Webゲームメディアの編集部がお届けする、注目のインディーゲーム紹介。今回取り上げるのは、深海よりも深い闇を抱えた海で、過酷なノルマと戦う協力型フィッシングホラー『Dreadline: Net Quota』だ。
一見すると「仲間とワイワイ釣りを楽しむチルなゲーム」に見えるかもしれない。しかし、その実態は「釣った魚を売って借金を返済しなければ即ゲームオーバー」という、世知辛すぎる労働シミュレーターである。最近流行りの『Lethal Company』ライクなバイブスを釣りゲーに落とし込んだ本作。実際にプレイして感じた、潮の香りと鉄錆、そして悲鳴が入り混じる独自の魅力をお届けしよう。
釣り竿片手に、死と隣り合わせの操業へ

本作の基本ルールはシンプルだ。ボートに乗り込み、海へ出て、魚を釣り、港で売る。そして期限内に指定された金額(ノルマ)を稼ぐこと。これだけなら牧歌的な漁師ライフだが、舞台となる海は明らかに何かがおかしい。
視界は悪く、海面には不気味な霧が立ち込め、レーダーには得体の知れない影が映る。プレイヤーたちは、ただ魚を釣るだけでなく、ボロ船のメンテナンスにも追われることになる。エンジンは頻繁にオーバーヒートし、船底には穴が空き、浸水が始まる。
「右舷、浸水! リペアキット持ってきて!」「いや、今カジキと格闘中だって!」「誰かエンジン直せよ!」
こうした怒号が飛び交うカオスな現場こそが、本作の醍醐味だ。淡々と作業をこなす職人気質なプレイも良いが、パニックに陥るクルーを眺めるのもまた一興である。
魚を盗む「触手」に殺意を覚える瞬間

海には当然、招かれざる客も存在する。巨大な魚影や怪物が船を襲ってくるのだが、中でもプレイヤーの精神を削ってくるのが、釣った魚を狙う「触手」やクリーチャーたちだ。
せっかく釣り上げた高級魚を、生簀(いけす)から直接ひったくっていく理不尽さ。必死に抵抗しても、気づけば売上は半分以下になっていることもザラにある。この時ばかりは、ホラーゲーム特有の恐怖よりも、「俺たちの給料を返せ」という純粋な怒りが湧き上がってくる。感情を揺さぶるという意味では、非常によくできたシステムと言えるだろう(褒め言葉だ)。
早期アクセスゆえの「粗削り」すら愛おしい

正直に言おう。本作はまだ早期アクセスであり、完成された洗練さを求めてはいけない。 魚が物理演算のバグで船を突き抜けたり、虚空へ消えたりすることは日常茶飯事だ。しかし、友人と遊んでいる時、そうしたバグは往々にして爆笑の種になる。「魚が空を飛んでいったんだが?」と笑い合える寛容な心が、この海域では求められる。
ソロプレイは修羅の道だ。船の操縦、釣り、修理、怪物の撃退を一人でこなすのは、ブラック企業も裸足で逃げ出すワンオペ業務となる。悪いことは言わない、ボイスチャットを繋げる友人を招集すべきだ。プロキシミティチャット(距離減衰のあるボイスチャット)に対応しているため、遠くから友人の断末魔が聞こえる臨場感も味わえる。
総評:700円で買える、最高のドタバタ劇

バグやコンテンツ不足といった課題はあるものの、700円という価格を考えれば、友人と数時間叫びながら遊ぶコストパフォーマンスは非常に高い。アップデートも頻繁に行われており、開発元の熱意も感じられる。
『Dreadline: Net Quota』は、完璧な釣りシミュレーターではないかもしれない。しかし、極限状態でのチームワークと、理不尽な死を笑いに変えるパーティーゲームとしては、一級品のポテンシャルを秘めている。
さあ、君も釣り竿を手に取ろう。ただし、その釣り糸の先に掛かるのが魚なのか、それとも絶望なのかは、釣り上げてみるまで分からない。
ゲーム概要
- タイトル: Dreadline: Net Quota
- 発売日: 2025年12月16日
- 開発元: Mana Brigade
- パブリッシャー: Mana Brigade
- 価格: 700円
- ジャンル: 協力型マルチプレイ / ホラー / 釣り / アクション
- ストアURL: Steamストアページはこちら






