あの頃の戦友はどこへ消えた?CS1.6風の皮を被った怪作『It Takes a War』1時間の“偽りのマルチプレイ”体験 #ItTakesaWar

あの頃の戦友はどこへ消えた?CS1.6風の皮を被った怪作『It Takes a War』1時間の“偽りのマルチプレイ”体験 #ItTakesaWar

Steamの新作リストを眺めていると、時折「時空の歪み」のようなゲームに出会うことがある。2025年にもなって、このカクカクしたポリゴン、荒いテクスチャ、そして聞き覚えのある銃声。

『It Takes a War』。一見すると、2000年代初頭のネットカフェで流行した『Counter-Strike 1.6』の粗悪なクローンのようだ。しかし、開発者はあのメタ的な展開でプレイヤーを翻弄した『The Corridor』のThomas Mackinnon氏である。ただのレトロシューターなわけがない。

正直に言おう。本作はFPSとしては「0点」だ。しかし、ゲーマーの心に突き刺さる体験としては「満点」に近い。これは、かつて深夜のボイスチャットで馬鹿話をしながら夜明けを迎えた、すべてのかつての少年少女たちへの鎮魂歌(レクイエム)かもしれない。

出来の悪いFPS?いいえ、これは「演劇」です

ゲームを起動すると、そこには見慣れた(あるいは古臭い)サーバーブラウザが表示される。マッチに参加すると、そこはまさに世紀末のチームデスマッチ会場だ。操作性は劣悪で、レティクルは広がり、敵のAIは単純極まりない。純粋なシューターとして評価するなら、返金リクエストのボタンを押すまでに10分もかからないだろう。

だが、このゲームの真髄は「そこ」ではない。

ヘッドセットから聞こえてくるのは、チームメイトたちのボイスチャットだ。彼らはコリン、ソフィー、ブライアンといった名前を持ち、互いに軽口を叩き、どうでもいい日常の話をしている。まるで、そこに行けばいつものメンツがいる、あの頃のコミュニティサーバーのように。

プレイヤーである「あなた」は、その輪に入れない。マイクを繋いでも彼らに声は届かず、ただ黙々と、彼らの会話を聞きながら銃を撃ち続ける。この「疎外感」と「懐かしさ」の入り混じった奇妙な居心地の悪さが、本作の導入だ。

崩壊していく「日常」と、こちらを見つめる「何か」

数マッチこなすうちに、違和感は確信へと変わる。ゲーム内の世界が、少しずつ、しかし確実に歪み始めるのだ。さっきまで楽しそうに話していたチームメイトの会話にも、どこか不穏な空気が漂い始める。

ここからの展開は、メタフィクションやホラーの文脈に足を踏み入れ、プレイヤーを予期せぬ方向へと導いていく。詳細は伏せるが、本作は単なる「画面の中のゲーム」という枠組みを超え、モニターの前の「あなた自身」に静かに問いかけてくる演出が用意されている。

私が特に戦慄したのは、いわゆる恐怖演出そのものではない。「ゲーム」だと思ってプレイしていたものが、いつの間にか自分自身の過去や記憶とリンクしていくような感覚だ。ふと、かつて共に戦ったフレンドたちの顔が脳裏をよぎる。彼らは今、どこで何をしているのだろうか?

わずか1時間で駆け抜ける、ゲーマーの走馬灯

クリアまでの時間は約1時間。価格は700円。ランチ一回分程度のコストで得られるこの体験は、非常に濃密だ。

本作は、オンラインゲームという「場」が持っていた儚さを描いている。いつものメンバー、いつものマップ、いつもの会話。永遠に続くと思っていたその時間は、ある日突然、あるいは徐々に、終わりを迎える。

銃撃戦のクオリティが低いことは、意図的な演出だとすら思えてくる。重要なのはキルレートではない。その空間に誰かがいて、声が聞こえるということ。その繋がりが断たれた時の静寂こそが、本作が描きたかった「戦争(War)」の正体なのかもしれない。

『It Takes a War』は、万人に勧められるゲームではない。爽快なFPSを求めているなら回れ右だ。しかし、もしあなたが「かつて誰かとオンラインで遊んだ記憶」をどこかに置き忘れてきたのなら、このサーバーにログインしてみる価値はある。

エンディングを迎えた後、あなたはきっと、疎遠になったフレンドのプロフィールを無意識にクリックしているはずだ。

【注意】配信・実況プレイを予定している方へ

本作には、PC環境(ウェブカメラの映像やSteamのフレンドリストなど)がゲーム画面内に反映されるメタ的な演出が含まれています。 意図せずプライベートな情報や素顔が配信に乗ってしまう可能性があるため、実況プレイや配信を行う際は、事前に設定を確認するか、いわゆる「ストリーマーモード」の利用を強く推奨します(ただし、演出の一部が制限される可能性はあります)。 「放送事故」を防ぐためにも、初見プレイでの生配信は慎重に行うのが賢明かもしれません。

ゲーム概要

  • タイトル: It Takes a War
  • 開発元: Thomas Mackinnon
  • パブリッシャー: Pantaloon
  • 発売日: 2025年11月7日
  • 価格: 700円
  • 日本語対応: 未対応
  • ジャンル: タクティカル・チーム・シューター(という名のナラティブ・アドベンチャー)
  • ストアURL: https://store.steampowered.com/app/3919530/It_Takes_a_War/

It Takes a War

  • 発売日2025年11月6日
  • 開発Thomas Mackinnon
  • 販売Pantaloon
  • 価格¥ 700

Graphics! Guns! Glory! Get ready to drop into a devastatingly real depiction of the battlefield as you and your team take on a relentless foe. It Takes a War presents a new vision for the team-based tactical shooter genre.

Steamユーザーレビュー

非常に好評

ポジティブ 91.35% (全 1,063 件 / 👍 971 件)

ゲーム情報(IGDB)

  • 対応プラットフォーム PC
  • ジャンルシューター / 戦略 / アドベンチャー / インディー
  • テーマアクション / 戦場
  • プレイモードシングルプレイ
  • 視点一人称

Graphics! Guns! Glory! Get ready to drop into a devastatingly real depiction of the battlefield as you and your team take on a relentless foe. It Takes a War presents a new vision for the team-based tactical shooter genre.

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最大: 3人 / 直近21回分

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