これまで多くのビデオゲームにおいて、ビッグフット(サスクワッチ)は「狩られる対象」か「恐怖の象徴」でした。カメラを片手に追い回されたり、銃口を向けられたり……。しかし、Planet 47 Gamesが2025年11月3日にリリースした『Bigfoot Life』は、そんな既存のイメージを180度覆す作品です。
プレイヤー自身が伝説の未確認生物となり、大自然の中で自給自足の生活を送る。そこにあるのは恐怖ではなく、森の守護者としての静かな誇りと、少し間の抜けた愛らしい日常でした。今回は、都会の喧騒に疲れた現代人にこそ刺さる本作のプレイレビューをお届けします。
追われる側から「暮らす側」へ。伝説の生物の意外な日常

ゲームを開始してまず驚かされるのは、ビッグフットのカスタマイズ性の高さです。体格や毛並みの色はもちろん、目の色を光らせたりと、自分だけの「伝説」を作り上げることができます。私は少し愛嬌のある、モフモフとした茶色のビッグフットを作成し、森へと降り立ちました。
本作の根幹は三人称視点のシミュレーションゲームです。基本的には森を歩き回り、キノコやベリーを採集し、川で魚を捕まえ、腹を満たします。サバイバルゲームと銘打たれていますが、飢えや渇きに常に追われるようなヒリヒリした焦燥感はありません。「ノーマルモード」であれば、散歩のついでに食事をするくらいのゆったりとしたペースで進行します。
特筆すべきは、非常にシュールかつ人間臭い生理現象の表現です。食事をすれば当然トイレにも行きたくなるわけで、森の茂みで「用を足す」専用のメーターとアクションが存在します。伝説の生物も生き物なんだな、と妙な親近感を覚えずにはいられません。
サバイバルだけど、どこまでも優しい世界

本作最大の特徴は「非暴力」であることです。森にはクマなどの野生動物も生息していますが、彼らと死闘を繰り広げることはありません。むしろビッグフットは、傷ついた動物たちを癒やす不思議な力を持っています。罠にかかった動物を助け、森のバランスを保つ。これこそが本作におけるプレイヤーの役割です。
シェルター作りも直感的で、集めた枝や葉を使って自分だけの秘密基地を築くことができます。夜になり、焚き火のそばで眠りにつく瞬間は、デジタルな空間でありながら不思議な安らぎを感じさせてくれます。季節や天候の変化も動的に描かれており、雨音や風の音を聞きながらただ森を眺めるだけの時間が、意外なほど贅沢に感じられました。
人間を驚かせ、動物を癒やす「森の守護者」としての生活

もちろん、森には招かれざる客「人間」もやってきます。ハイカーやハンター、カメラマンたちがあなたの姿を捉えようと躍起になっています。しかし、ここでも血なまぐさい戦闘は発生しません。
プレイヤーができるのは、彼らを「驚かせて追い返す」こと。茂みから飛び出して咆哮を上げたり、彼らのキャンプからこっそりとアイテムを拝借したり(これには少し罪悪感がありますが、ポイントになるので……)。人間たちが慌てふためいて逃げ帰る姿を見るのは、悪戯心が満たされる愉快な瞬間です。ステルスアクション的な要素もありますが、失敗しても即ゲームオーバーというわけではないため、ストレスフリーに楽しめます。
粗削りな部分も含めて愛せる、唯一無二の体験

正直に言えば、本作は大手スタジオのAAAタイトルのような洗練された挙動や、完璧な最適化を期待すると肩透かしを食らうかもしれません。個人の開発者による作品ということもあり、アニメーションが少しぎこちなかったり、オブジェクトの判定が甘かったりする場面も散見されます。
しかし、そういった「インディーゲーム特有の愛すべき粗さ」を補って余りある魅力が、このコンセプトには詰まっています。「ただ森を歩き、自然と一体になる」という体験に特化した潔さが、逆に新鮮なのです。
激しいアクションや競争に疲れ、ただただ無心で森を彷徨いたい。そんな気分の夜に、お気に入りの飲み物を片手にプレイするには最高の作品です。あなたも今日から、森の伝説になってみませんか?
ゲーム概要
- タイトル: Bigfoot Life
- ジャンル: シミュレーション / サバイバル / リラックス
- 開発元: Planet 47 Games
- パブリッシャー: Planet 47 Games
- 発売日: 2025年11月3日
- 価格: ¥ 2,300
- 対応言語: 日本語、英語 他
- Steamストア: https://store.steampowered.com/app/3108130/Bigfoot_Life/






