を楽しむというよりは敷かれたレールの上を燃料を計算しながら進む感覚が強めです。また、戦闘テンポの加速機能やダメージ予測など、UI周りにはまだ洗練の余地が残されています。
それでも、手探りで独自の防壁を築き、強引に勝ち筋をもぎ取った瞬間の達成感は格別です。インディータイトルらしい挑戦的なギミックと濃密な世界観がしっかりと噛み合っており、光る原石としての魅力を十分に放っています。
本作はこんなプレイヤーにおすすめ
- 戦況を力技で打開するのが好きな戦術RPGファン: 用意された盤面に従うだけでなく、壁や罠を生成して敵の行動をコントロールする能動的なタクティクスが好きな方。
- ダークで乾いたポストアポカリプス世界が好きな方: 砂漠、難破船、限られた資源、そして仲間を犠牲にする重い決断といった無慈悲なサバイバル要素に惹かれる方。
- 短時間で手軽に周回できるローグライトを探している方: 1ランに何十時間も拘束されず、数時間で完結する手頃なサイズ感のゲームを遊びたい方。
ゲーム概要
- タイトル: Dunebound Tactics
- ジャンル: ターン制ローグライト戦術RPG / ストラテジー
- 開発元: Terahard Ltd
- パブリッシャー: indie.io
- 発売日: 2026年9月14日
- 対応プラットフォーム: PC(Steam)
- 価格: 1,700円
- 日本語対応: なし
- Steamストアページ: https://store.steampowered.com/app/3034660/Dunebound_Tactics/