ネオンの光に焦がされ、乾いた電子音が響く世界の片隅で、私たちはとんでもない反逆の物語を目撃することになった。
本作の舞台は、音楽が法によって禁じられてから141年が経過した過酷な惑星・土星。プレイヤーはシンガーソングライターの「BOBO」となり、音楽の「エレキ」エネルギーを武器に、腐敗した階級社会と絶対的な権威に立ち向かうことになる。JRPGの黄金期を支えた名作たちのDNAを受け継ぎつつも、独自の鋭い牙を持つ本作。狂気に満ちたディストピアへ文字通り飛び込み、ギターをかき鳴らしてきた。
音楽が武器となる一味違ったグリッドバトル

戦闘が始まった瞬間、本作がただのコマンド選択式RPGではないことに気づかされる。ステージは六角形のグリッド状に区切られており、位置取りが戦況を大きく左右する。そして何より熱いのが、攻撃や防御のすべてに絡んでくるリアルタイムのタイミングアクション(QTE)だ。
キャラクターが白く光る一瞬を狙ってボタンを押す。完璧なタイミングで決まれば、敵に大ダメージを与え、相手の攻撃を完全に無効化(パリィ)できる。この緊張感は、まるで上質なアクションゲームや格闘ゲームを遊んでいるかのようだ。序盤こそタイミングのシビアさに冷や汗をかいたが、リズムを掴み、狙い通りに完璧なカウンターを叩き込めたときのカタルシスは脳に直接響く。
独自の「EP(エレキ)」システムも非常に練られている。EPは強力な物理攻撃を放つための原動力であると同時に、魔法攻撃に対する盾でもある。EPを削り取って自身の力に変えるか、それとも防御を固めて手痛いしっぺ返しを食らわせるか。ターンごとに目まぐるしく変わるリスクとリターンの駆け引きに、思わずコントローラーを握る手に力が入ってしまう。
脳を揺さぶる至高のサウンドと狂おしい世界観

世界観を彩るピクセルアートとサウンドトラックの融合は、まさに「芸術的」の一言に尽きる。 ディストピア特有の退廃的な空気感と、ビビッドなネオンカラーが織りなすビジュアルは、歩いているだけでスクリーンショットの手が止まらなくなるほどスタイリッシュだ。街に配置されたオブジェクトの調べるテキスト一つひとつにも、どこかシニカルでユーモアあふれるフレーズが仕込まれており、開発陣の並々ならぬこだわりが伝わってくる。
そして、音楽の力を信じる物語だからこそ、BGMのクオリティは極限にまで高められている。重厚なシンセサイザーのビート、感情を揺さぶるボーカル曲、静寂のなかから湧き上がるピアノの旋律。各章の節目に用意されたライブミニゲームは、ディストピアの暗雲を切り裂くような最高のカタルシスを届けてくれた。この体験をさらに深めるためにも、ぜひ最高のお気に入りのヘッドホンを準備してプレイしてほしい。
物語は単なる勧善懲悪のヒーローショーではない。主人公のBOBOも決して清廉潔白な救世主ではなく、エゴや暴力を秘めた非常に泥臭く魅力的なキャラクターだ。彼女と、その双子の弟である「範子(ファルコ)」をはじめとする一癖も二癖もある仲間たちが織りなすドラマは、時にコミカルで、時に胸が締め付けられるほどに重い。選択によって大きく変化するマルチエンディングの行く末を、ぜひその目で確かめてほしい。

ゲーム概要
- タイトル:Keylocker | Turn Based Cyberpunk Action
- 発売日:2024年9月18日
- 開発元:Moonana
- パブリッシャー:Serenity Forge
- 価格:¥ 2,862~
- 対応言語:日本語字幕対応
- ストアリンク:Steam ストアページ






