ノートの端に描いた落書きが、もし命を持って動き出したら?そんな子供の頃の空想を、最高にポップで、ちょっぴり切ない形で描き出したのが本作『Ink Inside』だ。
サタデーモーニング・カートゥーン(土曜朝のアニメ)の精神を受け継いだという本作は、手描きの温かさと、ドッジボールをベースにしたエッジの効いたアクションが融合した、唯一無二のプレイ体験を届けてくれる。
命を吹き込まれた「落書き」たちの世界

プレイヤーが操作するのは、未完成の棒人間「Stick」。天井から漏れ出した「湿気(The Sog)」によってノートの世界が浸食され、かつての仲間たちがモンスターに変えられていくなか、失われた記憶を取り戻すために立ち上がる。
まず目を引くのが、そのアートスタイルだ。鉛筆やマジックで描かれたような質感、そして時折挿入される実写のカットシーン。この「現実と想像の境界」が混ざり合う演出が、物語に深みを与えている。単なる可愛いゲームだと思って触れると、その背後にあるクリエイターと作品の関係性に、思わず胸が締め付けられるかもしれない。
爽快感抜群!「ドッジボール」風バトル

本作の戦闘は、いわゆる「ベルトスクロール」と「ドッジボール」を掛け合わせたような独自システムだ。敵の攻撃を避けながら、コアを拾って投げつける。チャージして威力を高めたり、装備によるアビリティを駆使したりと、シンプルながらに戦略性は高い。
実際にプレイしてみると、ヒット時の「パシッ!」という手応えのある効果音がとにかく気持ちいい。ボタンを連打するだけの格闘ゲームとは違い、位置取りと狙いの精度が重要になるため、一戦一戦に心地よい緊張感がある。さらに、このバトルはローカル協力プレイにも対応しており、友人や家族と「そこだ!」「避けて!」と盛り上がれるのも大きな魅力だ。
毒っ気たっぷりの愛すべきキャラクターたち

冒険を彩る仲間たちも強烈に個性的だ。頼りになる刑事「Fuzz」もいいが、特筆すべきは呪われた王女「Traff」。その可愛らしい見た目に反して、放送禁止用語を連発する(作中ではピー音や伏せ字で処理されるのがまた面白い)彼女の存在は、この世界にピリッとしたスパイスを加えている。
豪華な声優陣による演技も素晴らしく、英語音声ながらその熱量は十分に伝わってくる。日本語字幕もしっかり対応しているため、彼らの軽妙な掛け合いを余すことなく楽しめるのは嬉しいポイントだ。
総評:ノートの中に広がる無限の宇宙

『Ink Inside』は、1,200円という価格以上の価値を感じさせてくれる一作だ。ボリュームとしては10時間前後とコンパクトにまとまっているが、その中にはクリエイティビティへの愛と、冒険のワクワクがぎっしりと詰まっている。
「未完成の自分でも、何かを成し遂げられる」——そんなメッセージが、Stickの戦いを通じて心に響く。アクション好きはもちろん、物語性を重視するプレイヤーにも、ぜひノートの表紙をめくってみてほしい。
ゲーム概要
- タイトル: Ink Inside
- ジャンル: アクションRPG / ベルトスクロール / アドベンチャー
- 発売日: 2024年12月12日
- 開発元: Blackfield Entertainment LLC
- パブリッシャー: Entalto Publishing
- 価格: ¥1,200
- 対応プラットフォーム: PC (Steam), Nintendo Switch, PlayStation 5, Xbox Series X|S
- 特徴:
- 手描きアニメーションによる独特なビジュアル
- ドッジボールに着想を得たユニークな戦闘システム
- 実写映像を交えた感動的なストーリーテリング
- ローカル協力プレイ(おすそわけプレイ)対応
- 日本語字幕対応
- ストアリンク: Steamストアページ
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