「ウサギとカメ」の寓話をご存知だろうか。コツコツ努力するカメが、油断したウサギに勝つというあの話だ。しかし、もしこの二人が正々堂々とレースするのではなく、互いに罠を仕掛け、突き飛ばし、泥沼の蹴落とし合いを演じていたら?
『Running Fable Petite Party』は、そんな「もしも」を具現化したような対戦パーティゲームだ。前作『Running Fable』のスピンオフとして登場した本作は、レース要素を一旦脇に置き、純度100%の「足の引っ張り合い」に特化している。
今回、実際にプレイして感じたのは、このゲームが持つ「愛すべきB級感」と「圧倒的な手軽さ」だ。洗練されたAAAタイトルにはない、インディー特有の熱量とカオスな体験をレビューする。
誰もが直感で遊べる「すごろく」スタイル

ゲームの基本構造は非常にシンプル。いわゆる『マリオパーティ』ライクなボードゲーム形式だ。「寓話の森」「お菓子の国」「恐ろしいダンジョン」といったステージを選び、サイコロを振ってゴールを目指す。
だが、ただ進むだけではない。道中には刑務所のようなトラップが待ち構え、他プレイヤーを陥れるためのアイテムも飛び交う。淡々と進むボードゲームパートだが、ここで重要になるのが「いかに友人を出し抜くか」という邪悪な戦略性だ。
そしてラウンドごとに発生する「ミニゲーム」。これが本作のメインディッシュと言える。 記憶力を試される「チェスト・メモライゼーション」や、卵を奪い合う「ダイア・ジャンプ」、リズムに合わせてスティックを倒すリズムゲームなど、全16種類が用意されている。
操作は驚くほど簡単だ。説明書など読まなくても、コントローラーを握って3秒で理解できる。普段ゲームをしない家族や、接待プレイにも最適な設計と言えるだろう。

「粗さ」さえも笑いに変える、カオスなパーティ体験

正直に言おう。本作は完璧なゲームではない。 グラフィックは素朴だし、当たり判定(コリジョン)は時折「今の当たってないだろ!?」と叫びたくなるほど曖昧だ。キャラクターのアニメーションも、タックル後に硬直するなど、少しぎこちない部分がある。
しかし、不思議なことに、その「粗さ」がパーティゲームとしてはプラスに働いているのだ。
友人のキャラが謎の挙動で吹き飛んだり、バグなのか仕様なのか分からない挙動で逆転劇が起きたりするたびに、リビングは爆笑に包まれる。「クソゲーじゃねーか!」と笑いながらツッコミを入れ、気付けばもう一戦、とリトライしてしまう中毒性がある。
特にサウンド面は意外なほど気合が入っている。ミニゲーム中の楽曲はカオスで賑やか、逆に対戦の合間は落ち着いた曲調と、緩急が心地よい。このテンポの良さが、「あと一回」を誘発するのだ。
トロフィーハンターと「言い訳」が必要な人へ

本作のもう一つの魅力は、実績解除の容易さだ。数時間遊べばプラチナトロフィーや1000ゲーマースコアをコンプリートできる。トロフィーハンターにとっては、まさに「美味しい」タイトルだろう。
また、開発者が言うように「家事の分担を決めるための言い訳」としても優秀だ。勝負は運と実力が半々。負けても「ゲームのせい」にできるし、勝てば(理不尽な判定を含めて)実力だと主張できる。
ソロプレイでの深みや、長期的なやり込み要素を求めると肩透かしを食らうかもしれない。子供もすぐに飽きてしまうかもしれない底の浅さは否めない。しかし、「今夜、友人と集まって何も考えずに笑いたい」というニーズには、この低価格と手軽さが完璧にマッチする。
『Running Fable Petite Party』は、完璧ではないからこそ、愛しい。 小奇麗なパーティゲームに飽きたなら、この泥臭いウサギとカメの喧嘩に混ざってみてはいかがだろうか。

ゲーム概要
- タイトル: Running Fable Petite Party
- ジャンル: パーティ / ボードゲーム
- プラットフォーム: Steam / その他コンソール
- 発売日: 2026年1月31日
- 開発元: Seashell Studio
- パブリッシャー: Seashell Studio
- 日本語対応: インターフェース、字幕対応
- ストアURL:






