まるで舞台劇のように『ゼルダの伝説 時のオカリナ』を約1時間プレイして、最も強く感じたのは以下の3点だ。 単なる忠実なリメイクではない。会話の追加、謎解きの刷新、細部まで作り込まれた新たなアートスタイルによって、ゲーム世界に奥行きを与えることを重視している。 ゲームの構造にもいくつか変更が加えられ、より理にかなった世界が表現されている。 演劇的のような演出が積極的に取り入れられている。 リンクの家を出て、コキリの森へと最初の一歩を踏み出した瞬間、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のリメイクが目の前で生き生きと動き出した。「ゼルダの伝説」シリーズのプロデューサーである青沼英二は、本作をNINTENDO64版の「現代の解釈と技術によって蘇らせる」と表現していた。1時間以上にわたってハイラルを探索するなかで、私はこの言葉がずっと頭から離れなかった。 本作は決して原作をそのまま再現したリメイクではない。見覚えのある部屋には、ゲーム世界の仕組みやプレイヤーに求められる行動を変える、新たに設計された仕掛けが用意されていた。NPCは新しいセリフを口にし、ハイラルの世界やそこに暮らす人々の描写に厚みを加えていた。そして、刷新された操作性や細部まで作り込まれたアートデザインが、昔ながらの戦闘や謎解きを現代向けにどう再定義しているのかも見えてきた。 このリメイクが重視しているのは、規模ではなく奥行きだ。「ゼルダの伝説」シリーズには、古くから語り継がれてきた物語が数多く存在する。そして「時のオカリナ」のリメイクは、伝説を新たに語り直す作品として作られている。そこには明確に演劇からの影響が感じられ、そのことが本作に対する私の向き合い方をすっかり変えた。 まずはネタバレについて簡単に断っておきたい。NINTENDO64版を一度も遊んだことがなく、「時のオカリナ」をまったく新しい体験として楽しむ人もいるはずだから。本稿では、今回のプレビューで実際にプレイした3つのパートについてのみ、具体的に触れることにする。うち2つは冒険開始からおよそ90分までの範囲に含まれ、残るひとつは最も長いパートで、大人になったリンクが最初に挑むダンジョンが舞台となっていた。これは物語全体のおよそ3分の1にあたる。つまり、任天堂が今回公開した範囲を超えるネタバレは一切ないので安心してほしい。 さて、コキリの森の話に戻ろう。前世代機向け作品のアップグレードやスピンオフを除けば、本作は「ゼルダの伝説」シリーズがNintendo Switch 2に本格的に登場する最初の作品となる。そのクオリティの飛躍には、最初から目を奪われた。 木々の隙間から光が差し込み、朽ちた樹皮には苔やキノコが生い茂る。主人公が身にまとう服には手織りの細やかな装飾が施されている。しかも、これらすべてが鮮明な60fpsで描画されているのだ。森に流れる音楽も心地よい。原作のMIDI音源による楽曲を、ほんの数人の生演奏家で再現したかのようなアレンジとなっている。これほどまでにハイラルの世界が身近で、生き生きと感じられたことはない。 それは会話についても同じだ。後に訪れる城下町では、ある住人がリンクの服装をまじまじと眺め、遠く離れた森からやってきた異邦人のように扱う。「この細かな縫い目を見るに、服は全部手作りなんだね!」と興奮気味に話しかけてくるのだ。森のショップの店主は、棚に商品が並んでいないことをリンクに謝る。その原因は、頑固なコキリ族のガキ大将ミドにあるという。ミドがデクの樹サマへと続く道を塞いでいるため、店員たちが商品の補充に行けないのだ。 どうにかミドの脇をすり抜けようとしてみたものの、剣と盾を持っていなければ、どうあっても通してくれない。ここでリメイク版は、「時のオカリナ」のレベルデザインを積極的に変更する姿勢を見せる。コキリの剣が隠された秘密のエリアへと這って進むと、剣を手に入れるまでの仕掛けが大きく作り直されていることに気づいた。原作では、巨大な岩が転がる迷路の奥の隅に宝箱が置かれていた。しかし今回は、部屋の中央にある高台の上に宝箱が置かれ、その周囲を岩が転がる構造になっている。 単に配置が変わっただけでも興味深いが、より重要なのは、この変更によってプレイヤーに求められる行動そのものが変わっていることだ。NINTENDO64版では、この仕掛けはZボタンを押してカメラをリンクの背後に戻す操作を覚え、曲がり角の先を確認しながら岩を避けるためのものだった。史上初期の3Dアクションアドベンチャーのひとつを、どのように操作すればよいのか教える役割を担っていたわけだ。しかし、今回のリメイクには、もはやその役割は必要ない。右スティックでカメラを自由に操作できるため、そうしたチュートリアルは不要になったのだ。代わりに、今回はボタンひとつでリンクがジャンプできるようになっており、この部屋が宝箱を手に入れるために初めてジャンプを要求される場所となっている。時代遅れになったチュートリアルを取り除き、現代の操作体系に合った新たなチュートリアルへと置き換えているのだ。今回の約1時間にわたるプレイには、こうした細やかな変更が随所に盛り込まれていた。 剣と盾を手に入れ、装備を整えたところで、リンクの操作感も実に素晴らしいと感じた。移動の感覚は『ゼルダの伝説 ブレス オブ …
つづきゼルダの伝説 時のオカリナ -Switch2
―時を超え、少年は勇者に―コキリの森に住む少年リンクは、ある日森の守り神である「デクの樹サマ」から、自分がハイラルを救う運命を背負っていることを告げられる。強大な野望を抱くガノンドロフに立ち向かうべく、相棒の妖精「ナビィ」とともに森の外へと旅立つ。
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