発売から約1ヶ月。Steamのライブラリで積む寸前だった『Dustwind: Resistance』を起動した夜、僕はすっかり時間を忘れていた。リリース直後からSteamレビューで「好評」が積み上がっていた(7月17日時点で28件)のは知っていたが、これほどまでに心を掴まれるとは。
結論から言おう。これは、かつて『Fallout Tactics』や『Commandos』に夢中になった世代にこそ突き刺さる、挑戦的で、最高に面白いタクティカルゲームだ。
最初の数時間で心を折られ、そして愛犬に救われる
正直に言うと、序盤はかなりキツい。見下ろし型のリアルタイム制で、いつでも時間を止めて指示は出せるものの、装備は貧弱、弾は当たらない。レイダー(略奪者)はどこからともなく現れ、あっという間に囲まれて蜂の巣にされる。

多くのプレイヤーがレビューで「悪夢」と語る「農場防衛ミッション」で、僕も例外なく洗礼を受けた。四方八方から押し寄せる敵の波。何度リスタートボタンを押したか分からない。「無理ゲーだろこれ…」と諦めかけた時、ふと相棒の忠犬「ディーゼル」の存在を思い出した。
彼に指示して敵の注意を引きつけ、その隙に地雷を設置し、回り込んで側面を突く。ディーゼルが手榴弾を投げる(!)という荒業まで見せてくれた時には、思わず笑ってしまった。そう、このゲームは力押しじゃダメなんだ。使えるものは、犬でも何でも使う。この不条理さこそが、世紀末の世界観そのものなのだと気づかされた瞬間だった。
戦術がハマる快感。これは銃撃戦の皮を被った「詰将棋」だ

このゲームの本当の面白さは、単なるドンパチではない。むしろ、敵の配置、武器の特性、地形の高低差を読み解き、最適な一手を導き出す「詰将棋」に近い。
例えば、
- ショットガンが驚くほど役に立たない序盤、敵に接近されたら銃を撃つより「キック」で突き飛ばして距離を取る。
- 敵の腕を狙撃して武器を無力化し、その間に仲間を安全な位置へ。
- レビューで知った「装甲車は無限にアイテムを詰め込める」という仕様を利用し、弾薬や回復アイテムを気にせず大胆な作戦を取る。
こうした細かい発見と戦術がパズルのピースのようにカチッとはまった時、脳内でドーパミンが溢れ出すのを感じる。この「してやったり感」こそ、本作最大の魅力だろう。
シングルプレイに特化した「わかってる」作り込み

前作はマルチプレイが主体だったが、本作は完全にシングルプレイ向けに舵を切っている。これが大正解だ。ストーリーは「農夫が復讐のために立ち上がる」という王道なものだが、自分のペースでじっくりと部隊の成長や戦術の構築に没頭できる。
UIも洗練され、スキルシステムも分かりやすい。キャラクターがレベルアップし、貧弱だった装備が充実していく過程は、古典的なRPGの楽しさを思い出させてくれる。
もちろん、粗がないわけではない。ストーリーにもう一捻り欲しかったり、序盤の難易度の高さでプレイヤーを選んだりする点は否めない。だが、それらを補って余りあるほど、戦闘の駆け引きが奥深いのだ。
まとめ:2,290円は、あの頃の興奮への片道切符だ
『Dustwind: Resistance』は、手取り足取り教えてくれる親切なゲームではない。しかし、だからこそ面白い。試行錯誤の末に活路を見出した時の喜びは、他のゲームではなかなか味わえないものだ。

もしあなたが、かつて名作タクティカルゲームに夜を明かした経験があるなら、このゲームは最高の時間を提供してくれるはずだ。2,290円という価格は、あの頃の興奮を再び味わうためのチケットだと思えば、むしろ安すぎるくらいだろう。
ゲーム概要
| タイトル | Dustwind: Resistance |
| ジャンル | タクティカル・シングルプレイヤーゲーム |
| プラットフォーム | Steam |
| リリース日 | 2025年6月19日 |
| 価格 | 2,290円 |
| 対応言語 | 英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、簡体字中国語、ロシア語、チェコ語、ポーランド語、ポルトガル語(ブラジル) |
| Steamストアページ | https://store.steampowered.com/app/3110370/Dustwind_Resistance/ |






