世界の理が崩壊し、生と死の境界すら歪んだ絶望の地。かつての世界を繋ぎ止めていた秩序を取り戻すため、3人の生存者たちが立ち上がる。『Shards of Order』は、過酷な世界観とデッキ構築RPGの楽しさを高い次元で融合させたタイトルだ。
実際に本作をプレイして最も強く感じたのは、ローグライク全盛の現代において「ストーリー重視の本格派RPG」としてカードバトルを再定義しようとする強い意志だ。絶望的な雰囲気に引き込まれ、戦術の試行錯誤に時間を忘れて没頭してしまった。
ターン制もマナも存在しない、革新的な「時間管理システム」

一般的なカードゲームの枠組みを想像して本作に挑むと、最初の戦闘で良い意味での衝撃を受けることになる。このゲームには「ターン」も「マナ」も存在しない。
すべての戦闘は時間軸の概念で進行する。敵の頭上にはカウントダウンが表示されており、こちらがカードを1枚プレイするごとに時が刻まれていく。高威力のカードほど多くの時間を消費し、敵の行動タイミングを早めてしまう。逆に、素早い攻撃や時間操作のスキルを駆使すれば、敵に何もさせずに攻め立てることも可能だ。
一歩間違えれば敵の強力な一撃を複数同時に受けることになり、常に緊迫した計算が求められる。このタイムカウンターの駆け引きが非常にスリリングで、パズルのような精密さとリアルタイム感のある判断力が試される。
3人のヒーロー、1つの共有デッキが生み出す戦術の深み

本作の個性をさらに際立たせているのが、パーティ編成とデッキ構築の仕組みだ。戦闘には3人のヒーローが参加するが、手札となるデッキは「パーティ全体で1つ」を共有する。
キャラクターごとに固有のスキルツリーや成長要素が存在し、レベルアップや装備の変更によってデッキに組み込まれるカードが変化していく。装備品は単なるステータスアップの道具ではなく、直接新たなカードをデッキに供給する役割を持つため、ビルドの選択がそのまま戦術の変化へと直結する。
特定のヒーローを軸にした一点突破型のデッキを作るか、3人のシナジーを考慮した万能型のデッキを目指すか。装備とスキルの組み合わせを探求する過程は非常に奥深く、自分だけの強力なコンボを見つけ出した瞬間の爽快感は格別だ。
圧倒的なダークファンタジーの空気感とストーリー

グラフィックとサウンドが作り出す重厚な空気感も素晴らしい。荒廃した世界を描くアートワークは隅々まで作り込まれており、暗く静かに響くBGMが滅びゆく世界の絶望感を一層引き立てている。
物語の途中で突きつけられる選択の数々は単なるフレーバーにとどまらず、旅の行方に不穏な影を落とす。「理」を取り戻すたびに近づいてくる不気味な神の視線や、手を差し伸べられる誘惑など、プレイヤー自身の倫理観や判断が試される展開も用意されている。一本道のカードバトルにはない、重厚なRPGを遊んでいるという確かな手応えを感じ取ることができた。
序盤の難易度の波や一部のバランス調整にはやや尖った部分も見受けられるが、それを補って余りある個性的で中毒性の高いゲームシステムが構築されている。カードゲームの戦略性と重厚なストーリー体験を両立させた良作だ。

ゲーム概要
- タイトル: Shards of Order
- ジャンル: RPG / デッキ構築カードバトル
- 開発元: Fardust
- パブリッシャー: Awaken Realms
- 発売日: 2026年7月28日
- 価格: 1,350円
- 対応言語: 日本語非対応(英語、その他言語に対応)
- ストアページ: Steamストアリンク






