『紅の砂漠』の「ワールドファースト」なアプローチとは?AAAとしては小さなチームで大規模オープンワールドを完成させる戦略

野心とリソースのギャップを埋めるために『紅の砂漠』の開発者が、CEDEC 2026で「紅の砂漠(Crimson Desert):大規模オープンワールドゲーム開発のためのプロセス確立」と題したセッションに登壇した。同作の開発工程を通じて、課題としていた内容と、問題解決にあたってどのようなアプローチが取られたかが語られた。 『紅の砂漠』は、韓国Pearl Abyssが新規に開発したオープンワールドアクションアドベンチャーゲームだ。焦点は「AAAとしては小さいチームで、いかにAAA品質のオープンワールドを成立させたか」という点にある(セッション後に行われた質疑応答でも、ゲームの規模に対して開発人数の少なさに驚きが隠せないという声があがっていたほどだ)。 そんな本作の開発における課題は、「野心とリソースのギャップ」にあったとドゥ・ソンビン氏(主にプレイヤーアクションや戦闘システムの設計を担当)は振り返る。戦闘やパズル、探索、説得力のあるNPCなどをAAA品質で提供し、かつジャンルそのものの前進につながるものにしたいという野心がある一方で、チームはシングルプレイのゲーム開発は初めてだった。しかも先述したようにAAAタイトルとしては人数も少ない。そこで開発を急ぐのではなく、開発フローを洗練し、生産効率の向上を目指した。 問題解決の基盤は大きくわけて、以下の3つだという。 フィードバックループの短縮(迅速なイテレーション) コンテンツを柔軟で変更しやすいものにする保守性 チーム間の依存関係の削減 しかしながら、この3つに対して個別のアプローチがあるわけではない。いくつかの改善や取り組みがあり、その結果としてこの3つを実現したと捉えるのがよいだろう。 興味深いのは「クエストファースト」をやめたという話だ。これは「クエストや物語をまず作って、そのための環境やコンテンツを作る」というフローのことを指す。すなわち「クエストありきの開発」と言い換えることができるだろう。このフローだと、クエストや物語がつねに起点となるため、クエストが変わると、その後の工程にあたるさまざまな部分に調整の必要が生じうる。結果として、チーム間の依存が強くなりがちで、開発が長期化する懸念があった。そこでチームは「ワールドファースト」と呼称するアプローチへと移行したのだそうだ。 ワールドファーストは、まずプレイ可能な世界を土台として構築するというアプローチだ。土台を作り上げたうえで、クエスト、環境、補助コンテンツといったものを同時並行で開発し、そこに載せていくような形をイメージしてほしい。これによって、クエストファーストのときにあったチーム間の依存関係が劇的に減少し、リワークも減ったという。 土台であるオープンワールド自体は、以下に示すいくつかのレイヤーを積み重ねる形で開発された。 環境レイヤー 地形、植生、野生動物、ランドマークなど …

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