大ヒット恋愛シミュレーション『恋と深空』はいかにして“一目惚れ”の科学をゲームプレイに落とし込んだのか――ディレクターに独占インタビュー

愛は手の届くところに『恋と深空』は、さまざまな意味で「究極の乙女ゲーム」といえる作品だ。世界中で多くのファンを獲得しており、8000万人を超えるプレイヤーがセイヤ、レイ、ホムラ、シン、マヒルたちの幻想的な瞳に恋している。私の周りでも、日本やイギリス、アメリカ、ヨーロッパにいる友人でこのゲームに夢中になっている女性は多い。ロマンスという主題の掘り下げ方、本格的なSF設定を取り入れた硬派な戦闘システムによる「愛する人と手を取り合って困難を乗り越える」という感覚が評価されているようだ。 ソーシャルゲームへの毎日のログインというのはデイリータスクをこなすための退屈なルーティンになりがちだが、『恋と深空』では完璧な恋人に大切にされているという感覚を日々再確認する機会になっている。心の琴線を鷲掴みにするような甘く優しいささやき声の裏には、極めて科学的な方法論でプレイヤーの心理を理解しゲームに引き込む手法が取り入れられている。 3月にサンフランシスコで開催されたGDC Festival of Gamingでは、Infold Gamesから女性が率いる本作の開発チームが登壇し、本作開発の裏側に迫るゲームデザインの方法論を明かしてくれた。講演の終了後、IGN JAPANは『恋と深空』のプロデューサーである栗子(リーズ)氏に独占インタビューを実施。理想のボーイフレンドや、話題を呼んだ生理の予測管理機能、そして“一目惚れ”といったテーマについて詳しく語ってもらった。 GDC Festival of Gaming 2026で講演を行う『恋と深空』プロデューサーの栗子(リーズ)氏。 ――『恋と深空』は世界中で膨大な数のファンを獲得しています。多様な文化圏の多様な女性たちに、これほど広く受け入れられる魅力的な男性キャラクターを生み出すことができた秘訣をどのようにお考えですか? これほど多くの国や地域で本作が受容されたのは驚きでしたが、やはりヒットの鍵を握るのは優れたコンテンツ、そして優れたキャラクターだと思います。異なる文化圏の方々がある男性キャラクターを同じように魅力的だと思うのなら、普遍的な美しさの基準という意味において、なんらかの共通点があるはずです。とはいえ、恋愛の対象となるキャラクターたちにもそれぞれ異なる特徴や個性がありますから。 ――日本では多くの乙女ゲームが生み出されていますが、海外でも成功を収めた作品はかなり少ないのが実情です。なかには、本来は日本人のキャラクターを欧米プレイヤー向けに作り出した別のキャラクターに置き換える作品もありました。世界中のプレイヤーがまったく同じキャラクターと触れ合うことになる作品を送り出すことに不安はありませんでしたか? 私たちの開発チームは完全に中国国内のメンバーだけで構成されていますし、ほかの文化圏についての綿密な調査といったやり方でキャラクターを改変して文化圏に合ったものにすることには大きなリスクがあるだろうと考えています。自分たちが得意としているものに的を絞って注力しようと決めたんです。 ――『恋と深空』はライブサービスのゲームであり、開発チームにとっては今後も継続的に新たなコンテンツを考案して提供することが求められます。すでにかなり細部まで作り込まれた作品ですが、これからもゲーム内のキャラクターと触れ合うための新しくて楽しいアイデアを生み出し続ける必要があります。そうした工程について、詳しく教えてもらうことはできますか? もちろんです。プレイヤーの皆さんには新鮮な体験をお届けしたいと思っていますし、プレイヤーの皆さんの望んでいることをきちんと考慮した開発を行いたいと思っています。そのためにも、データを収集したり、アンケートを実施してプレイヤーからのフィードバックやコメントを集めたりすることは欠かせません。そうして集めた情報をもとに、優先事項のリストを作るんです。そのリストを指針にすれば、プレイヤーが何を望み、何を必要としているか把握できるわけです。 ――恋愛ゲームにおいて、感情移入しやすく恋愛対象になり得るキャラクターを生み出すためには声の演技が非常に重要です。スタジオで声優の皆さんにどのような指示やフィードバックを行っていますか? …

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