地平線のかなたまで続く蒼い海。かつて文明が存在した陸地は、今や気まぐれに浮き沈みする不安定な「島」として点在するのみ。そんな絶望的なポスト・アポカリプス設定を、絵本のような温かみのあるビジュアルで包み込んだ一作が、Barrel Smash Studiosの手掛ける『Oceaneers』だ。
本作は、限られた生存者を導き、水没した世界で生き抜くコロニーシムだ。しかし、従来の「拠点作り」とは一線を画す。なぜなら、自分たちの足場である島そのものが沈む可能性を秘めており、常に「浮力」と向き合い続けなければならないからだ。
生き残るために島を「繋ぐ」という狂気と快感

プレイを始めてまず驚かされるのは、島が単なるマップのオブジェクトではなく、管理すべき「動産」であるという点だ。最初は小さなイカダで周囲を探索し、漂流物をかき集める日々から始まるが、技術が進むにつれ、周囲に浮かぶ島々を自分たちの拠点へと「牽引」して連結できるようになる。
この「島のコレクション」が実に面白い。連結した島同士に橋を架け、領土を強引に広げていく感覚は、他のサバイバルゲームでは味わえない独自の高揚感がある。だが、領土を広げればそれだけ沈みやすくなる。謎のテクノロジー「Float-Tech」を研究し、浮力装置を設置して、無理やり島を海面に留めておく綱渡りのような管理が、プレイヤーの判断力を常に試してくる。
「生活感」と「緊迫感」が同居するサバイバー管理

生存者(Oceaneers)たちはそれぞれ個性的だ。料理が得意な者、研究に没頭する者、遠征で真価を発揮する者。彼らには空腹や喉の渇きだけでなく、排泄や精神的な欲求も存在する。
雨が降らなければ飲み水が尽き、サメが来ればイカダが壊される。空からはカモメが食料を狙って急降下してくる。この「絶え間なく何かが起きる」感覚は、名作『Oxygen Not Included』や『Don’t Starve』を彷彿とさせる。特に、島にあるハッチを開けて地下シェルターへと潜り込む瞬間は、サイドビューに視点が切り替わり、まるで別のゲームを遊んでいるかのような探索の緊張感が走る。この「上(島の上)」と「下(シェルター内部)」の使い分けが、ゲームプレイに深い奥行きを与えている。
序盤の泥臭さを越えた先にある「自動化」への道

正直に言えば、序盤のテンポは決して速くない。石の斧で木を切り、手作業で魚を焼く。資源の乏しい第一海域では、一つの建物を建てるのにも相応の時間を要する。レビューの中には「スローすぎる」という声もあるようだが、筆者はこれを「サバイバルの重み」だと感じた。
苦労して研究を進め、少しずつ作業が自動化されていくプロセスこそが、このジャンルの醍醐味だ。最初はあんなに必死に集めていた資源が、設備のアップグレードによって効率的に回るようになった時の達成感。そして、より過酷な環境が待つ次なる海域へと島ごと移動する時のワクワク感。気がつけば、数時間のつもりが朝方までプレイを続けてしまうような、恐ろしい中毒性がここにはある。
荒削りながらも、底知れないポテンシャルを感じる逸作

現在、本作はアーリーアクセス版ということもあり、UIの細かな挙動や、中盤以降のバランス調整に改善の余地は見られる。特に日本語への公式対応がまだ行われていない点は、国内ユーザーには少し高いハードルかもしれない。しかし、直感的な操作とアイコン、そして親切なチュートリアルのおかげで、言語の壁を超えて楽しむことは十分に可能だ。
開発チームは非常に意欲的で、プレイヤーの声に耳を傾けながら頻繁にアップデートを重ねている。MOD対応や新コンテンツの追加を含めたロードマップも期待が持てる。もしあなたが、限られたリソースをやりくりし、自分だけの「浮かぶ要塞」を作り上げることに喜びを感じるタイプなら、今すぐこの海へ飛び込むべきだ。
『Oceaneers』は、ただの漂流ゲームではない。それは、失われた文明の欠片を拾い集め、青い地獄を希望の庭へと変えていく、壮大な再生の物語なのだ。
ゲーム概要
- タイトル: Oceaneers
- 発売日: 2026年4月13日
- 開発/販売: Barrel Smash Studios
- ジャンル: サバイバル・コロニーシミュレーション
- 価格: 2,800円
- 特徴:
- 沈没の危険がある島を管理・拡張する独特のシステム
- カスタマイズ可能なイカダによる広大な海洋探索
- 地下シェルター(バンカー)の探索と謎解き要素
- 詳細なスキルツリーと拠点自動化のプロセス
- シングルプレイで複数の生存者を管理する戦略性
- ストアリンク: Steam Store





