Deck13 SpotlightとWobble Ghostが贈る新作アクションアドベンチャー『Spindle』が、2025年10月14日、PC(Steam)およびNintendo Switch向けにリリースされた。本作は、ある日突然「死神」になってしまった主人公が、なぜか誰も死ねなくなった世界の謎に迫る物語だ。
古き良き2Dゼルダ作品への愛に満ちた本作は、その愛らしいビジュアルとは裏腹に、「喪失」や「悲嘆」といったテーマに真摯に向き合う。実際にプレイして感じた、その独特な魅力と手触りをレポートする。
最高の相棒「ピッグ」と挑む、歯ごたえのあるダンジョン

本作の最大の魅力は、なんと言っても相棒のブタ「ピッグ」の存在だ。彼は単なるマスコットではない。プレイヤーはブタを直接操作し、主人公の死神「デンジェル」では入れない場所を探索したり、仕掛けを作動させたりと、パズル攻略に不可欠なパートナーとなっている。
この「死神とブタ」という奇妙なコンビを切り替えながら進むダンジョンは、ギミックに富んでおり、解法を閃いた時の満足感は格別だ。ブタに乗って移動したり、帽子をかぶせてあげたり、コミカルなアニメーションで癒やされたり。ゲームプレイと愛らしさが見事に融合しており、彼を好きになるのに時間はかからなかった。最高の相棒だ!
古典への愛が詰まった、珠玉のパズルと探索体験

ゲームプレイは、まさしく往年の「ゼルダの伝説」シリーズ、特にゲームボーイアドバンス時代の作品群を彷彿とさせる。見下ろし型のマップ、テンポの良い戦闘、そして知恵を絞るパズル。そのどれもが非常に丁寧に作られている。

特にパズルデザインは秀逸だ。決して理不尽な難易度ではなく、「あ、そうか!」という気づきを促す絶妙なバランスでプレイヤーを悩ませてくれる。マーカーで次に行く場所を親切に示してくれるタイプではないため、「あの場所にあったアレは、今手に入れた能力で解けるかもしれない」と、自分の記憶を頼りに世界を探索し、謎を解き明かした時の達成感はひとしおだ。
戦闘はシンプルながらも爽快感があり、特にボス戦は力押しだけでは勝てない、ギミックの理解が求められる歯ごたえのあるデザインとなっている。
心に響く、優しくも切ない「死」の物語

本作のテーマは「死」と「悲嘆(グリーフ)」だ。死神が主人公でありながら、誰も死ねなくなってしまった世界は混沌としている。プレイヤーは、その混沌の中で生きる人々の様々な「喪失との向き合い方」に触れていく。
物語は決して重苦しいだけではない。随所にユーモアが散りばめられ、美しいピクセルアートと心に残るサウンドトラックが、メランコリックでありながらも温かい、独特の世界観を作り出している。
探索できる世界は広大すぎないものの、その密度は濃い。猫や犬、アルパカといった動物たちと触れ合える細やかな作り込みも、この世界に生きるキャラクターたちへの愛着を深めてくれる。

クリアまでのプレイ時間は6〜8時間程度とコンパクトだが、その中に凝縮された物語と探索の体験は、非常に濃密で心に残るものだった。Steam Deckとの相性も抜群で、どこでもこの世界に浸れるのは嬉しいポイントだ。
『Spindle』は、今年のインディーゲームの中でも特に心に響く一作となった。クラシックな2Dアクションアドベンチャーが好きなら、そして心温まる物語を求めているなら、死神とブタのコンビが織りなすこの旅を見逃す手はない。
ゲーム概要

- タイトル: Spindle
- 開発元: Wobble Ghost
- パブリッシャー: Deck13
- プラットフォーム: PC (Steam), Nintendo Switch
- 発売日: 2025年10月14日
- 価格: 2,300円
- 日本語: 字幕対応
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