おどろおどろしい世界観の裏側にあるのは、最高の上級者でなくとも勝機を掴める目まぐるしいアクションゲームだ。2年前に「任天堂とフロム・ソフトウェアがタッグを組み、『Bloodborne』の精神的続編とも言えるSwitch 2独占のオンラインPvPvEタイトルを開発している」と言われていたら、私の開口一番の返答は「名前、Switch 2になったんだ??」だっただろう。冗談はさておき、そんなコラボレーションは到底信じられなかったはずだ。 フロム・ソフトウェアは今や世界で最も熱い開発会社のひとつだが、彼らの作品が任天堂のプラットフォームで発売されることは滅多にない。また、日本国外では任天堂が本作のパブリッシャーを務めるが、基本的にファミリー層向けの同社がこれまでに発売したMレーティング(対象年齢17歳以上)のタイトルなど、片手で数えられるほどしかない。さらに、両社ともオンラインマルチプレイの仕様に関しては長年やや不器用だった歴史があり、そんな2社が組んで繰り出すタイトルとしては異例中の異例と言える。紙の上ではちぐはぐなペアリングに見えるが、先週末に開催された『The Duskbloods』のネットワークテストを8時間ほど遊んだ今なら、その意図がはっきりと理解できる。 IGNによるフロム・ソフトウェアの宮崎英高氏へのインタビューの中で、同氏はプロジェクトの発足経緯について、任天堂が当初からこのアイデアに「非常に強い関心と理解を示してくれた」と語っている。実際にプレイしてみると、任天堂のスタッフがなぜこの作品をSwitchにふさわしいと考えたのかがよく分かる。フロム・ソフトウェアの流儀を踏襲した見事なまでに不気味で人を寄せ付けない外見を一皮むけば、『The Duskbloods』は伝統的な任天堂のマルチプレイゲームそのものの手触りを備えているからだ。 ネットワークテストに参加する直前、同僚から「『The Duskbloods』は基本的に『Bloodborne』と『カービィのエアライド』のシティトライアル(あるいは『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』のフィールドスマッシュ)を掛け合わせたようなものだ」と教えられたが、その例えが頭から離れなくなった。大勢のプレイヤーが広大なマップに降り立ち、限られた時間の中でレベルを上げ、新たな能力を獲得し、ランダムに発生するハプニングに対処しながら、たった1人の勝者を決める最終ラウンドへと備えていく。 ぶっ飛んだパワーアップアイテムや土壇場での大逆転劇が満載であり、その根底にあるのは「一番上手くなくても、勝利できなくても、十分に楽しめる」というコアな哲学だ。その精神は『マリオカート』や『大乱闘スマッシュブラザーズ』といった任天堂を代表するパーティゲームを何十年にもわたって支えてきたものであり、『The Duskbloods』はそのコンセプトを見事に結晶化させ、全く異なる血生臭いパッケージに包み込んで提示してみせた。週末を通して私が勝利を掴めたのはたった1試合だけだったが、最終決戦で敗れたときも、そこに辿り着く前に脱落したときも、私は胸を躍らせながらすぐ次のマッチングに並んでいた。 最も印象に残っているのは、偶然拾った1つのアイテムが戦況をガラリと変えた瞬間だ。正確な名称は覚えておらず──ネットワークテストではスクリーンショットや動画のキャプチャ機能が停止されていたため確認もできないのだが──それはフェーズのカウントダウンタイマーを30秒延長できる懐中時計のようなアイテムだった。私がこの力を秘めていることは誰も知らず、その奇襲効果をいかに最大化して使うかは自分次第だった。 私は攻撃の機をじっと伺っていた。次のフェーズに進むのに十分な美徳ポイントを獲得するため、自分のものにしたい拠点の高所に身を潜めていたのだ。その時点での所有者は周りを見張っていたが、残り時間10秒ほどになったところで、土壇場の撃破数を稼ぐためにその場を離れていった。10秒足らずでは、誰かが現れて貴重なポイントを奪うことなど不可能だと思うだろう。しかし、それが40秒あれば話は別だ。私は時間を巻き戻して飛び降り、美徳を奪い去ることで、ギリギリのところで自身初となる決勝フェーズへの進出を果たした。その後あっさり撃破されてしまったが、そんなことはどうでもよかった。あの刹那の勝利の快感こそが、私の中に強く残り続けているものだ。 『ELDEN RING』や『NIGHTREIGN』を愛してやまない私だが、フロム・ソフトウェア作品のPvP(対人戦)は昔から決して得意ではない。様々な対戦型マルチプレイゲームを遊んできたものの、同社特有の熟考を要する重厚な戦闘システムはどうにも肌に合わなかった。そのため、『The Duskbloods』をここまで気に入るとは思ってもみなかった。しかしどうやら、宮崎氏も似たような視点を持って本作をデザインしていたようだ。「個人的に、私はこうした高難度のアクションゲームや対人戦があまり得意ではありません」と宮崎氏は語る。「ですので、開発の初期段階では自分自身を対象読者とし、激しいPvPが得意ではないプレイヤーの目線に立って、どうすれば自分が楽しめるか、どのようなシステムがあれば自分のようなプレイヤーに応えられるかを考えていました。そこが多くの出発点となっています」 本作において、死は致命的な敗北を意味しない。むしろキャラクターを強化できたはずの貴重な数秒間を失うという「機会損失」の側面が強く、だからこそ可能な限り生存し続けようというモチベーションが働く。それでいて、適正レベルに達していないボスに挑むことへの躊躇は薄れ、マップ全体が自分専用のゴシックな遊戯場のように思えてくるのだ。 また、独自のルールセットによって、特定の状況やエリア以外でのPvPの重要性が下がっている。他のプレイヤーと出くわすたびに即座に襲われるのではないかと懸念していたが、他者を倒すことで明確に報われる期間限定エリアの外で小競り合いを起こすことは、基本的に得策とは言えない。 もちろん、理由もなく襲いかかってくる荒らし目的のプレイヤーや目的を理解していないプレイヤーがいなかったわけではないし、特殊な状況下で強制的に競い合わされるサイドミッションも存在する。しかし大体において、儀式場が開くまでの準備期間は自分ひとりの探索に集中することができた。『The Duskbloods』がボードゲームからインスピレーションを得ていることが最も色濃く表れているのが、この準備期間だ。ボードゲームでは、資源や勝利ポイントを巡って間接的に競い合い、直接対決するのは限られた瞬間のみであることが多いが、『The Duskbloods』はそのダイナミクスを実に見事にとらえている。 そして全員が1か所に集結したとき、最高の混沌が巻き起こる。強力なプレイヤー同士がやり合っている隙を突き、最後の瞬間に躍り出てキルをかっさらう立ち回りは、どこか『スマブラ』を彷彿とさせる。必ずしも最強のプレイヤーが勝つとは限らず、適切な霊体(召喚)、アイテム、そして立ち回りさえ揃えれば、十分に渡り合うことができるのだ。さらに、戦局を接戦に保つための「順位差補正」のメカニクスも組み込まれており、美徳ポイントの順位が低いプレイヤーは、自分より上位の相手と戦う際に攻撃力ブーストを得られるようになっている。
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マリオカート ワールド -Switch2
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