16ビット時代の名作たちが持っていた、あの「未知の冒険へ飛び込む高揚感」を覚えているだろうか。今回、ついに公開されたデモ版をプレイして確信した。『The Eternal Life of Goldman』は、そんなノスタルジーを最新の技術と執念ともいえる手描きアニメーションで具現化した、極めて野心的なプラットフォーマー・アドベンチャーだ。
本作の舞台は、色鮮やかでありながらどこか不穏な空気が漂う群島「Archipelago」。プレイヤーは一振りの杖を手に、誰も姿を見たことがないという謎の存在「Deity」を暗殺するという、奇妙な任務に身を投じることになる。約90分に及ぶこの体験版で味わえるのは、単なる試遊を超えた「動く芸術品」の中を歩く興奮だ。
1フレームに魂が宿る、圧倒的なビジュアル体験

ゲームを起動してまず目を奪われるのは、その圧倒的なグラフィックだ。昨今の美麗な3Dグラフィックスとは一線を画す、古典的なフレームバイフレーム(コマ撮り)手法で描かれたアニメーションは、まるで高品質な劇場アニメをそのまま操作しているかのような錯覚に陥る。
背景の隅々に至るまで描き込まれたディテールは凄まじく、同じ風景や使い回しのパーツが一つとして存在しない。風に揺れる草花、奇妙なクリーチャーの躍動、そして主人公ゴールドマンの滑らかな挙動。そのすべてに作り手の「執念」が宿っている。時折、画面の情報量が多くてどこに着地すべきか迷うことすらあるが、それもまたこの濃密な世界に没入している証拠だろう。
杖一本で切り拓く、即興性の高いアクション

操作感は極めて良好だ。基本となるのは杖を使ったアクションで、敵の頭上を跳ねる「ポゴジャンプ」のような挙動は、かつての名作『ダックテイルズ』を彷彿とさせる。しかし、本作は単なる過去の焼き直しではない。
冒険を進める中で杖をアップグレードし、新たな能力を解放していくプロセスが非常に有機的だ。決まった手順を暗記してなぞるのではなく、その場その場での「即興と創意工夫」が試される。特にボス戦は、力押しではなくギミックを読み解くパズル的な楽しさがあり、次はどんな仕掛けが来るのかと常にワクワクさせてくれる。
一部、チェックポイントの配置や即死トラップの厳しさに、思わず「おいおい!」と声を上げてしまう場面もあった。だが、その困難を乗り越えた先に待つ景色の美しさが、再びコントローラーを握らせる強い牽引力になっている。
語り口に潜む、ダークで多層的な物語

本作を独創的にしているもう一つの要素が、そのストーリーテリングだ。単なる勧善懲悪の冒険譚ではなく、背後には「母親が病床の子に語り聞かせている」かのようなメタ的なナレーションが流れる。
この語り手たちの会話が、時に冷徹で、時に心に刺さるような鋭さを持っており、ファンタジー世界での出来事に奇妙な現実味と影を落としている。なぜこの老人は旅をしているのか、そして「Deity」とは何なのか。美しく彩られた世界の裏側に潜む「毒」のようなエッセンスが、プレイヤーの好奇心を強く刺激して離さない。
2Dアクションの新たなスタンダードへ

『The Eternal Life of Goldman』は、2Dプラットフォーマーという成熟したジャンルに対し、真っ向から「職人技」で挑んだ傑作だ。利便性や効率を優先する現代のゲーム制作において、あえて困難な「手描き」の道を選んだWeappy Studioの決断に敬意を表したい。
デモ版だけでも、その完成度の高さと作り手の情熱は十分に伝わってくる。難易度のバランスやテキストの表示など、細かなブラッシュアップの余地はあるものの、私たちが体験すべき「最高に美しい冒険」の一本になることは間違いないだろう。
ゲーム概要
- タイトル: The Eternal Life of Goldman
- 発売日: 未定(体験版は2026年2月19日配信)
- 開発元: Weappy Studio
- パブリッシャー: THQ Nordic
- ジャンル: 2Dプラットフォーマー・アドベンチャー
- 対応プラットフォーム: PC(Steam)他
- 特徴:
- 全編手描きによるフレームバイフレームのアニメーション
- 杖のアップグレードによる多様なアクション
- 伝説と神話を織り交ぜたダークなストーリー
- 探索と発見を重視したレベルデザイン
- ストアリンク: The Eternal Life of Goldman






