デッキ構築ローグライクというジャンルは、金字塔の登場以来、無数のフォロワーを生み出してきた。その多くが模倣に終わる中、本作『Deathless. The Hero Quest』は、息をのむほど美しいアートスタイルと、重厚なスラブ神話の世界観という強烈な個性を武器に、PCでの好評を経てコンソールへとその戦場を広げた。
闇と神秘が息づく、スラブ神話の世界

ゲームを開いてまず心を掴まれるのは、その圧倒的なビジュアルだ。ロシアの民話や伝説に登場する「不死のコシチェイ」や「ヤガ(バーバ・ヤーガ)」といった存在が、ダークで荘厳なアートスタイルで描かれる。
この世界観の徹底こそが、本作の第一にして最大の魅力だろう。一枚一枚のカードが、まるで古い民話の挿絵のようだ。ただカードをプレイするだけでなく、この美しくも危険な「ベロスウェーチェ」の世界に浸る体験が、ここにはある。
4人の英雄、4つの戦略

プレイヤーは、特性のまったく異なる4人のヒーローから一人を選び、旅に出る。鉄壁の防御を誇る騎士、自然の力で守護妖精を召喚する魔女、敵の位置を巧みに操るずる賢いハンター、そして魔法を打ち消す剣を持つ戦士。
それぞれが独自のカードプールと能力を持ち、プレイ感が根本から異なる。どのヒーローで、どのカードと宝石(レリック)のコンボを目指すか。この試行錯誤こそがローグライクの醍醐味であり、本作は4倍の楽しみを提供してくれる。
「死体」が戦場を支配する、一手の重み

本作の戦闘は、他の同ジャンルのゲームと比べて「遅い」あるいは「硬い」と感じるかもしれない。敵はタフで、一撃のダメージも控えめだ。
だが、それは本作の戦略性を深めるための意図的なデザインだと、プレイを進めるうちに確信に変わった。特にユニークなのが、倒した敵が「死体」として数ターン戦場に残り、こちらの攻撃を阻むシステムだ。
これにより、「どの敵を、どの順番で、どの位置で倒すか」という、ターン制ストラテジーさながらの思考が要求される。ただ火力を叩き込むだけでは、不死のコシチェイには届かない。このジリジリとしたリソース管理と、一手一手の重み。これこそが『Deathless』の戦闘だ。
美しくも過酷な、英雄の旅路

『Deathless. The Hero Quest』は、カードゲームの手軽さと、ストラテジーの奥深さを、スラブ神話という魅惑的なパッケージで包んだ重厚な良作だ。確かに、戦闘テンポや完璧とは言えないバランスに、人を選ぶ部分は残っているかもしれない。
しかし、この美しい世界で、完璧なデッキが組み上がった時の全能感、そして強敵をギリギリの戦略で打ち破った時の達成感は、何物にも代えがたい。日本語字幕にも対応し、今こそ、この不死の呪いに満ちた世界へ旅立つ時だ。
ゲーム概要
- タイトル: Deathless. The Hero Quest
- 開発元: 1C Game Studios
- パブリッシャー: FOR-GAMES CR LTD / Fulqrum Publishing
- 発売日: PC (Steam): 2024年12月12日
- PS5, Xbox Series X|S: 2025年11月3日
- 価格: Steam: 2,800円
- PlayStation 5: 2,860円
- Xbox Series X|S: 2,900円
- 日本語対応: 日本語字幕対応
- ストアリンク: Steam






