昼は香水屋、夜は吸血鬼。『Pale Incense』体験版レビュー、妻を救うための調香と狩り #PaleIncense

『Pale Incense』は、香水店の経営と吸血鬼の夜の狩りを組み合わせた、一人称視点のゴシック・アクションシミュレーションだ。香料を調合して客を迎えたかと思えば、夜には人目を避けて血を求める。無料体験版では、店主と怪物という二つの顔が、妻の命をつなぐ一つの目的へ結びついていく。

香りの配合を考える、吸血鬼のまっとうな昼仕事

昼の主役は、実験室の調香設備。材料から香料を作り、それらを組み合わせて香水に仕上げ、客に販売する。商品を仕入れて並べるだけではなく、売るものを自分で作る工程が中心にある。

配合画面では香料の比率に加え、加熱や時間、容器を選ぶ。柑橘やラベンダーなどの組み合わせを調整し、予測される仕上がりを見比べるのが面白い。材料を入れれば終わりではなく、条件を変えながら商品を詰めていく作業に、調香師らしさがある。

しかも、材料には人間の血から抽出したエッセンスも使う。落ち着いた工房の仕事に、夜の所業が静かに入り込んでいる。香水店という穏やかな題材が、吸血鬼の設定と妙にうまく噛み合っているのだ。

夜は獲物を探す側であり、追われる側でもある

日が暮れると、仕事場は街の路地へ移る。住民の血で飢えを満たし、香料や妻の治療に必要な資源を得るために狩りをする。ただ近づいて襲えばいいわけではなく、周囲の視線と、襲った後の始末まで考えなければならない。

遺体の発見は住民のパニックにつながり、正体を目撃されすぎれば地区が警戒状態に入る。人の消えた通りは、獲物を探す自分にとっても都合が悪い。目先の空腹を満たす行動が、その後の狩りのしやすさにも響くのが厄介だ。

さらに夜の街には吸血鬼ハンターもいる。獲物に近づくときの強者の感覚と、危険から身を隠す弱者の感覚が隣り合う。昼の調合作業との温度差が大きく、二つの生活を切り替える面白さがはっきりしている。

妻を救いたい、その願いが生活を歪めていく

主人公エドマンドが狩りを続けるのは、自分のためだけではない。人間の妻ヨハンナを吸血鬼に変えようとして失敗し、彼女を重い病に追い込んでしまった。その命をつなぐため、店の地下で癒やしの香を用意する。

大切な相手を失いたくないという願いが、別の誰かを犠牲にする理由になる。香水作りも資源集めも、単に店を大きくするための作業には収まらない。穏やかな商売の裏に、愛情と罪悪感が沈んでいる。

ろうそくが照らす寝室と、石造りの暗い街路。その景色が物語の重さを支えている。経営の数字を伸ばすこと以上に、何のために一日を回しているのかが気になる作品だ。

調合の細かさと、夜の忙しさの相性を確かめたい

魅力でもあり、好みが分かれそうなのは、調合が細かな条件調整を伴うこと。素材、製法、加熱、時間と見る項目があり、手順を覚えて工夫する楽しさがある反面、手早く商品を量産したい人には工程の多さが気になりそうだ。

夜は周囲への警戒に加え、自分の飢えや帰還も意識する必要がある。店の仕事だけに没頭する経営ゲームでも、強い吸血鬼として暴れ続けるアクションでもない。昼夜で違う注意を求められるところまで含めて、本作の個性といえる。

体験版では、この切り替えと調合の手順が自分に合うかを見ておきたい。長期的な経営の広がりや物語の結末は、製品版での楽しみになる。

こんな人にオススメ

材料の組み合わせを考えるクラフトと、見つからないように動くステルスの両方が好きな人に向いている。昼に作る商品の材料を夜に集めるというつながりがあり、異なる遊びを一つの生活として楽しめる。

ヴィクトリア朝風の街並みや、悲劇を抱えた吸血鬼の物語に惹かれる人にも相性がいい。香水の華やかさと血の生々しさを、同じ工房へ持ち込む発想が印象に残る。

商売がうまくいけば、それですべて解決するわけではない。妻の待つ地下と、誰かが歩く夜の街を行き来する。その後ろ暗い暮らしを続けてみたくなる体験版だ。

ゲーム概要

  • タイトル:Pale Incense
  • 開発:Ongun Ayhan
  • 販売:Joygame Select
  • ジャンル:ゴシック・アクションシミュレーション(香水店経営/ステルス/サバイバル)
  • 発売日:未定(体験版配信中)
  • 価格:未定(体験版は無料)
  • 対応OS:Windows
  • プレイ人数:1人
  • 言語:日本語インターフェース・字幕対応(日本語音声なし)。全14言語対応
  • ストア:Steam(本編)/Steam(体験版)

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