近年、クラシックなダンジョンクローラーを現代の技術で再解釈する動きが加速しているが、また一つ期待のプロジェクトが産声を上げた。Petr Najman氏が手掛ける『Ancient Shadows: Awakening』は、一歩先すら見通せない暗闇の恐怖と、リソース管理の緊張感を突き詰めたフル3DダンジョンRPGだ。
現在、本作はベータテスト版が公開されており、フィードバックを基に魔法システムやAIのブラッシュアップが進められている。迷宮に足を踏み入れた瞬間に感じる、あの「本気で殺しに来ている」空気感。今回はそのプレイフィールを余すことなくお伝えする。
視界の「油断」が死を招く、徹底したリアリズム

本作をプレイして最初に衝撃を受けるのは、徹底した「暗闇」の表現だ。プレイヤーの生命線となるのは、一本のランタン。その燃料であるオイルが尽きれば、文字通り何も見えなくなる。このリソース管理が絶妙で、常に「次のキャンプ地まで燃料が持つか」という恐怖が背中をなでる。
さらにプレイヤーを苦しめるのが、食料や水、そして毒の概念だ。ただ歩いているだけでも空腹と喉の渇きは容赦なく襲いかかり、生肉を調理して食いつなぎ、濁った水を煮沸して飲み水に変えるといった泥臭いサバイバルが求められる。この「生きている実感」と「死への近さ」のバランスが、探索に圧倒的な没入感を与えている。
リアルタイムで交差する剣戟とタクティカルな位置取り

『Legend of Grimrock』のようなグリッドベースの雰囲気を持ちつつも、本作の戦闘はリアルタイムのアクション性が重視されている。敵の攻撃パターンを見極め、バックステップや旋回で位置取りを調整する緊張感は、単なるボタン連打では到底生き残れない厳しさだ。
ベータ版ゆえ、敵のAIや戦闘バランスには荒削りな部分も見受けられるが、攻撃を当てた際の手応えや、敵を倒して得たXPでステータスを強化していくRPGの根源的な楽しさはすでに確立されている。スキルポイントをどの能力に振るか、限られたリソースでどの装備を強化するか。その一歩一歩の選択が、キャラクターの生存率に直結する。
観察眼が試される、歯ごたえ抜群のパズルと罠

このダンジョンは、単に敵を倒せば進める場所ではない。壁の僅かな凹みにある隠しスイッチ、落ちているメモに記された暗証番号。これらを見落とすと、数時間同じ場所を彷徨うことになる。
実際、筆者も序盤で武器を見落とし、ランタン一つでモンスターから逃げ回るという絶望を味わった。しかし、隠し穴の先でようやく鈍く光るメイスを見つけた瞬間の高揚感は、最近の親切すぎるゲームでは味わえない「自力で切り拓いた」喜びそのものだった。床から突き出すトゲや即死級の罠すら、慣れてくればダンジョンのスパイスとして愛おしく感じてしまうから不思議だ。
総評:オールドスクールへの愛と、新時代へのポテンシャル

『Ancient Shadows: Awakening』は、決して万人受けするソフトではないかもしれない。チュートリアルは最小限で、序盤は手探り状態が続く。だが、その不親切さこそが「未知の迷宮を探索している」という感覚を研ぎ澄ませてくれる。
現状はまだプロトタイプに近い部分もあるが、ライティングの美しさや環境音が生み出す不気味な空気感は、すでに傑作の予感を漂わせている。硬派なダンジョン探索と、胃が痛くなるようなリソース管理を愛するゲーマーにとって、本作の完成は2026年の大きなトピックになるはずだ。
ゲーム概要
- タイトル: Ancient Shadows: Awakening
- ジャンル: ダークファンタジー・ダンジョンクローラーRPG
- 開発元/パブリッシャー: Petr Najman
- 発売予定日: 2026年
- 対応プラットフォーム: PC(Steam)
- 主な特徴:
- フル3Dで描かれる没入感の高い地下世界
- リアルタイムの戦闘システムとタクティカルな位置取り
- 空腹、喉の渇き、ランタンの燃料管理などのサバイバル要素
- 焚き火を利用した調理やアイテムクラフト
- 注意深い観察を要するパズルと即死級の罠
- 敵の情報を解禁していくモンスター図鑑
- Steamストアページ: Ancient Shadows: Awakening






