モンスター育成ゲームと言えば、ターン制コマンドバトルや、パートナーに指示を出して戦わせるスタイルが一般的だ。しかし、今回紹介する『Adore』は一味違う。
本作は、「捕まえたクリーチャーを魔法のように召喚し、即座に攻撃させて戻す」という、極めてアクション性の高いモンスター収集ARPGだ。あえて言えば、「ポケモン」の収集要素と「Diablo」のようなハクスラ・アクション、そしてローグライトの緊張感が融合した作品である。
百聞は一見に如かず、まずはそのユニークな戦闘スタイルを見てほしい。
プレイヤー自身は「無力」。だからこそ相棒が愛おしい
本作の主人公「ルカ」は、クリーチャーの神ドラクナーを復活させるために旅をする「崇拝者(Adorer)」の見習いだ。 このルカ、自分自身では敵にダメージを与える手段をほとんど持っていない。敵の攻撃を避けるための回避アクションができる程度だ。
ではどう戦うのか? そこでクリーチャーの出番である。 ボタンを押すと、あらかじめセットしたクリーチャーが一瞬だけ召喚され、固有の攻撃を繰り出してすぐに戻っていく。感覚としては、魔法使いが「ファイアボール」を放つ代わりに「火を吐くトカゲ」を一瞬だけ具現化させているようなものだ。
この「クリーチャー=弾薬・スキル」という解釈が非常に面白い。 スタミナ管理をしながら、近距離パワー型の獣を呼び出して殴らせ、即座に遠距離型の鳥を呼び出して追撃する。この流れるようなコンボが決まった時の爽快感は、他の育成ゲームでは味わえない独自の手触りがある。
「シナジー」を考え始めると時間が溶ける
本作をただの「連打ゲー」で終わらせないのが、奥深いビルド構築要素だ。 各クリーチャーには種族や属性があり、それらを組み合わせることで「シナジー」が発動する。
例えば、「自然属性のクリーチャーと一緒に編成すると、この獣の攻撃に出血効果が付与される」といった具合だ。さらに、装備品であるアーティファクトやルーン、特性(Trait)の組み合わせ次第で、地味だったクリーチャーが突然化け物じみた火力を叩き出すエースに変わることもある。
「こいつとこいつを組ませたら最強じゃないか?」と編成画面で悩み、実戦で試して脳汁が出る。この試行錯誤のプロセスこそが『Adore』の真骨頂であり、最も「沼」な部分だ。
緊張感のある捕獲と、ローグライトな探索
クリーチャーの捕獲(奉納)も一筋縄ではいかない。 弱らせてボールを投げる……のではなく、敵の周囲に表示される「魔法陣」の中に一定時間留まり続けて儀式を行う必要がある。当然、敵は攻撃してくるし、捕獲中は無防備になりがちだ。
敵の攻撃パターンを見極め、ギリギリの距離でダンスを踊るように捕獲を成功させる。このヒリヒリするようなアクション性が、収集作業を単なる「作業」にさせないスパイスになっている。
探索面では、マップは自動生成され、道中で素材や食料を集めていく。拠点で料理を作ってバフをかけたり、限られたリソースでどのルートを進むか選んだりと、ローグライト的な戦略性も求められる。 正直に言えば、マップのバリエーションやイベントの多様性には少し物足りなさを感じる場面もある。周回を重ねると「またこの地形か」と思う瞬間がないわけではない。
しかし、それを補って余りあるほど、「自分だけの最強パーティを組んで暴れまわる」というコアな体験が楽しいのだ。
総評:荒削りだが、刺さる人には深く刺さる良作
『Adore』は、モンスター収集への愛と、硬派なアクションRPGへのリスペクトが絶妙なバランスで同居している。
可愛らしいビジュアルとは裏腹に、戦闘はスピーディーで忙しく、難易度もそこそこ歯ごたえがある。ストーリークリア後も、より強力な「祝福された」クリーチャーを探し求めたり、伝説のクリーチャーに挑んだりと、やり込み要素は十分だ。
「じっくりターン制で考えたい」という人には不向きかもしれないが、「自分の反射神経と構築理論で敵を圧倒したい」というゲーマーには、間違いなくおすすめできる一本だ。
価格もお手頃。さあ、あなたも「崇拝者」となり、愛すべきクリーチャーたちと共に戦場を駆け抜けてみてはどうだろうか。
ゲーム概要
- タイトル: Adore
- ジャンル: モンスター収集アクション / ローグライト
- 開発: Cadabra Games
- 販売: QUByte Interactive , Cadabra Games
- 発売日: 2023年8月2日
- 価格:
- Steam: ¥2,300
- Xbox: ¥2,350
- PlayStation: ¥1,980
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