世の中には様々な協力ゲームがあるが、これほど「仲間」の存在を(物理的にも精神的にも)実感できるゲームは稀だろう。『RV There Yet?』は、休暇帰りのオッサンたちが、なぜか地獄のような山道「マバッツ渓谷」をオンボロのキャンピングカー(RV)で家に帰るだけのゲームだ。そう、ただ、家に帰るだけ。それがどれほど困難なことか、この時はまだ知る由もなかった。
運転担当はMT免許必須!? このRV、一筋縄ではいかない

まず洗礼を受けるのが、このRVの運転だ。本作の運転は、なんとマニュアル(MT)操作に対応している(ATもあるが、この悪路では非力すぎる)。クラッチ(Qキー)を切りながら、マウスドラッグでギアを叩き込む。坂道発進でエンストし、ギアを間違えて車が悲鳴を上げる。
さらに運転席からの視界は絶望的に悪い。外で仲間が「右!右!あー!行き過ぎ!」と叫ぶ声だけが頼りだ。運転経験のあるフレンドがいると、それだけでヒーローになれる。
主役はウィンチ。物理演算は神か悪魔か

だが、安心(?)してほしい。このRVには最終兵器「ウィンチ」が前後に搭載されている。
道がない? ウィンチを木に引っ掛けて飛べばいい。 崖から落ちた? ウィンチで引き上げればいい。 垂直の壁? ウィンチを使えば登れる。
そう、このゲームは「ウィンチが全てを解決する」のだ。運転手1人がアクセルをふかし、残りのメンバーがウィンチ操作、板の設置、偵察、そして迫り来る熊への「おとり」役と、完璧な役割分担(と、時々の裏切り)が求められる。
もちろん、物理演算は常に我々の味方とは限らない。ちょっとした段差でRVが宇宙まで吹っ飛んだり、仲間を掴んで崖下に投げ飛ばしたり、溶接機を引きずったまま谷を越えたり(ワイヤーは無限に伸びる)、予期せぬ挙動が腹筋を崩壊させに来る。だが、それが最高に面白い。
ビールでパワーアップ、タバコで高速化。これぞオッサンのサバイバル

このゲームのサバイバル術は一味違う。
- ビールを飲む: なぜか力が湧き、重いものが持てるようになる。
- タバコを吸う: なぜか足が速くなる。ヤニカスダッシュだ。
- ハンバーガーを焼く: 体力が回復する。完璧な健康食だ。
蛇に噛まれ、食中毒になり、アナフィラキシーショックを起こしながら(エピペンは必需品)、タバコとビール片手にRVをハンマーで殴って修理する。その姿は、あるプレイヤーに「離婚した親父のミッドライフクライシス・シミュレーター」と言わしめた。まさにそれだ。
920円で買える最高のカオス。友達(必須)と今すぐ遭難しよう

本作はソロプレイも可能だが、おそらくクリアは不可能だろう。これは、失敗を笑い飛ばし、仲間の顔面にタバコを投げつけ、理不”尽な死に大爆笑できる「友達」という名の必須アイテムがあって初めて成立するゲームだ。
日本語には対応していないが、一切問題ない。必要なのはノリと勢い、そして「ウィンチを信じる心」だけ。920円という価格で、これほど濃密なカオスと笑いを提供してくれるゲームは他にない。今すぐ3人の仲間を集めて、この地獄の(最高の)ドライブに出かけよう。
ゲーム概要
- タイトル: RV There Yet?
- 開発元: Nuggets Entertainment
- パブリッシャー: Nuggets Entertainment
- 発売日: 2025年10月21日
- 価格: 920円
- 日本語対応: 未対応(ただし、プレイに支障はほぼ無し)
- ストアリンク: https://store.steampowered.com/app/3949040/RV_There_Yet/






