リメイクの乱発とスペック向上に頼るハード——日本の愛すべきゲーム会社にファンが求めていたのは、そんな姿ではないこれは、1999年に自身初のポケモンファンサイトを開設して以来、ネット上で任天堂について執筆し続けてきたチャーリー・ロプレストによるIGNのオピニオン記事である。彼はニンテンドーDS Liteを最高の任天堂ハードと評価しており、クッパ7人衆が再びクッパの正当な後継者として認められる日まで休むつもりはない。 「任天堂はこの男を雇うべきだ!」 もちろん文字通りの意味ではない。そんな人間は男であれ女であれ、どこにも存在しない。この「この男を雇え」という叫びのほとんどは、皮肉や嘲笑を込めて使われるものだ。フレームレートが不安定でシェーダーのコンパイル画面が挟まるような、Unreal Engineで造られたマリオという概念自体、近代化に抗い独自の道を切り拓いてきた任天堂という会社のあり方とは根本から矛盾している。任天堂がそんな陳腐な業界標準を追いかけるはずがない。そんなことが起きるくらいなら、作戦通信の画面にピーチ姫が座っているほうがまだあり得そうだ。 だが最近、その手のジョークが笑えなくなってきている。Switch 2で登場した『スターフォックス』は、1993年以来何度もリメイクされてきた作品の豪華なリメイクであり、レンズフレアや壮大なスカイボックス、AAAタイトルのフルツールキットでレンダリングされたリアルな羽毛で満ちている。一方、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の2度目となるリメイクも、同様に現代的なツヤ感を追い求めているようだ。任天堂は今でも愛らしくユニークな傑作を生み出しているが、リメイクの目白押し、どこか物足りないSwitch 2の存在、そして宮本茂氏が映画「マリオギャラクシー」の微妙な出来を公然と擁護している姿勢は、多くの任天堂ファンがあまり深く直視したくない疑問を突きつけている。任天堂は、その「魂」を失ってしまったのだろうか? 任天堂の魂とは何か?競合他社が3倍のテラフロップス(描画性能)を誇る中で、それらを軽々と凌駕してきたあの「秘伝のタレ」、あの「魅力」、あの「秘密の隠し味」とは何だったのか?任天堂にとっての「魂」とは、常に同じものを意味していた。すなわち、「任天堂にしかできない決断を下すこと」だ。ではなぜ、おそらく歴史上初めて、任天堂が「世間の潮流に流されている」ように感じられるのだろうか? もっとも、これは目新しい議論ではない。任天堂は26年前にも、すでに同じ議論を――他ならぬ自分自身と――交わしていたのだから。 「大人向けのゼルダはどこへ行った?」 2000年8月24日、千葉県幕張。任天堂は年に一度の自社イベント「スペースワールド」の幕を開けた。商業的に不振に終わったNintendo 64の後を受け、次世代ハードを初公開するための任天堂版E3とも言えるイベントだ。 持ち手がついた小さな紫色の箱「ゲームキューブ」と、豆型のボタンが配置されたコントローラーのお披露目は、任天堂に期待されるような奇妙な個性に満ち溢れていた。しかし、展示されたソフトウェアはまったく異質の怪物だった。伝説となったスペースワールド2000のデモ映像は、前世代で欠けていると多くのジャーナリストが感じていた純粋なグラフィック性能で、ミレニアムを迎えたメディアを圧倒するために作られたものだった。踊るニャースたちや無数のマリオがひしめき、潰れたり伸びたりするルイージや爆発する通路を疾走するサムス・アランに挟まれる格好で流れた12秒間の映像が、ゲーム史上に残る大炎上を巻き起こすことになる。 ついに任天堂も、学校のランチルームでの悪口や掲示板の荒らしを黙らせるような、クールでリアルな『ゼルダ』を出してくれるのだ。ソニーのPlayStation 2や、発表されたばかりのマイクロソフトのXboxのようなライバルと、ついにグラフィックで渡り合える。これで『ファイナルファンタジー』や『メタルギアソリッド』についていけず衰退したセガのドリームキャストのような悲しい命運を辿らずに済み、落選の恐怖から救われる。しかし、これは当時の任天堂にとっても異例の動きとみなされていた。このイベントを現地で取材していたIGNのフラン・ミラベラは次のように記している。 「任天堂らしくないやり方で、ゲームがどれほどグラフィカルに優れ得るかを示してみせた。どれほど面白く遊べるかではなく……。実際、プレゼンテーション全体から任天堂の真のビジョンがほぼ完全に欠落していた。この革新的な企業は『素晴らしいグラフィックなど何の意味もなく、世界にゲームの新しい見方を提示してこそ成功できる』と何度も語ってきたはずなのだが」 だが、その不安はわずか1年後に杞憂だったと証明される。あのグラフィックデモは単なるデモであり、実際のゲームにするつもりなど毛頭ない一瞬のハイプに過ぎなかった(ハードコアなゲームファンたちはバンプマップ処理されたビッグゴロンやボンゴボンゴを夢見て生唾を飲み込んでいたが)。 そしてスペースワールド2001で実際のゲームキューブ版『ゼルダ』がお披露目されたとき、アニメ調の幼いリンクと、色鮮やかで彩度の高い世界に対する反応はまさに噴火級だった。掲示板にはみっともないパニックと幼児的な怒りが吹き荒れた。「俺たちの求めていた大人向けのゼルダはどこだ?」、「ゼルダを5歳児向けのパペットショーにしやがった!」、「重厚なストーリーとリアルなグラフィックが欲しいんだよ!」