感動の医療ドラマなどここにはありません。あるのは、仁術のかけらもないマッドな実験室と、そこから逃げ出すために怪しげな新薬をガブ飲みする「患者」たちだけです。
Two Horn Unicornが開発した『S.E.M.I. – Side Effects May Include…』は、タイトルの通り「副作用(Side Effects)」をゲームのコアシステムに据えた協力型アクションプラットフォーマーです。プレイヤーは特殊なクリニックに監禁された患者となり、脱出のために未認可の薬を服用せざるを得ない状況に追い込まれます。
「楽しい協力プレイ」と公式は謳っていますが、実際に遊んでみると、そこは友情を試される(あるいは破壊される)混沌の坩堝でした。『Pico Park』のわちゃわちゃ感や、『Human: Fall Flat』の予測不能な物理挙動が好きな人なら、このクリニックの門を叩く資格は十分にあります。
副作用こそが本体:目からビームと「生体ガス」推進システム

本作最大の特徴にして最大のガン、それが多彩すぎる「薬」の存在です。
ステージ上の警備員を倒したり、ギミックを動かしたりするために、プレイヤーは落ちている薬を飲みます。すると、「副作用」が発動するわけですが、これがまさにロシアンルーレット。一時的に無敵になったり、壁を貫通する強力なレーザーを目から発射できたりと、スーパーパワーを得られることもあります。

しかし、大抵の場合はロクなことになりません。視界が極端に悪くなったり、操作が反転したり、体がアリのように小さくなったり、逆に巨人と化して通路に詰まったり。中でも(物理的にも精神的にも)衝撃的だったのが、崖を飛び越えるための推進力が「強烈な屁」だった時です。
これらランダムで荒唐無稽な副作用が、ただのジャンプアクションを予測不能なパーティゲームへと変貌させます。次はどんな奇病が発症するのか、ワクワクと恐怖が入り混じる感覚は本作ならではでしょう。
仲間は最大の資産であり、最大の障害物である

本作はソロプレイも可能ですが、悪いことは言いません。絶対に一人では遊ばないでほしいと思います。
ソロでは単なる「ちょっと不便なパズルアクション」になってしまいがちですが、マルチプレイ(最大4人)になった瞬間、化学反応が起きます。 本作にはプレイヤー同士の衝突判定とフレンドリーファイアが存在します。つまり、敵を倒そうとして撃ったレーザーで味方を焼き払ったり、薬の副作用で巨大化したプレイヤーが狭い足場で味方を突き落としたりといった事故が日常茶飯事で起きるのです。
また、倒れた仲間を復活させる際、地面に埋まった仲間を大根のように引っこ抜くシュールな蘇生アクションも笑いを誘います。早期アクセス特有の物理演算の荒ぶりも含めて、互いに足を引っ張り合いながらゲラゲラ笑うのが、このゲームの正しい「治療法」と言えるでしょう。
ポップな見た目に騙されるな。意外と硬派な難易度

海外アニメのような鮮やかでコミカルなビジュアルですが、難易度は意外とシビアです。集めたキャンディ(通貨)でパイナップルの被り物や紙の船などのスキンを変えてふざけ合うことはできますが、ステージギミックは殺意高めです。
火炎放射器、毒ガス室、レーザーグリッドに加え、前述のランダムな副作用が襲いかかります。ただ突っ込むだけではクリアできず、誰がどの薬を飲むか、どうギミックを回避するかという瞬時の判断と連携が求められます。
現時点では早期アクセスということもあり、操作性の硬さや、地形ハマりなどのバグも散見されます。しかし、「あえて不自由を楽しむ」バカゲーとしてのポテンシャルは十分に感じられました。
総じて、『S.E.M.I.』はカオスを楽しむための舞台装置です。精密なアクションを求めるゲーマーには「劇薬」すぎてお腹を壊すかもしれませんが、友人と泥仕合を演じたい人にとっては、最高の「特効薬」となるはずです。

ゲーム概要
- タイトル: S.E.M.I. – Side Effects May Include…
- ジャンル: 協力型アクションプラットフォーマー / 派対ゲーム
- 開発元: Two Horn Unicorn
- パブリッシャー: Two Horn Unicorn
- 発売日: 2025年11月21日(早期アクセス中)
- 価格: 1,099円
- 対応言語: 日本語字幕対応
- Store URL: https://store.steampowered.com/app/3957560/SEMI__Side_Effects_May_Include/






