家を壊す。ただそれだけが、これほどまでに奥深いとは。Games IncubatorとHypnotic Antsが手掛ける『Deconstruction Simulator』が、2025年9月23日にSteamでリリースされた。プレイヤーは解体業者となり、様々な依頼をこなしながらビジネスを拡大していく。
本作は、単なる「破壊シミュレーター」ではない。そこには「回収」と「売却」という経営の側面が組み込まれている。しかし、このシステムがプレイヤーに強烈なジレンマを突きつける。本作が持つ独特の魅力と、アーリーアクセス的な荒削りな実態を、現場のホコリにまみれながらレビューしていこう。
破壊の快感か、地道な回収か

ゲームの基本はシンプルだ。PCから契約を受け、現場に向かい、指定された建物を解体する。
ここでプレイヤーは最初の選択を迫られる。ハンマーを振り回し、物理演算に従って崩れ落ちる壁や天井を眺め、すべてをガレキに変える「破壊の道」か。あるいは、ノコギリやバールを手に、壁材、窓、家具を丁寧に分解・回収し、再販可能な「資材」として持ち帰る「リサイクルの道」か。
前者は疑いようもなくストレス解消になる。だが、後者の方が儲かる……はずだった。
経営を圧迫する「売れない資材」の山

本作の核心にして最大の問題点が、「回収した資材の売却システム」にある。
現場で苦労して分解し、倉庫まで持ち帰った貴重な家具や建材。これらは、残念ながら自由に売却することができない。売るためには、オフィスに戻り、PCで「特定のアイテムを、特定の個数欲しがっている顧客」の注文を待つ必要があるのだ。
結果、何が起こるか。倉庫は、いつ売れるとも知れない資材の山で瞬く間に満杯になる。
一方で、ハンマーで派手にぶっ壊して出た「ガレキ」は、リサイクル施設でいつでも確実に現金化できる。皮肉なことに、丁寧に作業するよりも、すべてを破壊して瓦礫にした方が、よほど手っ取り早く儲かるという逆転現象が発生している。
翻訳バグすら「味」。奇妙な「作業」の中毒性

本作には、作業ゲーム特有の中毒性がある。バグやシステムの不備を差し引いても、黙々と家を壊し、ガレキを拾い集める行為そのものに、奇妙な没入感があるのだ。
この「開発がユーザーの声を聞いている」という事実は、ゲームの現状を支える大きな要因となっている。
ツールをアップグレードしても劇的に快適になるわけでもなく、トラックへの積み込み(物理演算との戦いだ)は面倒で、BGMもない。だが、ポッドキャストでも聴きながら、頭を空っぽにして家を壊す。気づけば数時間が溶けている。本作には、そうした不思議な魅力が確かに存在する。
未完成だが、基礎工事は良好な「解体現場」

『Deconstruction Simulator』は、現状では「人を選ぶ」と言わざるを得ない。派手な重機(高額レンタル)で全てをなぎ倒す爽快感を期待すると、地味な回収作業と資材の在庫問題に直面する。洗練された経営シムを期待すると、その大雑把な経済システムに肩を透かされる。
しかし、1,700円という価格を考えれば、その「解体作業」の楽しさという一点において、元は取れるかもしれない。バグや翻訳は急速に改善されており、今後のアップデートで中核となる売却システムにメスが入れば、本作は一気に「化ける」可能性を秘めている。
今はまだ、荒削りな解体現場だ。だが、この作業の楽しさという「土台」は本物だ。
ゲーム概要
- タイトル: Deconstruction Simulator
- 開発元: Games Incubator, Hypnotic Ants
- パブリッシャー: Games Incubator, PlayWay S.A.
- プラットフォーム: PC (Steam)
- 発売日: 2025年9月23日
- 価格: 1,700円
- 日本語: 字幕対応
- ストアURL: https://store.steampowered.com/app/2487150/Deconstruction_Simulator/