、「目が血走るほどの神グラフィックになると思ってたのに!」 歴史は「セルダ」こと現在の『ゼルダの伝説 風のタクト』に優しかった。かつて掲示板を怒狂させたアートスタイルは、任天堂の持つ大胆で先見性に満ち、トレンドに抗う精神の輝かしい象徴として今なお愛されている。一方で、2000年にあれほど息を呑ませたスペースワールドのデモは、テカテカしたキャラモデルとドロドロしたブラウンの美学によって、すっかり賞味期限切れのロンロン牛乳のようになってしまった。任天堂がのちに『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』で「この男を雇え」勢に彼らの望み通りのものを与えたときでさえ、そのまずまずの出来の続編は、任天堂が自身の主導権で作ったゼルダ作品群よりも低い評価に甘んじている。 まるで任天堂は自分が何をしているか分かっているかのようだ。それもそのはず、彼らは長い間それを続けてきたのであり、その哲学は偶然生まれたものではない。任天堂の「魂」を立ち上らせたのは、他ならぬ明確で意図的な決断だった。 水平思考 『風のタクト』も、ゲームキューブの称賛すべきライブラリの数々も、この奇妙で小さなハードを救うことはできなかった。2002年5月に岩田聡氏が社長に就任した時点で、すでにライバル機の後塵を拝していた。プログラミングの達人でありハードウェアの裏表を知り尽くしていた岩田氏は、業界がどの方向に向かっているかを見抜き、そのレースから降りることを決意した。ゲームキューブの世代は、任天堂がグラフィックの表現力をめぐって大物たちと真っ向勝負を挑んだ最後の世代となった。競合は莫大な費用がかかり、開発費を膨らませ、利益率を押しつぶす。最先端ハードを逆サヤ(赤字)で売るソニーやマイクロソフトとは異なり、任天堂は出荷するすべてのハードで利益を出さなければならないのだ。 その結果生まれたのがWiiだった。『Call of Duty』や『Grand Theft …
つづき
記事を見る
ファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズ
1997年に誕生したタクティカルRPGの金字塔『ファイナルファンタジータクティクス』。 戦術性の高いバトルと重厚なストーリーを備えた本作が、新たな時代のプレイヤーたちに向けて、鮮やかに蘇る。
確認する関連性のありそうな記事
34詳細 お気に入り登録
【Amazon予約数ランキング】Switch2リメイク版『ゼルダの伝説 時のオカリナ』が首位を維持。『キングダム ハーツ コレクション I~III』が4位に【9/27~10/3】
2026年10月11日 15時00分
Amazon.co.jpのテレビゲームストアの週間予約数ランキング。2026年9月27日~10月3日の期間、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』が首位を維持。4位に『キングダム ...
30詳細 お気に入り登録
【10月発売PC新作ゲーム】『FF レゾナンス』『CoD: MW4』『エースコンバット8』『スター・ウォーズ:ギャラクティック・レーサー』など最新作を紹介!
2026年10月07日 22時00分
2026年10月発売のPC向けオススメソフトをピックアップ。『FINAL FANTASY RESONANCE』『Call of Duty: Modern Warfare 4』『ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE』な...
9詳細 お気に入り登録
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』はホラー作品認定!?スイッチ2版にCERO「恐怖」アイコンがついている。『時オカ』やっぱり怖かったか
2026年10月09日 18時05分
スイッチ2版『時のオカリナ』はホラーゲーム!?
4詳細 お気に入り登録
「Nintendo Music」に「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」の楽曲が登場。「クロックタウン」のBGMなど全111曲を収録
2026年10月09日 15時07分
任天堂は本日(2026年10月9日),NintendoSwitchOnline加入者向け音楽サービス「NintendoMusic」に「ゼルダの伝説ムジュラの仮面」の楽曲を追加した。
10詳細 お気に入り登録
『ソニックレーシング クロスワールド』×「FF7 リメイク」シリーズのコラボ決定!シーズン2 DLC第5弾として登場、シーズンパス2の販売も開始&本編の価格改定も
2026年10月10日 20時01分
より2025/9/25リリース『ソニックレーシング クロスワールド』(PS4&PS5 / PS5 Pro Enhanced、XBOX、Switch2、Steam)10/10 世界大会の決勝のタイミングでシ...
4詳細 お気に入り登録
犠牲になった傑作『タイタンフォール』が失った未来。「BT-7274」のモデリング担当者の貴重な開発話も収録【26年9月後半にHOTな「ロボゲー」はこれだ!】
2026年10月11日 11時00分
『Battlefield 1』と『Call of Duty: Infinite Warfare』に挟まれ、『Apex Legends』へ移行した傑作の話。