小島監督、PlayStationが『PHYSINT』への支援を打ち切って以来初となる独占インタビューで、ソニーとの間に何が起きたのかを明かす

「『P.T.』のときと同じことはしたくなかったんです」2026年6月、ソニーは小島秀夫氏にZoom通話への参加を依頼した。当時、同氏はXBOX向けゲーム『OD』とPlayStation向けゲーム『PHYSINT』の制作に追われていた。後者は、同氏を世界でもっとも称賛されるゲーム開発者のひとりたらしめた「METAL GEAR」シリーズの精神的後継作である。同氏はその通話が何についてのものなのか知らなかった。 会議には、コジマプロダクション代表の平野真二氏と、Talent Developmentの責任者である齊藤昭義氏を伴った。小島氏は、先日の衝撃的なニュース以降初めてとなるインタビューでIGNに対し、ソニーから告げられた内容にあまりにも衝撃を受け、頭が真っ白になったと語った。PlayStationは『PHYSINT』プロジェクトから撤退し、資金提供も終了するという。それで終わりだった。 当初、小島氏は会社の今後を案じ、この知らせをコジマプロダクションのスタッフには伏せていた。『PHYSINT』チームの開発者たちを解雇しなければならなくなるのだろうか。あるいは、こうした事態を受けて、いずれにせよ彼らは会社を去ってしまうのだろうか。「DEATH STRANDING」のリリース後にコジマプロダクションがスタッフを拡充するのを融資で支えてくれた銀行は、どう思うだろうか。そして、『PHYSINT』のためにすでにスキャンを終えていたすべての俳優たちはどうなるのだろうか。これはまたしても『P.T.』のような状況なのだろうか。 ご存じのとおり、小島氏はゲーム機の歴史でもっとも劇的なプラットフォーム変更のひとつとして、MicrosoftとXBOXの新責任者であるアーシャ・シャルマ氏を説得し、『PHYSINT』を引き継がせることに成功した。いまや、かつてPlayStation独占だった『PHYSINT』は、PlayStationではまったく発売されない可能性すらある。 今回のインタビューで小島氏は、ソニーの決定によってコジマプロダクションが崩壊するのではないかと恐れていたことや、すぐさま『PHYSINT』を引き取ることになったXboxに、同作を救うためどのような企画をもちかけたのかを、ダニエル・ロブソンに語っている。 なお、このインタビューは、納期の遅れや予算面の懸念、そして「DEATH STRANDING」の商業的な不振とされるものを理由にソニーが『PHYSINT』を打ち切ったとするBloombergの報道が出る前に実施されたものである。この件についてコメントを求めたところ、コジマプロダクションはIGNに声明を寄せており、その全文はこのインタビューの最後に掲載している。声明でコジマプロダクションは、スタジオが「健全で収益性の高い状態にあり、『PHYSINT』の開発はXBOXとともに引き続き前進しており、PlayStationとの関係も良好なままです」と強調している。 小島:僕たちは独立した会社ですから、企業として後ろ盾となる資金があるわけではありません。プロジェクトごとに契約を交わし、インディーとしてひとつひとつ生き残ってきたのです。そのため、前のプロジェクトが終わる前に新しいプロジェクトを見つける必要があり、そうやって会社を存続させています。それが僕たちの置かれている状況です。 6月にSIEからZoomで話し合いの機会を設けたいという連絡がありました。そのときはとても忙しくて――ちょうどプラダのイベントのためにニューヨークへ行き、その直後にはロサンゼルスにも行っていたんです。ともかく、僕は戻ってきて、そのZoomでの話し合いを行いました。 彼らは、もう『PHYSINT』の開発に資金を出すことはできないと言いました。僕はショックを受けて、「今、なんと言いましたか?」と聞きました。何を言われたのか、すぐには理解できませんでした。あまりにショックで、どういうことなのか確信がもてなかったんです。 そこで『PHYSINT』の開発資金をこれ以上提供できないと言われました。僕はショックを受け、「今、何とおっしゃいましたか?」と聞き返しました。言われたことがすぐには理解できなかったのです。もう一度、「どういうことですか?」と尋ねましたが、彼らは同じことを繰り返すばかりでした。 ともあれ、ゲーム業界では多くのスタジオが閉鎖され、多くのタイトルがキャンセルされているというニュースがあることは知っていますし、業界全体の状況も理解しています。ですが、『PHYSINT』は大丈夫だと思っていました。『PHYSINT』なら、安全だと。ですから、驚きました。しかし、ただ驚いただけではありませんでした。具体的な理由を知らされることはありませんでした。怒りも悲しみもありませんでした。最初に頭に浮かんだのは、「自分のスタジオをどうすればいいのか?」