世に数多あるデッキ構築型ローグライクに、また一つ恐ろしく中毒性の高い独自のスパイスを効かせたタイトルが現れました。それが本作『Slot or Not』です。
一言で表すなら、これは「ギャンブル要素ゼロの脳汁スロットバトル」。プレイヤーは愛らしいウサギの「Bun Dorian(バン・ドリアン)」となり、相棒の戦闘用スロットマシン「Slottie」を携え、狂ったフルーツたちの侵略から故郷を救う旅に出ることになります。
美麗なピクセルアートとアップビートなサウンドが織りなす、この一風変わった冒険の魅力を、実際にレバーを引いて戦い抜いたプレイフィールと共にお届けします。
偶然を必然に変えるスロットビルドの快感

本作の最大の特徴は、カードの代わりに「アイテム」をスロットマシンに投入して戦うというバトルシステムにあります。
毎ターン、手持ちのアイテムからスロットに送り込むものを選択し、レバーを引いて絵柄を揃えることで攻撃や防御、回復が発動します。「スロットなんて運任せではないか」と思うかもしれませんが、これこそが開発陣の計算されたゲームデザインの妙。プレイヤーに委ねられる「確率のコントロール」が非常に面白いのです。
戦闘を重ねるごとに手に入るアイテムや、ショップで購入できるトリンケット(アクセサリー)を吟味し、いかにスロットの出目を自分に有利なものへと書き換えていくか。このデッキ構築ならぬ「スロット構築」のプロセスが、最高に知的な興奮をもたらしてくれます。
画面から溢れ出るこだわりと手触りの良さ

実際にプレイを始めて驚かされるのが、その圧倒的なビジュアルとサウンドのクオリティです。
温かみのある手描きのキャラクターアニメーションや、スロットが回転する際の効果音、絵柄が揃った瞬間の派手なエフェクトなど、ゲーム全体の「触り心地」がとにかく素晴らしい。一回一回のスピンが本当に気持ちよく、勝利した瞬間の演出には思わずガッツポーズが出てしまうほどの満足感があります。
敵キャラクターである狂暴なフルーツたちのデザインも非常にコミカルで愛らしく、次はどんな変なやつが出てくるのだろうと、歩みを進めるのが楽しみになります。ダークな展開が多めのローグライクジャンルにおいて、この陽気でポップな世界観はそれだけで独自の輝きを放っています。
荒削りだからこそ愛おしいインディーの熱量

もちろん、本作が完璧なゲームかと言われれば、いくつかの粗削りな部分も見受けられます。
特定の強力なアイテムを手に入れてスロットの枠を絞り込むと、後半の難易度が急激に下がり、同じ戦術を繰り返すだけで勝ててしまう大味な一面もあります。また、登場するアイテムや敵のバリエーション、イベントの多様性という点では、まだまだ底が浅いと感じる部分もあります。
しかし、それらを補って余りあるのが、全編から伝わってくる「ゲーム作りの情熱」です。初期キャラクターごとの異なる物語の結末や、細部まで作り込まれたアニメーションからは、開発者の愛情がひしひしと伝わってきます。価格以上の価値と、プレイヤーを魅了する確かな「核」がここには確かに存在します。
お気に入りの音楽やポッドキャストを聴きながら、片手でスロットを回す。そんな贅沢でリラックスした時間を過ごすのに、これ以上最適なタイトルはありません。今後のアップデートでのコンテンツ拡張にも大いに期待が高まる、隠れた名作の誕生です。

『Slot or Not』ゲーム概要
- タイトル: Slot or Not
- ジャンル: デッキ構築型ターン制スロットマシンバトルアドベンチャー / ローグライク
- 開発元: MakoTeam
- パブリッシャー: Proteus Interactive
- 発売日: 2026年5月25日
- 価格: ¥ 905
- 対応言語: 日本語非対応(英語他)
- ストアリンク: Steam Store ページ





