文明なくしてコーヒーなし。狂乱の3Dアクションプラットフォーマー
「コーヒーがなければ、文明は維持できない」――そんな過激な(しかし一部の現代人には深く共感できる)哲学を掲げる3Dアクションプラットフォーマー、それが『Strange Brew』だ。
本作を一言で表すなら、「ドリームキャストやPS2時代の空気感を纏った、現代版のゾンビ・スピードラン」。プレイヤーはダックの着ぐるみを着た(?)ようなシュールなキャラクターを操作し、デカフェ(カフェイン抜き)なゾンビたちが徘徊する終末世界を、次のコーヒーショップ「MoonDucks」を目指して爆走することになる。
「止まれば死」の極限状態。コーヒーを啜り、ルートを切り開け
実際にプレイしてまず驚かされるのは、その独特なリソース管理だ。 本作において、コーヒーは単なるアイテムではない。それはプレイヤーのエネルギーであり、文字通りの「命」だ。カフェインレベルを維持するためにコーヒーを飲み続けなければ、この地獄を走り抜けることはできない。
ゲーム性は極めて硬派だ。ゾンビの群れをかいくぐり、高層ビルを飛び移り、制御不能なモノレールや原発の冷却塔といった「どうしてこうなった」と言いたくなるような狂気の世界を突き進む。
特に面白いのが、ゾンビを出し抜くための頭脳プレイだ。コーヒー豆をばらまいてゾンビをおびき寄せ、一網打尽にする。このパズル的な要素と、手に汗握るプラットフォームアクションが見事に融合している。「ああ、もうダメだ!」と思った瞬間に、隠されたショートカットを見つけた時の快感は代えがたいものがある。
レトロな“味”と、中毒性の高いスピードラン要素
グラフィックはあえてローポリ気味の質感に抑えられており、それが絶妙な不気味さと愛らしさを演出している。さらに、BGMがまた素晴らしい。緊迫した逃走劇の裏で流れるスタイリッシュなサウンドは、プレイヤーの興奮をいやが応でも高めてくれる。
もちろん、インディータイトルらしい「粗さ」がないわけではない。カメラワークがたまに暴走したり、判定にシビアな部分があったりと、近年の親切すぎるゲームに慣れていると「おっと」と思う場面もあるだろう。しかし、それすらも「かつて夢中になったあの頃のゲーム」のような懐かしさ、いわゆる“味”として機能しているのが不思議なところだ。
やり込み要素も充実している。おしゃれな追加衣装のアンロックはもちろん、映画ファンにはたまらない「リビングデッド(1968)モード」を搭載。画面をモノクロに変えてプレイすれば、ゾンビパニック映画の主人公になったような没入感を味わえる。
総評:欠点を補って余りある「個性」と「熱量」
本作は、万人向けの優等生なゲームではないかもしれない。だが、「理屈抜きに走るのが楽しい」「バカバカしい設定を全力で楽しみたい」というプレイヤーにとっては、これ以上ないご馳走だ。
難易度は決して低くないが、試行錯誤の末にランキングのトップへ登り詰める喜びは、まさにアーケードゲームの黄金時代を彷彿とさせる。何より、プレイし終わった後に無性にコーヒーが飲みたくなる――そんな不思議な魅力に満ちた一作だ。
さあ、デカフェな奴らに捕まる前に、最高のパンプキンスパイスコーヒーを求めて走り出そう。
ゲーム概要
- タイトル: Strange Brew(ストレンジブリュー)
- ジャンル: 3Dアクションプラットフォーマー / ゾンビサバイバル
- 開発・販売: Electric Monk Media
- 発売日: 2026年2月18日
- 価格: 1,700円
- プラットフォーム: PC (Steam)
- 主な特徴:
- コーヒーの摂取が生存に直結するユニークなゲームシステム。
- ゾンビを誘導し、罠を利用する戦略的なアクション。
- 倉庫ライブ、モノレール、原発など、バラエティ豊かなステージ。
- 1968年風のモノクロモードや衣装アンロックなど、高いリプレイ性。
- ストアリンク: Steam:Strange Brew