未来のハッカーは、暗い部屋でモニターに向かい、高速でキーボードを叩くステレオタイプな姿ではありません。少なくともこのゲームにおいては、日本刀を振り回し、ロケットランチャーをぶっ放す暴走少女こそが、AIに支配された世界の救世主となるのです。
ブラジルのインディーデベロッパーOrube Game Studioが開発した『Lia: Hacking Destiny』は、一見すると王道なドット絵のアクションローグライトに見えます。しかしその実態は、現代テクノロジーへの痛烈な風刺と、ブラックユーモア、そして「物理的な暴力」に満ちた快作でした。
今回は、ハッキング(物理)で未来を切り開く本作の魅力をお届けします。
「物理的ハッキング」という名の破壊衝動

舞台は機械が支配するディストピア。主人公のLiaはレジスタンスとして敵の中枢へ「ハッキング」を仕掛けるわけですが、その手段は極めてハードコアです。
本作最大の特徴は、そのスピーディーかつ爽快な戦闘システムにあります。近接武器のカタナと、遠距離武器の銃火器をシームレスに切り替えながら戦うスタイルは、まるでダンスのよう。敵の弾幕をダッシュや二段ジャンプ、壁蹴りで華麗にかわし、隙を見て強力な一撃を叩き込む。カバーアクションで隠れるような臆病な戦い方はここにはありません。
ローグライト要素も充実しており、チップやアップグレードを組み合わせることで、自分だけのビルドを構築可能。スナイパーライフルで遠距離から無力化するもよし、バズーカでド派手に爆破するもよし。画面を埋め尽くすロボットの残骸と爆発エフェクトは、日頃のストレスを吹き飛ばす最高のアドレナリン源となるでしょう。
最もリアルで、最もイラつくハッキング体験:「CAPTCHA」

本作で最も笑ってしまった(そして感心した)のが、ユニークすぎる「ハッキング」のメカニクスです。
ステージ内には監視カメラが設置されており、長く映り続けると「脅威レベル」が上昇。罠が作動したり、無敵の追跡者が現れたりとろくなことになりません。これを解除するためにセキュリティ端末をハッキングするのですが、そこで表示される画面があれです。
そう、私たちがネット上で親の顔より見ている**「信号機が写っている画像をすべて選んでください」や「これはチワワですか?それともマフィンですか?」といった、あの憎きCAPTCHA(画像認証)**です。
激しい戦闘の直後、アドレナリンが出ている状態で「バスの画像」を冷静に探さなければならないこのギャップ! AI全盛の時代に、人間であることを証明するためにパズルを解くという皮肉が効いており、本作のハイライトと言えるでしょう。
アルゴリズムに囚われた「猫」を救え

ロボットをスクラップにする以外にも、Liaには重要な任務があります。それは「猫」の救出です。
この狂った未来では、ロボットたちが動画の再生数を稼ぐため、猫を檻に閉じ込めて催眠動画を作成しています(どこかで聞いたような話ですね?)。プレイヤーはAIの圧政だけでなく、アルゴリズムの魔手からも、この毛むくじゃらの主君たちを救わなければなりません。
助け出した猫は拠点でくつろぐだけでなく、恩返しとしてボーナスを提供してくれます。猫好きのゲーマーにとって、これ以上のモチベーションが必要でしょうか?
総評:骨太な難易度と溢れるユーモア

インディーゲームらしく、後半の敵が少々硬かったり(いわゆるスポンジ敵)、局外成長(メタプログレッション)のための素材集めが必要だったりと、荒削りな部分はあります。ファミコン時代のアクションゲームを彷彿とさせる硬派な難易度は、人を選ぶかもしれません。
しかし、美しいピクセルアート、素晴らしいボイスアクティング(ポルトガル語の響きが新鮮です)、そして「認証システム」をゲーム性に落とし込んだセンスは唯一無二です。
刀でロボットを両断しつつ、九宮格の画像から「横断歩道」を探すシュールな体験をしてみたいなら、本作は間違いなく買いの一本です。
ゲーム概要
- タイトル: Lia: Hacking Destiny
- ジャンル: アクションローグライト / プラットフォーマー / サイバーパンク
- 開発元: Orube Game Studio
- パブリッシャー: Orube Game Studio, GoGo Games Interactive
- 発売日: 2025年11月13日
- 価格: ¥ 1,700
- 対応言語: 日本語字幕対応
- Store URL: https://store.steampowered.com/app/3740360/Lia_Hacking_Destiny/







