銀行員。それは堅実で、真面目で、数字に追われる少し堅苦しい仕事……なんてイメージを持っていませんか? 2025年6月にリリースされた『Bank Simulator』は、そんな固定観念を現金の詰まったダッフルバッグでぶん殴るような、泥臭くも中毒性の高い経営シミュレーションゲームです。
プレイヤーは小さな銀行の支店長(兼 窓口係、兼 警備員、兼 投資家)となり、日々の業務をこなしながら銀行を拡大させていきます。預金の受付からATMへの現金補充、果ては巨額の投資判断まで。お金の匂いが充満するこの現場で、実際に汗水流して働いてみた感触をお届けします。
「ワンオペ銀行」の心地よい忙しさと物理作業

ゲームを開始してまず驚くのは、その「肉体労働」っぷりです。経営シムと聞いてデスクワークを想像していましたが、実際は金庫から現金をバッグに詰め込み、カウンターへ走り、ATMへ現金を補充するという物理的な作業の連続でした。
しかし、不思議なことにこれが楽しいのです。顧客が列をなして預金や引き出しを求めてくる中、現金の在庫を管理し、手際よく処理していくリズム感。最初はワンオペでてんてこ舞いになりますが、タスクを綺麗に消化できた時の達成感は、『Overcooked』のようなアクションパズルに通じるものがあります。
お金の「重み」を感じながら、ひたすら現金を運ぶ。この単調ながらも没入感のあるルーチンワークが、いつしか時間を忘れさせてくれます。
融資の可否は私のサジ加減。冷徹な審査官になる快感

本作のハイライトの一つが「ローン審査」です。顧客が持ち込んでくる融資の申請書に目を通し、彼らの収入、信用スコア、借入目的を精査します。
リスクが高いと判断すれば、冷徹に「拒否」のスタンプを押す。逆に、将来性を見込んで高金利で貸し付ける。この瞬間の「他人の人生(と財布)を握っている」感覚は、背徳的ながらも強烈な全能感を与えてくれます。リスク管理をして利息収入を得るという銀行本来のビジネスモデルが、ゲーム的な快感としてうまく落とし込まれている点は高く評価したいポイントです。
また、稼いだ資金を「債券」に投資してさらなる利益を狙う要素もあり、数字が増えていく様子を眺めるのが好きな人にはたまらない設計になっています。
強盗との攻防、そして銀行の成長

平和に業務をこなすだけのモードもありますが、スリルを求めるなら強盗が登場するモードがおすすめです。せっかく貯め込んだ現金を奪われないよう、セキュリティに投資し、時には自ら銃を手に取って戦う(!)ことも。銀行経営シムでFPSが始まるとは思いませんでしたが、このカオスさも本作の味と言えるでしょう。
稼いだ利益で銀行の内装をカスタマイズしたり、優秀な(あるいは無能な)スタッフを雇って業務を自動化したりと、成長要素もしっかり用意されています。最初は殺風景だったオフィスが、次第に豪華な金融の殿堂へと変わっていく様は、純粋なサクセスストーリーとして楽しめます。
粗削りだが、確かな「金」の輝きがある

正直に言えば、現時点では最適化不足によるラグや、UIの不親切さ、後半の単調さといった粗削りな部分も目立ちます。しかし、開発元は頻繁にアップデートを行っており、現金輸送車の追加やマップの拡張など、コンテンツは着実に強化されています。
何より、「銀行を運営する」というニッチな願望を、ここまで直球かつ多角的に叶えてくれるゲームは貴重です。完璧ではありませんが、札束を積み上げる快感と、経営者としてのスリルを味わいたいなら、この銀行の採用面接を受ける価値は十分にあるでしょう。
ゲーム概要
- タイトル: Bank Simulator
- ジャンル: シミュレーション / 経営 / ストラテジー
- 開発元: Strong Bow Games
- パブリッシャー: Strong Bow Games
- 発売日: 2025年6月7日
- 価格: ¥ 1,700
- 対応言語: 日本語字幕対応
- Store URL: https://store.steampowered.com/app/3355800/Bank_Simulator/







