「もしも自分が、今夜の食卓に並ぶ予定のニワトリだったら?」 そんな悪夢のような状況を体験できるゲームが登場しました。2025年11月20日にリリースされた『Saborus』は、プレイヤーが1羽のニワトリとなり、恐怖の屠殺場(とさつじょう)から脱出を図るステルスホラーアドベンチャーです。
High Room Studioが開発し、QUByte Interactiveから発売された本作は、単なる「脱出ゲーム」ではありません。血に飢えた肉屋、不気味な実験、そして無機質に稼働する致命的な機械たち。プレイヤーは無力なニワトリとして、知恵と勇気、そして小さな翼を頼りに、この地獄のような工場を駆け抜けなければなりません。
一見するとバカゲーのような設定ですが、その中身は硬派なステルスアクションと、社会風刺の効いたダークな世界観が同居する意欲作です。今回は、実際に「出荷拒否」を試みた筆者が、そのプレイフィールをお届けします。
ニワトリ視点の恐怖:人間は巨大な捕食者

ゲームを開始してまず感じるのは、その圧倒的な「無力感」です。 プレイヤーはただのニワトリ。武器を持って戦うことはできません。目の前に現れる人間は、包丁を振り回す巨大なモンスターです。見つかれば即座に追いかけられ、捕まればゲームオーバー(=夕食)。このシンプルかつ絶対的な力の差が、常に緊張感を生み出しています。
物陰に隠れ、人間の視線をかいくぐり、時には鳴き声で注意を引く。ニワトリならではの小さな体を活かして狭い通気口を潜り抜ける感覚は、他のステルスゲームにはない新鮮さがあります。
グロテスクで美しい? 狂気の屠殺場ツアー
舞台となる「Saborus」の屠殺場は、単なる工場ではありません。そこかしこに散らばる動物の死骸、血塗れの床、そして謎めいた実験施設。グラフィックは美しくもグロテスクで、プレイヤーの不安を煽ります。
しかし、ただ怖いだけではありません。どこかブラックユーモアの効いた演出や、シュールな状況設定が絶妙なバランスで恐怖を中和しており、「怖いけど先が見たい」と思わせる魅力があります。特に、自分以外の家畜たちがベルトコンベアで運ばれていく様子を横目に逆走するシーンは、命の尊さと儚さを同時に感じさせる強烈な体験でした。
パズルとアクションの融合、そしてバグとの戦い
ゲームプレイはステルスだけでなく、パズル要素も豊富です。スイッチを操作したり、アイテムを運んだりして脱出ルートを切り開く必要があります。ニワトリの操作性はシンプルですが、ジャンプの挙動などに少し癖があり、慣れるまでは苦労するかもしれません。
また、現時点では進行不能になるバグや、当たり判定の甘さなどが散見されるようです(レビューでも指摘されています)。しかし、開発チームは積極的にアップデートを行っているようなので、今後の改善に期待したいところです。
総評:ニワトリになって命の重さを知る
『Saborus』は、「食われる側」の恐怖を追体験できるユニークなホラーゲームです。 無力なニワトリが巨大なシステムに抗い、自由を求めて疾走する姿には、不思議なカタルシスと感動があります。
フライドチキンを食べる手が少し止まってしまうかもしれない、そんな強烈なメッセージ性とエンターテインメント性を兼ね備えた本作。一味違うホラー体験を求めている方は、ぜひこの脱走劇に参加してみてはいかがでしょうか。
ただし、プレイ後の鶏肉料理がいつもより美味しく(あるいは罪深く)感じるかもしれませんので、ご注意を。
ゲーム概要
- タイトル: Saborus
- ジャンル: ステルスホラー / アドベンチャー
- 開発元: High Room Studio
- パブリッシャー: QUByte Interactive
- 発売日: 2025年11月20日
- 価格: ¥ 2,270
- 対応言語: 日本語字幕対応
- Store URL: https://store.steampowered.com/app/2768030/Saborus/







