時間を巻き戻し、嘘のタイムラインを暴け。『Detective VR』が提示する意欲的な空間推理アドベンチャー #detectivevr

死の瞬間を何度も見直して真実を手繰り寄せる傑作『Return of the Obra Dinn』や、映像を巻き戻しながら矛盾を暴く名作実写アドベンチャー『IMMORTALITY』、さらには映画『マイノリティ・リポート』のように空間へ証拠を広げていくインターフェース。そうした過去の推理・映像解析の名作群をVR/MR空間で融合させようと試みたタイトルが、本作『Detective VR』だ。

プレイヤーは現場の時間を自由に操作し、容疑者たちの証言や現場の矛盾を突き止めながら、事件の裏に隠された複雑な人間関係へと迫っていく。

空間の時を止め、証言のウラを取る「タイムコントロール」捜査

本作の中核を成すのは、事件現場の時間をプレイヤー自身の手で自在に前後できる「タイムコントロール」機能だ。

事件に関わる人物たちは、各々の立場から異なる主張を展開する。しかし、時間を巻き戻して立ち位置や視線の先、手元の動きを立体的に観察し直すと、証言とは一致しない怪しい挙動や、見落としていた物的証拠が浮き彫りになっていく。

空間を歩き回り、気になる証拠をカメラで撮影して捜査ボードへと持ち帰る。集めた手がかりをボード上で容疑者たちと糸で結びつけ、新たな証言を引き出していくプロセスは、まさに刑事や現場検証官のデスクワークそのものだ。時間の針を指先で巻き戻し、決定的な矛盾を捉えた瞬間には、確かな手応えを感じられる。

実力派俳優の起用と、小規模開発ならではの光と影

本作の物語を彩るのは、海外ドラマ『ザ・クラウン』や『メディア王 〜華麗なる一族〜』などで実績を持つ実力派俳優陣のボイスとモーションだ。全11シークエンス・約5時間で完結するプロットは、単なる犯人当ての枠を超え、登場人物たちのエゴや脆さといった人間ドラマを描き出そうとしている。

一方で、キャラクターモデルの細かなモーション表現や、手元の判定といったインタラクション面には粗さも残る。また、Quest版などで体験できる複合現実(MR)の捜査ボード機能やVRオプション設定など、システム周りにおいて洗練の余地がある点も否めない。

しかし本作は、少人数のインディーチームが限られたリソースの中で「VRならではの新しいナラティブ捜査」を実現しようと果敢に挑んだ意欲作だ。1,900円という手に取りやすい価格帯を考慮すれば、その実験精神と独自の試みは十分に受け止める価値がある。

本作はどんなプレイヤーにおすすめか?

  • 新しいスタイルのVRミステリーを試してみたい人: 現場の時間を操作し、立体的に証拠を洗い出すユニークな捜査メカニクスに興味があるプレイヤー。
  • 『Return of the Obra Dinn』などタイムライン再構成型ゲームのファン: 断片的な事実を照らし合わせ、時系列のパズルを埋めていく体験が好きな人。
  • インディーの挑戦的なVR作品を応援したい人: 大手スタジオとは一味違う、尖ったコンセプトや挑戦的なアイデアを低価格で楽しみたい人。

※なお、現時点で日本語テキストおよび日本語音声には対応していないため、ストーリーの理解には一定の英語力(中級程度の読解・リスニング)が必要となる点には注意されたい。

ゲーム概要

関連性のありそうな記事