ということでした。僕たちはプロジェクトごとに契約を結んでいるからです。もちろん『OD』もありましたが、僕のスタジオにあるプロジェクトは『OD』と『PHYSINT』の2つだけです。そして、抱えているプロジェクトの数に応じて人材を雇用しています。プロジェクトの数は2つです。もし契約をひとつ失えば、『PHYSINT』に携わっていたスタッフ全員を解雇しなければならなくなるかもしれない、と考えました。あるいは、キャッシュフローが底をつき、スタジオそのものが崩壊してしまう可能性もありました。 資金調達のため、銀行からもお金を借りています。最初――スタジオを設立した当初は、銀行は僕たちの話にまったく耳を貸してくれませんでした。しばらくして、タイトルを1本リリースすると、「お金をお貸しします」と言ってくれるようになったんです。もしプロジェクトが停止、あるいはキャンセルされたことが銀行に知られれば、僕たちは大変なことになります。ですから、SIEからそう告げられたとき、僕は頭が真っ白になりました。正直なところ、あの会議のことはあまり覚えていません。おそらく同僚たちも同じでしょうから、具体的に何と言われたのかと聞かれても、あまり答えられないのです。 彼らがこのプロジェクトから手を引くという決断をするとは、まったく予想していませんでした。ですから「明日からどうしたらいいんだ?」と考えました。でも、僕自身はソニーが大好きです。ソニーに対して悪い感情を抱いているわけでもありません。ゲーム業界が厳しい時期にあることはわかっていますから。 僕は彼らと30年ほど一緒に仕事をともにしてきました……久夛良木(健)さんや平井(一夫)さんとは親しくしていました。ですが、最近はそういう関係ではありません。僕は、「なるほど、これが現実なんだ」と実感しました。コジマプロダクションは10周年を迎えたところです。でも僕のスタジオは、潰れてしまうかもしれない状況になってしまった。 でも、何よりも優先すべきなのはスタッフです。僕たちのスタッフは200人くらいいて、『PHYSINT』があるからこそ規模を拡大してきました。もちろん、みんな優秀です。なかには、大手企業から僕のスタジオに来てくれた人たちもいます。僕は、そうするのはあまりよい考えではないかもしれないと忠告してきました……。とにかく、僕はこの大切なスタッフたちを守る必要がありました。『PHYSINT』のために俳優のスキャンも始めていましたし、協力してもらうアーティストとも話をしていました。そんな人たちに、ゲームがキャンセルされたとは、とても言えません。『P.T.』のときと同じことはしたくなかったんです。もちろん、彼らを不安にさせたくもありませんでした。 僕個人としては、スタジオの10周年であると同時に、ゲームを作り始めてから40周年という節目でもあったので、だからこそ『PHYSINT』にこれほど力を注いできたんです。いわば、この2つの節目の集大成のようなものです。パンデミックの最中、僕は少し体調を崩し、自分にはあとどれくらいの時間が残されているのだろうかと考えました。キャリアのこの時点で、『PHYSINT』に全力を注ごうと本気で思っていたのです。あの会議のあとも、このプロジェクトを本当に続けたいと思っていました。「どうすればいいのだろう」と考えていたのです。 もうひとつ、僕が大きく考えたのは、僕自身が独立して自分のスタジオを立ち上げ、多くの人々が同じように独立してきたということです。ですが、世界中のどこを見ても、大成功を収めた人は誰もいません。それでも僕は、クリエイターが自らの独立したプロジェクトを手がけ、それを大きく成長させていけることこそが、今の時代の流れであるべきだと信じています。ですが、もしコジマプロダクションが崩壊してしまえば、その流れにはまったく沿わないことになります。インディーにとっての一歩後退です。だからこそ、僕は踏みとどまり、このプロジェクトを続ける必要がありました。頭は真っ白になりましたが、「よし、わかった」と考えて、何らかの形で『PHYSINT』を続けていくのだと心に決めました。 …

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6hatena6
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【PS4】DEATH STRANDING

小島秀夫がPS4で創造する、未だかつてないゲーム体験。 「デス・ストランディング」の発生によって、人々や都市は引き裂かれ、分断された。繋がりを失った人類は滅亡の危機にさらされていた。サム・ポーター・ブリッジズは、孤立し動くことができなくなった人々のために“未来\"を運ぶ任務に赴く。サムは何を運び、何を繋げるのか。予想を凌駕するゲーム体験の先に、衝撃の展開が待ち受ける。

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