『クレイジータクシー:ワールドツアー』は「ヤーヤー ヤーヤー ヤー」でアクセル全開 だが「ワールド」部分では失速もある

「クレタク」らしさは十分、あとは「ワールドツアー」に値するステージが作られることを願う主なポイント 基本的なゲームプレイは、懐かしの「クレイジータクシー」らしさをしっかりと感じさせる ビジュアルはやや物足りない 世界各地のロケーションを再現したマップとしては、各地域ならではの要素が十分に盛り込まれていない かつてのセガのドリームキャストを代表するタイトルのひとつが、四半世紀以上前に初めて登場したアーケードのドライビングゲーム「クレイジータクシー」だ。素晴らしいサウンドトラックと熱狂的なドライブプレイを備えた本作は、ビデオゲームにおける「2000年代初頭」らしさをこれ以上ないほど体現する存在であり、『Crazy Taxi: City Rush』がリリースされてから12年、コンソール向け作品となるとその倍の歳月が流れている。先日、セガに招かれ、今夏の初めに開催されたSummer Game Festで初めて発表された完全新作『クレイジータクシー:ワールドツアー』を試遊する機会を得た。THE OFFSPRINGが「ヤーヤー ヤーヤー ヤー」と叫ぶ中、私はアクセルを踏み込み、最初の乗客を拾いに走り出した。本作の内容にはおおむね満足しているものの、「ワールドツアー」の「ワールド」の部分をもっと押し出してほしいというのが正直な感想だ。 先日のgamescomで発表されたばかりの新ステージ「ドイツ」が、今回初お披露目となった。この新ステージには、「クレイジータクシー」のようなスピード感あふれるアーケードゲームに求められる要素のほとんどが揃っている。筆者は大型空港の滑走路に放り出されたが、ここはタクシーの操作感や挙動に慣れるには絶好の場所で、ド派手なドーナツターンを決めることもできた。障害物も大きいため、たいていの場合は簡単に避けられた……まあ、たいていの場合はだが。空港の端から端へ乗客を送り届け終えると、今度はステージの残りのエリアを探索しに繰り出した。 この地域は、スタート地点となる空港、市街地、城壁都市、山岳地帯、そしてそれらすべてをつなぐアウトバーンという5つのエリアに分かれている。空港のどこが「ドイツらしさ」を強烈に主張しているのかはいまいちよくわからないが、ほかのエリア、特に都市部には、少なくともいくらかドイツらしい雰囲気が漂っていた。そして『クレイジータクシー:ワールドツアー』におけるなかなか気の利いた新要素のひとつが、いつでもメニューを開いて時間帯を変更できる機能だ。時間帯は朝、昼、夕方、夜の4つから選択できる。 単なる視覚的な変化を除けば、出現する乗客の数、交通量の多さ、発生する特殊依頼の内容など、時間帯の変更がゲームプレイに影響を与えているようにはまったく感じられなかった。また、時間が自然に経過している様子も見受けられなかったが、これは『クレイジータクシー:ワールドツアー』をプレイできた時間が非常に短かったせいかもしれない。どの時間帯にもそれぞれ固有の美しさがあり、時間帯によってエリアの様相が変わるのも悪くないと思うので、製品版では走り回っているうちに自然と日が昇り、沈むようになっていてほしいところだ。いずれにせよ、夕方のゴールデンアワーに走り回ったり、夜にビルの明かりに囲まれながら走ったりするのは、実に素晴らしい体験だった。 「クレイジータクシー」シリーズの根幹をなすドライビングについて言えば、本作の操作性は非常に良好で、鋭いターンを決めたり、ランプからド派手なブーストを決めたり、向かってくる対向車を素早くかわしたりといったアクションを自在に行うことができた。加速感も心地よく、絶妙なタイミングでファストブレーキを使いこなせたときの爽快感は抜群だ。筆者は昔から、ドライビングシミュレーターよりもアーケード系のレースゲーム、特に「クレイジータクシー」が登場した時代の作品に惹かれてきた。そうしたゲームは加速が速く、発見すべき近道があちこちに散りばめられており、マップを知り尽くし運転技術を極めることはほとんど芸術の域に達する。今回のプレイ時間だけではタクシードライバーとしての勘を完全に取り戻すことはできず、反応速度も10代の頃より少し遅くなってはいたものの、本作は過去作のプレイ感だけでなく、サウンドの感触までも記憶通りに再現するという点において、間違いなく正しい方向に走り出しているようだ。 しかし、THE OFFSPRINGの楽曲の最初の数コードが鳴り始めた瞬間、まるでアクセルが乗るタクシーの後部座席に飛び乗り、頭を空っぽにしてご機嫌な音楽を聴きながら、自己ベストの更新を目指して走り回っていた2000年代初頭へと連れ戻されたかのような感覚になった。開発チームが、「クレイジータクシー」と音楽がいかに密接に結びついているかを理解していることには、思わず笑みがこぼれてしまう。筆者にとっては、「トニー・ホーク」シリーズとGoldfingerの「Superman」を結びつけて考えるのとまったく同じように、「All I Want」とその象徴的な「ヤーヤー ヤーヤー ヤー」のかけ声は「クレイジータクシー」と切っても切れない存在だ。『クレイジータクシー:ワールドツアー』でそれを再び聴けることが、両者の結びつきをあらためて強く感じさせてくれる。

つづき

関連性のありそうな記事